先生の怖い話「たどり着く場所」

背景
投稿者投稿者ななっしーいいね2お気に入り登録
プレイ回数1871難易度(5.0) 3440打 長文

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(ぼくはけんこうのためにいえからじゅくまでとほで1じかんほどかけてかよっていたじきがある。)

僕は健康の為に家から塾まで徒歩で1時間程かけて通っていた時期がある。

(しごとがら、そうでなくともかえるのがよるおそくなるのに、)

仕事柄、そうでなくとも帰るのが夜遅くなるのに、

(じかんがおしたりするといえにつくのがごぜん2じごろになることもざらにあった。)

時間がおしたりすると家に着くのが午前2時頃になることもざらにあった。

(もともとよるがたなのでねむくなったりはしないのだが、)

もともと夜型なので眠くなったりはしないのだが、

(よるおそくあるいているとみょうなこと、みょうなものをみることがあった。)

夜遅く歩いていると妙なこと、妙な物を見ることがあった。

(ぼくはひどいほうこうおんちなのだがこうきしんはおうせいで、)

僕はひどい方向音痴なのだが好奇心は旺盛で、

(そのひはいつもとちがうみちをとおってかえることにした。)

その日はいつもと違う道を通って帰ることにした。

(とおりからほそいみちにはいりじぶんのいえのほうこうにむかってあるく。)

通りから細い道に入り自分の家の方向に向かって歩く。

(・・・みちがなくなるのでは・・・)

・・・道が無くなるのでは・・・

(というふあんとともにがいとうはへっていき、みちもどんどんせまくなり、)

という不安と共に街灯は減っていき、道もどんどん狭くなり、

(またあすふぁるとからつちみちにかわっていた。)

またアスファルトから土道に変わっていた。

(ふるいもくぞうけんちくのにほんかおくにはさまれた、すこしさかになっているみちをあがったところで)

古い木造建築の日本家屋に挟まれた、少し坂になっている道を上った所で

(きゅうにみちがひらけひろばのようなところにでた。)

急に道が開け広場のような所に出た。

(・・・こうえんかな・・・。とおもったとき、くらがりのひろばになんにんものひとかげがみえた。)

・・・公園かな・・・。と思ったとき、暗がりの広場に何人もの人影が見えた。

(・・・こんなよなかに・・・、ふりょうがくせいたちか?・・・)

・・・こんな夜中に・・・、不良学生達か?・・・

(とおもい、からまれるのもめんどうなのでぼくはすこしあしをとめてようすをうかがった。)

と思い、絡まれるのも面倒なので僕は少し足を止めて様子を窺った。

(どうやら10にんいじょうはいるようだが、なにかようすがおかしい・・・。)

どうやら10人以上はいるようだが、何か様子がおかしい・・・。

(ぜんいんがただたったまま、まったくうごこうとしない・・・。)

全員がただ立ったまま、全く動こうとしない・・・。

(ただ、なにをいっているのかわからないがぼそぼそとかいわがきこえる。)

ただ、何を言っているのかわからないがボソボソと会話が聞こえる。

(ぼくはすこしかれらにきょうみがわいた。)

僕は少し彼らに興味が湧いた。

など

(・・・ひょっとしてちゃねりんぐでもしてるんじゃないのか?)

・・・ひょっとしてチャネリングでもしてるんじゃないのか?

(・・・ちゃねりんぐ・・・たしかゆーふぉーとこうしんするほうほうがこれとにていたはずだ。)

・・・チャネリング・・・確かUFOと交信する方法がこれと似ていたはずだ。

(ひろばにはいるいりぐちあたりは、もくぞうかおくのもんにはさまれるようになっている。)

広場に入る入口辺りは、木造家屋の門に挟まれるようになっている。

(かなりふるいもんで、ひとめでさびつきがたがきていることがわかる。)

かなり古い門で、一目で錆び付きガタがきていることがわかる。

(ぼくはすこしあしをとめてかれらをみていた。)

僕は少し足を止めて彼らを見ていた。

(と、そのとき、そのもんのかほう、かいだんじょうになっているところ、あかりもないばしょで、)

と、その時、その門の下方、階段状になっている所、灯りもない場所で、

(たったひとりでねまきすがたのおばあさんがすわっていることにきがついた。)

たった1人で寝間着姿のお婆さんが座っていることに気が付いた。

(まったくきがつかなかった・・・。)

全く気が付かなかった・・・。

(いつからいたのか、そもそもさいしょからいたのかもわからない。)

いつからいたのか、そもそも最初からいたのかもわからない。

(それほどそのおばあさんからは、けはい、おとすらかんじなかった・・・。)

それほどそのお婆さんからは、気配、音すら感じなかった・・・。

(ぼくはそれにきづいたとき、あとずさり、ちいさなこえをあげたにもかかわらず、)

僕はそれに気付いた時、後ずさり、小さな声を上げたにも関わらず、

(かのじょはびどうだにせず、すわったままひろばのほうをむいている。)

彼女は微動だにせず、座ったまま広場の方を向いている。

(あつさとはべつのいやなあせがでてきた・・・。)

暑さとは別の嫌な汗が出てきた・・・。

(ぼくはあせりそのばしょからきたみちへにげだした。)

僕は焦りその場所から来た道へ逃げ出した。

(にげだすとちゅうにいちどひろばをふりかえると、ひとかげはなくなっていたようにみえた。)

逃げ出す途中に一度広場を振り返ると、人影はなくなっていたように見えた。

(とちゅう、くらくほそいみちでかんばんがみえた。)

途中、暗く細い道で看板が見えた。

(こどものえがえがいてあるかんばんで、とびだしちゅういとかいてあった。)

子供の絵が描いてある看板で、飛び出し注意と書いてあった。

(おおどおりにまでたどりつき、ゆきかうくるまをみてやっとひといきついた。)

大通りにまで辿り着き、行き交う車を見てやっと一息ついた。

(あたまをひやしてかんがえてみると、)

頭を冷やして考えてみると、

(おばあさんはただゆうすずみにげんかんにでていたのかな・・・とおもった。)

お婆さんはただ夕涼みに玄関に出ていたのかな・・・と思った。

(あのひとかげぐんはなぞだが・・・。)

あの人影群は謎だが・・・。

(よくじつ、よる10じにじゅくがおわれたので、)

翌日、夜10時に塾が終われたので、

(ぼくはもういちどそのばしょをかくにんしてみることにした。)

僕はもう一度その場所を確認してみることにした。

(ほそいみち、こどものかんばんをかくにんしながらあのひろばにたどりついた。)

細い道、子供の看板を確認しながらあの広場に辿り着いた。

(せんじつはくもっていたのか、それとももっとおそいじかんだったからか、)

先日は曇っていたのか、それとももっと遅い時間だったからか、

(もっとくらかったとおもったが、いまはよくみえる。)

もっと暗かったと思ったが、今は良く見える。

(おばあさんがすわっていたいえはあきらかにはいおくで、)

お婆さんが座っていた家は明らかに廃屋で、

(さびついたてつもんにはこうじげんばでよくみるきいろいろーぷがはられ)

錆び付いた鉄門には工事現場でよく見る黄色いロープが張られ

(こしをおろすこともこんなんだろうということ、)

腰を下ろすことも困難だろうという事、

(ひろばとおもっていたのはじつはちいさなはかばであったことも、)

広場と思っていたのは実は小さな墓場であったことも、

(そしてひとかげがあったばしょにはほそながいはかいしがあるということもしっかりとみえた。)

そして人影があった場所には細長い墓石があるという事もしっかりと見えた。

(またいやなあせがでてきた。)

また嫌な汗が出てきた。

(きのうみたのはきのせいだ・・・。)

昨日見たのは気のせいだ・・・。

(そうおもいたかったが、ぶきみなろうば、たしかにてをひろげてたっていたひとかげたち、)

そう思いたかったが、不気味な老婆、確かに手を広げて立っていた人影達、

(ぼそぼそというこえ・・・、ぼくののうりにせんめいすぎるほどきざまれていた。)

ボソボソという声・・・、僕の脳裏に鮮明すぎるほど刻まれていた。

(ぼくはにげだした・・・。これでにどめだ。)

僕は逃げ出した・・・。これで二度目だ。

(おなじほそいみちをいそぎあしでおりているとちゅう、こどものかんばんがめにはいった。)

同じ細い道を急ぎ足で降りている途中、子供の看板が目に入った。

(そこでかんじるいわかん・・・。すぐにいわかんのしょうたいははんめいした。)

そこで感じる違和感・・・。すぐに違和感の正体は判明した。

(・・・とびだしちゅういのかんばん・・・いったいなににむけてちゅういをうながしている?)

・・・飛び出し注意の看板・・・一体何に向けて注意を促している?

(けいじどうしゃもとおれないであろうほそみち、)

軽自動車も通れないであろう細道、

(しかもいっぽんみちなので、とびだせるそくどうすらみあたらない。)

しかも一本道なので、飛び出せる側道すら見当たらない。

(ぼくはかけあしになった。あまりそこにはながいしてはいけないきがして・・・。)

僕は駆け足になった。あまりそこには長居してはいけない気がして・・・。

(おおどおりについたぼくはいきがきれ、そしてあせもだくだくだったが、)

大通りに着いた僕は息が切れ、そして汗もだくだくだったが、

(ゆきかうくるまのへっどらいとをみてこれほどあんしんできたのは)

行き交う車のヘッドライトを見てこれほど安心できたのは

(うまれてはじめてだった。)

生まれて初めてだった。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

◆コメントを投稿

※誹謗中傷、公序良俗に反するコメント、個人情報の投稿、歌詞の投稿、出会い目的の投稿、無関係な宣伝行為は禁止です。削除対象となります。

※このゲームにコメントするにはログインが必要です。

※コメントは日本語で投稿してください。