スカーの狂気

(なぜみんなからすかれぬのだ)

なぜみんなから好かれぬのだ

(なぜみんなさけるのだこのおれさまを)

なぜみんな避けるのだ　この俺様を

(おれはおうだぞしんじないか)

俺は王だぞ　信じないか

(へいぼす)

ヘイボス！

(きこえるささやきこえは)

聞こえる囁き声は

(おれへのあいにくしみ)

俺への愛　憎しみ

(なんのにく)

なんの肉？

(いっておくれあいしていると)

言っておくれ愛していると

(へいぼす)

ヘイボス！

(なんだ)

なんだ！？

(あんたにもんくがあるんだけどよ)

アンタに文句があるんだけどよ

(たべものもないみずもない)

食べ物もない水もない

(そうさゆうしょくどきっていうのによ くさったにくさえねえや)

そうさ　夕食時って言うのによ 腐った肉さえねえや

(ぐちをいうなおまえらはほんとうのうえをしらない)

愚痴を言うな　お前らは本当の飢えを知らない

(まいにちおれのからだのおくにはうずきがひろがる)

毎日俺の体の奥にはうずきが広がる

(おれにもいちどけいけんがある それはきせいちゅうがいるんだぜ)

俺にも一度経験がある それは寄生虫がいるんだぜ

(ちがう からだのおくふかいところでたえまなくむずむずするうずき)

ち！　が！　う！ 体の奥深い所で絶え間なくムズムズするうずき

(まちがいないきせいちゅうだ)

間違いない　寄生虫だ

(ほんとうにひどくなったらこうするっきゃない)

本当にひどくなったらこうするっきゃない

(しゃがみこんでそれからいっきにぶっぱなす)

しゃがみこんでそれから一気にぶっ放す

(かんしゃするよおんしらずめ)

感謝するよ　恩知らずめ！

(おれさまがいなかったらいまごろおまえたちは はげたかとくいもののうばいあいをしているんだ)

俺様がいなかったら今頃お前達は ハゲタカと食い物の奪い合いをしているんだ

(くいものくれればいうこときくぜ それこそあんたのしごとなんだ)

食い物くれれば　言うこと聞くぜ それこそアンタの　仕事なんだ

(おれたちやせさらばえてほねがむきだしだぜ)

俺達痩せさらばえて　骨がむき出しだぜ

(おれをせめるのか)

俺を攻めるのか

(とんでもないめすらいおんどものことだよ)

とんでもない　メスライオン共の事だよ

(ああ)

ああ...

(たよりはあんたたよりはあんた あいされてる)

頼りはアンタ　頼りはアンタ 愛されてる

(よしよし)

よしよし

(くいものくれればあいしてやるぜ くわせてくれよ)

食い物くれれば　愛してやるぜ 食わせてくれよ

(なつかしいむふぁささま)

懐かしいムファサ様！

(むふぁさむふぁさ)

ムファサ？　ムファサ！？

(よくもまあ にどとそのなをくちにするなとめいれいしたろう)

よくもまあ 二度とその名を口にするなと命令したろう

(めもをいたしましたですにどと んんんとはもうしません)

メモを致しましたです　二度と ン　ン　ン　とは申しません

(しんでさえもむふぁさのかげがおれにのしかかる)

死んでさえもムファサの影が俺にのしかかる

(ほらあそこにいる やめてくれむふぁさがあそこにいる)

ほらあそこにいる やめてくれ　ムファサがあそこにいる

(ほらそこに)

ほらそこに！

(おちついてごしゅじんさま さもないとまたわれるようなずつうにおそわれましょう)

落ち着いてご主人様 さもないとまた割れるような頭痛に襲われましょう

(きにしないぞ)

気にしないぞ！

(おれはすばらしいまえのおうより いだいだずるいかやさしいわがまま)

俺は素晴らしい前の王より 偉大だ！　ずるいか！？　優しい　わがまま！

(いいきかせる だいじょうぶだめだだいじょうぶだめだ)

言い聞かせる 大丈夫！　駄目だ！　大丈夫！　駄目だ！

(おれはいだいだ ちがうそうだちがうそう)

俺は偉大だ！ 違う！　そうだ！　違う！　そう！

(いやそういやそう いやそういやああああ)

いや　そう　いや　そう いや！　そう！　いやああああ！

(おきをしずめてごしゅじん)

お気を鎮めて　ご主人！

(そうだなざず ざずざずざず)

そうだな　ザズ ザズ　ザズ　ザズ

(はいはいはい)

はいはい...はい...

(おれはだれにもあいされなかった こどものときですらあいされなかった)

俺は誰にも愛されなかった 子供の時ですら愛されなかった

(あにがもっていておれにかけているものとはなんだ)

兄が持っていて俺にかけているものとは何だ？

(てみじかにもうしましょうかそれともくわしく)

手短に申しましょうか　それとも詳しく

(どっちでもいい)

どっちでもいい

(まずあにうえさまにはちゅうじつなけらいどもがおりました あいするかぞくけんしんてきなおきさきさまも)

まず兄上様には忠実な家来どもがおりました 愛する家族　献身的なお妃様も

(それだおれにひつようなのはきさきだ)

それだ　俺に必要なのは妃だ

(なんですって)

何ですって？

(ばかものきさきだおきさきだ きさきのいないおれははってんのみこみもなくどんづまりだ)

バカ者　妃だ　お妃だ 妃のいない俺は発展の見込みもなくどん詰まりだ

(しそんもいないあととりもなければみらいもない だがきさきさえいればこどもをもてる)

子孫もいない　跡取りも無ければ未来もない だが妃さえいれば　子供を持てる

(ふきゅうのめいせいはおれのものとなる)

不朽の名声は俺のものとなる

(ふきゅうのめいせいはおれのものとなる)

不朽の名声は俺のものとなる！

(すかー)

スカー

(ならなんというたいみんぐのよさ すっかりおとなになって)

ナラ　なんというタイミングの良さ すっかり大人になって

(すかーなんとかしてちょうだい わたしたちかりをさせられすぎているわ)

スカー　何とかしてちょうだい 私たち　狩りをさせられすぎているわ

(これぞおれのきさきみりょくてきだ)

これぞ俺の妃　魅力的だ

(うまれもちすじももうしぶんない)

生まれも血筋も　申し分ない

(おいでここにかわいいなら)

おいでここに可愛いナラ

(なにをするのはなしをきいているの)

何をするの　話を聞いているの？

(おれのこどもをうめ)

俺の子供を産め

(なんですって)

なんですって

(いっておくれ)

言っておくれ

(ちかよらないで)

近寄らないで

(あいしていると)

愛していると

(ならおれがどれだけぼうりょくをきらっているか おまえもしっているだろう)

ナラ　俺がどれだけ暴力を嫌っているか お前も知っているだろう

(いつかかならずおまえをおれのものにしてやる)

いつか必ずお前を俺のものにしてやる

(ありえないすかーそんなことありえない)

ありえないスカー　そんなことありえない！

(おまえらみんなおれのものだ)

お前らみんな　俺のものだ！