一日の終わりに

(いちにちがおわりゃとしをとる)

一日が終わりゃ歳をとる

(びんぼうのくりかえしだけ)

貧乏の繰り返しだけ

(たたかいなのさだれもたすけちゃくれぬ しごとなければそれだけ)

戦いなのさ　誰も助けちゃくれぬ 仕事なければそれだけ

(いのちがちぢむ)

命が縮む

(いちにちがおわりゃさむくなる)

一日が終わりゃ寒くなる

(ふるえあがるぼろのしゃつじゃ)

震えあがる　ぼろのシャツじゃ

(かねもちたちはだれもたすけちゃくれぬ しにがみつれたふゆがささやく)

金持ちたちは誰も助けちゃくれぬ 死神連れた冬がささやく

(いのちをくれと)

命をくれと

(いちにちがおわりゃながいよる)

一日が終わりゃ長い夜

(ただじっとあさをまつだけ)

ただじっと朝を待つだけ

(このあらなみがおまえらをおしながす)

この荒波がお前らを押し流す

(まきおこるなみしゃっきんのあらしさ)

巻き起こる波　借金の嵐さ

(ああそれでいちにちがおわりなのさ)

ああそれで一日が終わりなのさ

(いちにちがおわりゃきがつくさ なまけてりゃぱんもかえまい)

一日が終わりゃ気が付くさ 怠けてりゃパンも買えまい

(こどもがいえで)

子供が家で

(くちあけてまってる)

口開けて待ってる

(しごとにありつけりゃ)

仕事にあり付けりゃ

(ねどこも)

寝床も

(うんがたよりさ)

運が頼りさ

(ねえみたきょうのこうじょうちょう ちかごろやたらあれもよう)

ねえ見た今日の工場長 近頃やたら荒れ模様

(ふぁんてぃーぬがやらせないから)

ファンティーヌが　やらせないから

(みてみなよずぼんのあそこ)

見てみなよズボンのあそこ

(ぼすはしらないすけべなこうじょうちょう)

ボスは知らない　スケベな工場長

(あのこようじんしないとくびになるさ)

あの娘　用心しないと　クビになるさ

(いちにちがおわりゃかねもない かねはただとおりすぎてく)

一日が終わりゃ金もない 金はただ通り過ぎてく

(かねがなければごみくずとおんなじさ)

金が無ければごみクズとおんなじさ

(きょうからあした くいつなぐだけなのさ)

今日から明日 食いつなぐだけなのさ

(それでいちにちがおわりなのさ)

それで一日が終わりなのさ

(なによすましてこのおじょうさん ふぁんてぃーぬさあよんでやる)

何よすましてこのお嬢さん ファンティーヌさあ読んでやる

(ふぁんてぃーぬかねをおくれ こどもびょうきいしゃがひつよう)

「ファンティーヌ　金を送れ 子ども病気　医者が必要」

(かえしてよだいじなてがみを あんたらにかんけいないわ)

返してよ大事な手紙を あんたらに関係ないわ

(なにひとつひみつないと あんたたちはかみにちかえる)

何ひとつ秘密ないと あんたたちは神に誓える？

(いますぐふたりをひきはなしなさい ここはこうじょうだぞなんだこのさわぎは)

今すぐ二人を引き離しなさい ここは工場だぞ　何だこの騒ぎは

(まちをおさめるわたしはしちょうだ きみがかいけつしたまえおだやかに)

街を治める私は市長だ 君が解決したまえ　おだやかに

(さあはなしてみろ)

さあ話してみろ

(てだしをしたのはやつなのさ かくしごがいなかにいてね)

手出しをしたのは奴なのさ 隠し子が田舎にいてね

(かねをよこせとねだるのさおとこが だからよるにはいんばいぼすにゃいえない)

金をよこせとねだるのさ　男が だから夜には淫売　ボスにゃ言えない

(ほんとうよこどもがいるのは ちちおやはいえでをしてね)

本当よ　子供がいるのは 父親は家出をしてね

(こどもあずけてるひとにかねをおくりなにがわるいの)

子供預けてる人に金を送り何が悪いの？

(いざこざはみんなめいわくさ くうためにはたらきとおし)

イザコザはみんな迷惑さ 食うために働き通し

(まともにかせいでるあたしたちばかにして)

まともに稼いでるあたしたち馬鹿にして

(きどりまくってさわりくうのはこっちよ つけがまわるよいちにちでね)

気取りまくってさワリ食うのはこっちよ ツケがまわるよ　一日でね

(おれもどじだぜ おまえにすっかりのせられやられるとは)

俺もドジだぜ お前にすっかりのせられやられるとは

(なあしゅくじょのふぁんてぃーぬ ひるはきむすめよるにはしょうふかね)

なあ淑女のファンティーヌ 昼は生娘　夜には娼婦かね

(みさおただしいおんながめんどうなんかをおこすとは)

操正しい女が　面倒なんかを起こすとは

(わらってたあんたのことを)

笑ってたアンタの事を

(やっかいのたねさいつでも)

厄介の種さ　いつでも

(くびにしなよ)

クビにしなよ

(いますぐくび)

今すぐクビ！

(このいんばいでていけ)

この淫売　出ていけ！