閃光

(こんなにやさしいばしょをしっていた)

こんなに優しい場所を知っていた

(こきゅうをかわすようにとどくかぜ)

呼吸を交わすように届く風

(あなたにさわるみぎうでのえがく)

貴方に触る右腕の描く

(らいんをかぜがおしえてる)

ラインを風が教えてる

(なんどもちりになったせかいはまた)

何度も塵になった世界はまた

(うつくしくてらされてかげをもうんで)

美しく照らされて　陰をも産んで

(なもないいろをまとうこいしをそっと)

名もない色をまとう　小石をそっと

(おんなのこがひろってまどべにおくよ)

女の子が拾って　窓辺に置くよ

(つきがみていたよるがみていた)

月が見ていた　夜が見ていた

(ほえるそらをみためをとじたままつきぬけるけしきを)

吠える空を見た　目を閉じたまま　突き抜ける景色を

(これいじょうなにをみればいいのだからわたしはもうもどらないよ)

これ以上　何を見ればいいの　だから私はもう戻らないよ

(ねえいまなんじなのここはどこなの)

ねえ　今何時なの　ここは何処なの

(あなたはだれなのかえるうちはあるの)

貴方は誰なの　帰る家はあるの

(やさしいひとたちがころされているよ)

優しい人達が　殺されているよ

(もうあといってきでせかいはあふれそうだね)

もうあと一滴で　世界は溢れそうだね

(もしあのみちをみぎにまがらなくて)

もしあの道を右に曲がらなくて

(いつものらいんだけただあるいていたなら)

いつものラインだけただ歩いていたなら

(あなたといまこうしてうなじをにぎって)

貴方と今こうして　うなじを握って

(のみこむものはなにもなかっただなんて)

飲み込むものは何も無かっただなんて

(つきをみていたよるをみていた)

月を見ていた　夜を見ていた

(むねにはえるはねはくもをきってここをみおろすように)

胸に生える羽根は　雲を切ってここを見下ろすように

(たずねるよなにをなくしてるのかとだれをずっとさがしてるの)

尋ねるよ　何を失くしてるのかと　誰をずっとさがしてるの

(おおきくのびたまっくろなつばさからこぼれておちた)

大きく伸びた　真っ黒な翼からこぼれて落ちた

(１まいのはねがひかりにすけていろがきえてくよ)

1枚の羽根が光に透けて　色が消えてくよ

(ふぞろいなむねのらいんをまねた)

不揃いな胸のラインを真似た

(ちへいせんにちゃくちするときを)

地平線に　着地するときを

(ほえるそらをみためをとじたままつきぬけるけしきを)

吠える空を見た　目を閉じたまま　突き抜ける景色を

(これいじょうなにをみればいいのだからわたしはもうもどらないよ)

これ以上　何を見ればいいの　だから私はもう戻らないよ

(むねにはえるはねはくもをきってここをみおろすように)

胸に生える羽根は　雲を切ってここを見下ろすように

(たずねるよなにをなくしてるのかとだれをずっとさがしてるの)

尋ねるよ　何を失くしてるのかと　誰をずっとさがしてるの

(ゆきがとけるようにわたしのおくにさしこむひかりは)

雪が解けるように　私の奥に射し込む光は

(あなたのひとみのおくにあるひとすじのらいんをこえてくる)

貴方の瞳の奥に在る　一筋のラインを超えてくる