バツ猫

(まいにちこいしをけっているからくつのつまさきがすぐへるよ)

毎日小石を蹴っているから 靴のつま先がすぐ減るよ

(まいにちすりへるつまさきみていてくびとせなかがねこになる)

毎日すり減るつま先見ていて 首と背中が猫になる (にゃー)

(あすふぁるとのわれめのかたちといちを)

アスファルトの割れ目の 形と位置を

(ぼくがいちばんよくよくしっている)

ぼくがいちばん よくよく知っている

(つぶしてしまいましょうおめめとおはな)

潰してしまいましょう お目目とお鼻

(つぶしてしまいましょうおみみとおくち)

潰してしまいましょう お耳とお口

(つめもかたもひざこぞうもひじもすねも)

爪も肩も膝小僧も肘も脛も

(あたまのなかのおみそのすりきずばいきんも)

頭の中のお味噌のすり傷バイキンも

(あらってながしましょう)

洗って流しましょう

(あすふぁるとにかかれたとまれのもじの)

アスファルトに書かれた 止まれの文字の

(れのじがちょっぴりへんなのぼくがいちばんきにしてる)

れの字がちょっぴり変なの ぼくがいちばん気にしてる

(つぶしてしまいましょうおめめとおはな)

潰してしまいましょう お目目とお鼻

(つぶしてしまいましょうおみみとおくち)

潰してしまいましょう お耳とお口

(おめめのなかにはなぢがはいって)

お目目の中に鼻血が入って

(まっかなおめめにまっかななみだを)

真っ赤なお目目に真っ赤な涙を

(うかべてるぼくの)

浮かべてるぼくの

(みみにいるわらいごえ)

耳に入る笑い声

(つぶしてしまいましょうおめめとおはな)

潰してしまいましょう お目目とお鼻

(つぶしてしまいましょうおみみとおくち)

潰してしまいましょう お耳とお口

(ぜんぜんあわれなかんじにならない)

全然哀れな感じにならない

(とってもまぬけななきごえあげてるぼくを)

とっても間抜けな泣き声あげてるぼくを

(まいにちまいにちわすれてわすれて)

毎日毎日忘れて忘れて

(わすれてわすれてわすれてわすれて)

忘れて忘れて忘れて忘れて

(うれしいこともくるしいことも)

嬉しいことも　苦しいことも

(みえないきこえないいわないかがない)

見えない聞こえない　言わない嗅がない

(きょうもやみよのそこでぜんぶぜんぶぜんぶわすれて)

今日も闇夜の底で　全部全部全部忘れて

(きょうもおきらくにいきてます)

今日もお気楽に生きてます

(ああ)

ああ

(きょうもおきらくにいきてます)

今日もお気楽に生きてます