過去を喰らう / 花譜

(あいしたりゆうもわすれちゃって)

愛した理由も忘れちゃって

(かしょくぎみのむねでないちゃって)

過食気味の胸で泣いちゃって

(はだのいろすらみえなくなっている)

肌の色すら見えなくなっている

(じぶんだけきずついたつもりで)

自分だけ傷ついたつもりで

(わるいのはだれかだとおもって)

悪いのは誰かだと思って

(あしがぬけおちたのもきづかない)

足が抜け落ちたのも気づかない

(ゆめやきぼうはなんだった)

夢や希望はなんだった？

(やりたいことはこれだった)

やりたいことはこれだった？

(かこがぼくらをまっている)

過去が僕らを待っている

(どんよくなかおでまっている)

貪欲な顔で待っている

(わびしさもかなしみもなければ)

侘しさも悲しみもなければ

(よるがしぬたびうたなんてうたわなかった)

夜が死ぬたび歌なんて歌わなかった

(あなたのえがおがここにあるならあきらめなんてしなかったんだ)

あなたの笑顔がここにあるなら諦めなんてしなかったんだ

(あなたのことばをおもいだすからなぐさめなんていらなかった)

あなたの言葉を思い出すから慰めなんていらなかった

(いきるいみばかりおもいだすからやさしさをつねにうたがった)

生きる意味ばかり思い出すから優しさを常に疑った

(あなたのなみだをみてわらえたらいまさらはじなどしらなかった)

あなたの涙を見て笑えたら今更恥など知らなかった

(うぐいすがないて)

ウグイスが鳴いて

(やぶりすてたそつぎょうしょうしょが)

破り捨てた卒業証書が

(よぞらになってまってった)

夜空になって舞ってった

(かこをくらいつくした)

過去を喰らい尽くした

(はんこうきだとうとまれたこどもたちはふくしゅうにはしり)

反抗期だと疎まれた子供達は復讐に走り

(いみにすがるふぬけたおとなたちはうたをうたいたがる)

意味にすがる腑抜けた大人たちは歌を歌いたがる

(わかさをしいてむさぼるだみん)

若さを強いて貪る惰眠

(きづけばつめがはがれおちる)

気付けば爪が剥がれ落ちる

(あめがすきだったりゆうもすきなうたもわすれさった)

雨が好きだった理由も好きな歌も忘れ去った

(こころにひびくのはものばかり)

心に響くのは物ばかり

(それなのにひとがこいしくって)

それなのに人が恋しくって

(あなたへのきもちだけいまもおわらないんだ)

あなたへの気持ちだけ今も終わらないんだ

(たとえばぼくらがまちでであって)

例えば僕らが街で出会って

(ゆめのようなはなしをつむげたら)

夢のような話を紡げたら

(あなたとぼくはわらえるだろうか)

あなたと僕は笑えるだろうか

(がめんのなかであなたにあえたら)

画面の中であなたに会えたら

(おもいだすのはこうかいばかりだ)

思い出すのは後悔ばかりだ

(いまでもいとしいよ)

今でも愛しいよ

(あのころにいまももどりたいよ)

あの頃に今も戻りたいよ

(こんなおとなでがまんできたらくるしみなんてしらなかった)

こんな大人で我慢できたら苦しみなんて知らなかった

(ことばですべてかいけつするならここまでなみだはでなかった)

言葉で全て解決するならここまで涙は出なかった

(あなたがあたまでうずをまくからいまもこのあさがきらいだった)

あなたが頭で渦を巻くから今もこの朝が嫌いだった

(おとなになるのがこわかった)

大人になるのが怖かった

(つよくなることがこわかった)

強くなることが怖かった

(うぐいすがないて)

ウグイスが鳴いて

(ごみになったせいふくが)

ゴミになった制服が

(よぞらになってまってった)

夜空になって舞ってった

(かこをくらいつくした)

過去を喰らい尽くした