先生の怖い話「廃屋」(8/11)

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投稿者投稿者ななっしーいいね0お気に入り登録
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(ぼくがいたのはあのぶつだんにつづくろうかで、にんぎょうが3たいかざられているはめこみがたのたなの)

僕がいたのはあの仏壇に続く廊下で、人形が3体飾られているはめ込み型の棚の

(てまえだった。たったひとりだった。ぼくははいおくのろうかでふとんもかけずに)

手前だった。たった一人だった。僕は廃屋の廊下で布団も掛けずに

(ねていたのか・・・?しかしねぼけていたのかぼくはあせりもせず、・・・あれ、)

寝ていたのか・・・?しかし寝ぼけていたのか僕は焦りもせず、・・・あれ、

(なんでここにいるんだろう・・・?とおもってまわりをみまわした。ひるまでもまっくらやみの)

何でここにいるんだろう・・・?と思って周りを見回した。昼間でも真っ暗闇の

(そのやかたのなか、よるにひかりがあるわけがないのに、どこかまどからはいってくるような)

その館の中、夜に光があるわけがないのに、どこか窓から入ってくるような

(つきのひかりのようなしろいひかりが、しかくくぶぶんてきにまわりをてらしだしていた。)

月の光のような白い光が、四角く部分的に周りを照らし出していた。

(またあのいっかいでゆいいつちらかったへやのほうこうから、なにかをひっくりかえすような)

またあの一階で唯一散らかった部屋の方向から、何かをひっくり返すような

(おおきなものおとがたえずきこえていた。ぼんやりとひだりがわをみたときにぼくは、かるい)

大きな物音が絶えず聞こえていた。ぼんやりと左側を見た時に僕は、軽い

(しょっくとともにいきをのみ、そしてかんぜんにめがさめた。ぼくのひだりがわこうほうには、あの)

ショックと共に息を飲み、そして完全に目が覚めた。僕の左側後方には、あの

(おことのへやがあるのだが、そこにはうえはんぶんだけわれたがらすけーすがあって、)

お琴の部屋があるのだが、そこには上半分だけ割れたガラスケースがあって、

(なかにおことはなかった、いや、いなかった。ちょっかんてきにぼくはおおきなきけんをかんじた。)

中にお琴は無かった、いや、いなかった。直感的に僕は大きな危険を感じた。

(おことがうごいている、にげないといけない、とつよくかんじた。のどをしめつけられる)

お琴が動いている、逃げないといけない、と強く感じた。喉を締め付けられる

(ようなきょうふのなか、とりあえずおきあがりあしのむくままはしったのだが、どうやら)

ような恐怖の中、とりあえず起き上がり足の向くまま走ったのだが、どうやら

(ぼくはだいどころのほうにむいてはしったらしい。だいどころにとうちゃくするちょくぜんに、ありえないかくど、)

僕は台所の方に向いて走ったらしい。台所に到着する直前に、あり得ない角度、

(ゆかからだれかにみぎあしくびをつかまれて、まえのめりにおおきくころんでしまった。ころんだ)

床から誰かに右足首を掴まれて、前のめりに大きく転んでしまった。転んだ

(めのまえにはよごれたきのゆかがあったが、ぼくのあたまのすぐよこには、あのほうちょうのゆかが)

目の前には汚れた木の床があったが、僕の頭のすぐ横には、あの包丁の床が

(あった。そしてぼくのすぐひだりこうほうからおとがした。はんきょうらんでたおれたままふりかえって)

あった。そして僕のすぐ左後方から音がした。半狂乱で倒れたまま振り返って

(みると、そこにはむらさきいろのきものをきたおことが、あかさびたほうちょうをそのふりあげた)

見ると、そこには紫色の着物を着たお琴が、赤錆びた包丁をその振り上げた

(しろすぎるみぎてにもってたっていた。そのむひょうじょうのかおをぼくのほうにむけたりもせず、)

白すぎる右手に持って立っていた。その無表情の顔を僕の方に向けたりもせず、

(みぎうえをみあげたままぼくのひだりのうしろごしのあたりにそのみぎてをちからづよくふりおろした。)

右上を見上げたまま僕の左の後腰の辺りにその右手を力強く振り下ろした。

など

(ひつぜつにつくしがたいげきつうと、ぼくのからだをつきぬけたほうちょうがゆかにとうたつする、こん、)

筆舌に尽くしがたい激痛と、僕の体を突き抜けた包丁が床に到達する、コン、

(というおとがきこえた。ぼくはこんちゅうさいしゅうのひょうほんのこんちゅうのようにゆかにぬいつけられて)

という音が聞こえた。僕は昆虫採集の標本の昆虫のように床に縫い付けられて

(しまっていた。そのときのぼくはひっしにおことにあやまっていた。なにをどのように)

しまっていた。その時の僕は必死にお琴に謝っていた。なにをどのように

(あやまっていたのかはおぼえていない。ただひっしでからだをよじらせ、じょうはんしんだけおことの)

謝っていたのかは覚えていない。ただ必死で体をよじらせ、上半身だけお琴の

(ほうをむけてあやまっていた。むひょうじょうのおことはいっけんちからをいれているふうでもなかったが、)

方を向けて謝っていた。無表情のお琴は一見力を入れている風でも無かったが、

(ぼくのこしのあかさびたほうちょうをにぎりしめているしろいては、ぎりぎりとこきざみに)

僕の腰の赤錆びた包丁を握りしめている白い手は、ギリギリと小刻みに

(ふるえていた。どのくらいじかんがたったのか、そのげきつうはいたみをとおりこしてあつく)

震えていた。どの位時間が経ったのか、その激痛は痛みを通り越して熱く

(かんじられ、ぼくがねばねばしたじぶんのちのうみであえぎしゃざいのことばをならべているなか、)

感じられ、僕がネバネバした自分の血の海であえぎ謝罪の言葉を並べている中、

(こんどはむねがくるしくなりはじめた。いきがくるしく、なにかにおさえつけられているような)

今度は胸が苦しくなり始めた。息が苦しく、何かに押さえつけられているような

(かんしょくで、ことばすらでにくくなった。しぬ・・・いやしんだとおもった。がそのとき、)

感触で、言葉すら出にくくなった。死ぬ・・・いや死んだと思った。がその時、

(とつぜんぼくはじぶんのへやでめがさめた。じこくはあさ5じはん。まどからはいるきよらかなあさの)

突然僕は自分の部屋で目が覚めた。時刻は朝5時半。窓から入る清らかな朝の

(ひかりとことりのこえがした。あおむけにねていたぼくはふたつのふしぜんなことにきがついた。)

光と小鳥の声がした。仰向けに寝ていた僕は二つの不自然な事に気が付いた。

(ひとつはぼくのむねのうえにしろがからだをひだりがわにむけてすわっていて、ぼくのひだりがわにあるまどの)

一つは僕の胸の上にシロが体を左側に向けて座っていて、僕の左側にある窓の

(ほうこうにむかってうなっていた。ぼくがめざめるとすぐにうなるのをやめて、むねから)

方向に向かって唸っていた。僕が目覚めるとすぐに唸るのをやめて、胸から

(おりてまたあしもとでまるくなった。もうひとつは、じぶんがあせびっしょりであるのは)

下りてまた足元で丸くなった。もう一つは、自分が汗びっしょりであるのは

(りかいできたが、ひだりうしろごしにはしるきょうれつなげきつうで1じかんばかりうごけなかったことだ。)

理解できたが、左後腰に走る強烈な激痛で1時間ばかり動けなかったことだ。

(しばらくべっどでりょうあしをかかえこむようにしてもんぜつしていたのだが、あしもとのしろが)

しばらくベッドで両足を抱え込むようにして悶絶していたのだが、足元のシロが

(あくびをしてまるくなっているのをみて、いたみはあっても、きけんはさったのだと)

あくびをして丸くなっているのを見て、痛みはあっても、危険は去ったのだと

(さとった。じつはしろはこのときだけでなく、いぜんから、そしてこれいごもかなしばりに)

悟った。実はシロはこの時だけでなく、以前から、そしてこれ以後も金縛りに

(あったときや、もうなくなっているゆうじんがゆめでむかえにきたときもおこしてくれたり、)

あった時や、もう亡くなっている友人が夢で迎えに来た時も起こしてくれたり、

(これまでずっとりかいにくるしむふしぜんなことからたすけてくれていた、ぼくにとって)

これまでずっと理解に苦しむ不自然な事から助けてくれていた、僕にとって

(せいびょうだった。そのごぼくはいちどしかそのやかたにはおとずれていない。そのいちどというのも)

聖猫だった。その後僕は一度しかその館には訪れていない。その一度と言うのも

(やかたにはほとんどはいらず、それもそれまでのようなあそびはんぶんではなく、なかば)

館にはほとんど入らず、それもそれまでのような遊び半分ではなく、なかば

(むりやりつきあわされてはいらなければならないじょうきょうにおちいったからだ・・・。)

無理矢理付き合わされて入らなければならない状況に陥ったからだ・・・。

(なつやすみもあけてがっこうがはじまった。もちろんぼくらはそのいえのことをまたほかのゆうじんに)

夏休みも明けて学校が始まった。もちろん僕らはその家の事をまた他の友人に

(はなしをした。あのやかたはぼくらがおもっていたよりもゆうめいだったようで、ほかのちゅうがっこうから)

話をした。あの館は僕らが思っていたよりも有名だったようで、他の中学校から

(きたゆうじんが、ぼくらがしっていることいがいのうわさをおしえてくれた。ぼくらのはなしをきいた)

きた友人が、僕らが知っている事以外の噂を教えてくれた。僕らの話を聞いた

(あとに、「あんたらうんがよかったな~。」といういみしんちょうなことばとともに・・・。)

後に、「あんたら運が良かったな~。」という意味深長な言葉と共に・・・。

(そのうわさとは、あのやかたにはとうしんだいのにほんにんぎょうのほかに、とうしんだいとまではいかないが、)

その噂とは、あの館には等身大の日本人形の他に、等身大とまではいかないが、

(かなりおおきいふらんすにんぎょうがあったらしい。しろいわんぴーすのどれすを)

かなり大きいフランス人形があったらしい。白いワンピースのドレスを

(きせられたそれはにかいにあり、それをみたものには、それがついてくるかのうせいが)

着せられたそれは二階にあり、それを見た者には、それがついてくる可能性が

(ある。とうじぼくらのように、そのゆうじんたちのとおいせんぱいにあたるだんじょすうにんがあのやかたに)

ある。当時僕らのように、その友人達の遠い先輩にあたる男女数人があの館に

(はいり、そのふらんすにんぎょうをみた。そしてそのひはみななにごともなくいえにかえった)

入り、そのフランス人形を見た。そしてその日は皆何事も無く家に帰った

(らしいのだが、そのすうじつごのあるひ、そのうちのひとりががっこうのとしょしつでひめいを)

らしいのだが、その数日後のある日、その内の一人が学校の図書室で悲鳴を

(あげてそっとうし、きゅうきゅうしゃではこばれた。そしてそのひからがっこうをやすむようになった。)

上げて卒倒し、救急車で運ばれた。そしてその日から学校を休むようになった。

(すうじつごにしんぱいしたほかのゆうじんたちがかのじょのいえにおみまいにいったところ、かのじょは)

数日後に心配した他の友人達が彼女の家にお見舞いに行ったところ、彼女は

(たったすうじつのあいだにおどろくほどやせほそっており、ひるまであるのにかーてんをしめて)

たった数日の間に驚く程痩せ細っており、昼間であるのにカーテンを閉めて

(いた。へやをくらくさえぎっているそのかーてんをあけようとすると、いじょうにいやがり)

いた。部屋を暗く遮っているそのカーテンを開けようとすると、異常に嫌がり

(さけびごえをあげたという。そのときにはすでにしょうきをうしないかけていたようなのだが)

叫び声を上げたという。その時には既に正気を失いかけていたようなのだが

(まだはなしはできたようで、じぶんのじょうきょうをたどたどしくこうはなしたそうだ。さいしょは)

まだ話はできたようで、自分の状況をたどたどしくこう話したそうだ。最初は

(きのせいだとおもった。ただまどやかがみなど、すきとおってむこうがみえるものや、)

気のせいだと思った。ただ窓や鏡など、透き通って向こうが見えるものや、

(はんしゃしてぞうをうつすものをみたときにまいかい、それもいっしゅんだけだが、なにかすばやくかくれる)

反射して像を映すものを見た時に毎回、それも一瞬だけだが、何か素早く隠れる

(ものがみえた・・・。がっこうのきょうしつのまどでも、まんしょんのこうそうにいちするじたくの)

ものが見えた・・・。学校の教室の窓でも、マンションの高層に位置する自宅の

(といれのまどにも、ときにははんびらきになったどあのむこうがわにも・・・。かのじょは)

トイレの窓にも、時には半開きになったドアの向こう側にも・・・。彼女は

(それをきのせいとおもってまったくきにもとめていなかったようなのだが、あるとき、)

それを気のせいと思って全く気にも留めていなかったようなのだが、ある時、

(そのすばやくうごくなにかとめがあってしまい、そのいぎょうのもののしょうたいがわかった。)

その素早く動く何かと目が合ってしまい、その異形のものの正体がわかった。

(それはあおいがらすだまのめをしたあのふらんすにんぎょうだったらしい。それがおこった)

それは青いガラス玉の目をしたあのフランス人形だったらしい。それが起こった

(ばしょこそ、かのじょがたおれたがっこうのとしょしつであり、いちどめがあってしょうたいをしられた)

場所こそ、彼女が倒れた学校の図書室であり、一度目が合って正体を知られた

(そのふらんすにんぎょうは、それいごもうかくれようともせず、こんどはへやのなかに)

そのフランス人形は、それ以後もう隠れようともせず、今度は部屋の中に

(はいろうとしてくるのだそうだ。よなよなそのふらんすにんぎょうが、まんしょんの)

入ろうとしてくるのだそうだ。夜な夜なそのフランス人形が、マンションの

(かのじょのへやのまどについているあんぜんようのこうしにしがみつきながら、りょうてでまどを)

彼女の部屋の窓に付いている安全用の格子にしがみつきながら、両手で窓を

(ひらこうとするあくむがおこなわれた・・・。しかしまどをあけるにはいたらず、またまども)

開こうとする悪夢が行われた・・・。しかし窓を開けるには至らず、また窓も

(きしみもせず、きずもつかなかった。それは、かのじょのめにはみえても、おもさが)

軋もせず、傷も付かなかった。それは、彼女の目には見えても、重さが

(ないようであり、またおもみがあるものをうごかせないのかもしれない、といった)

ないようであり、また重みがあるものを動かせないのかもしれない、といった

(ないようのことをはなしたらしい。げんかくにしろ、おもいこみにしろ、かのじょのめだけにみえる)

内容の事を話したらしい。幻覚にしろ、思い込みにしろ、彼女の目だけに視える

(きょうふがあきらかにかのじょのせいしんをがいしていたらしく、そのゆうじんたちがおみまいにいった)

恐怖が明らかに彼女の精神を害していたらしく、その友人達がお見舞いに行った

(すうじつごには、かのじょはどこかめんかいできないびょういんににゅういんさせられていた。とこういう)

数日後には、彼女はどこか面会できない病院に入院させられていた。とこういう

(うわさである。それはとしでんせつてきなよくあるかいだんばなしのようなはなしであり、そのにゅういんした)

噂である。それは都市伝説的なよくある怪談話のような話であり、その入院した

(かのじょがほんとうにそんざいしたのかもまゆつばものだが、そのふらんすにんぎょうにかんしてはすこし)

彼女が本当に存在したのかも眉唾物だが、そのフランス人形に関しては少し

(しんぴょうせいがあった。なぜならぼくはしょうがくせいのころ、ゆうじんからあのやかたのふらんすにんぎょうの)

信憑性があった。なぜなら僕は小学生の頃、友人からあの館のフランス人形の

(うわさについてきいたことがあったからだ。はじめてあのやかたのうわさをきいたのは、)

噂について聞いた事があったからだ。初めてあの館の噂を聞いたのは、

(にほんにんぎょうではなく、あるおおきなふらんすにんぎょうにかんしてのことだった。それはあの)

日本人形ではなく、ある大きなフランス人形に関しての事だった。それはあの

(かめたにもきいたことがあるともいっていた。だからこそとうじ、しょうがくせいだったぼくは)

亀谷も聞いた事があるとも言っていた。だからこそ当時、小学生だった僕は

(そのうわさでしかきいたことのないやかたを、ようふうのやかただとかってにそうぞうしていたものだ。)

その噂でしか聞いた事のない館を、洋風の館だと勝手に想像していたものだ。

(それほどそのふらんすにんぎょうはゆうめいだった。そのこうこうのぼくのゆうじんは、もしその)

それほどそのフランス人形は有名だった。その高校の僕の友人は、もしその

(ふらんすにんぎょうをみつけてしまっていたら、ぼくらについてきてそのはなしのけつまつの)

フランス人形を見つけてしまっていたら、僕らについてきてその話の結末の

(ようになっていたかもしれない、そういういみでそれをめにしなかったぼくらを)

ようになっていたかもしれない、そういう意味でそれを目にしなかった僕らを

(こううんだったといったようだった。じっさいにはあのいえのにかいにはふらんすにんぎょうが)

幸運だったと言ったようだった。実際にはあの家の二階にはフランス人形が

(にあうへやなどなかったのだが、そういえばあれだけげんじゅうなとじまりだったのに、)

似合う部屋など無かったのだが、そういえばあれだけ厳重な戸締りだったのに、

(にかいのまどだけぶようじんにもあいたままだったことにそのとききがついた。そしてまた、)

二階の窓だけ不用心にも開いたままだった事にその時気が付いた。そしてまた、

(ぼくのきおくにむじゅんがあることに、いま、これをかいているさいちゅうにきがついた。それは)

僕の記憶に矛盾がある事に、今、これを書いている最中に気が付いた。それは

(じつにおそろしいこと・・・、あのとき、ぼくがからだをもちあげてやねからあのにかいにはじめて)

実に恐ろしい事・・・、あの時、僕が体を持ち上げて屋根からあの二階に初めて

(はいったとき・・・、かーてんはほんとうにあったのか・・・?げんかんまえからまどをみたとき、)

入った時・・・、カーテンは本当にあったのか・・・?玄関前から窓を見た時、

(あのまどにはふきつなしろいかーてんがゆらゆらゆれていたことはかくじつにぼくののうりに)

あの窓には不吉な白いカーテンがユラユラ揺れていたことは確実に僕の脳裏に

(やきついている。あのかーてんがみえたからこそ、ぼくはにかいのまどがあいている)

焼き付いている。あのカーテンが見えたからこそ、僕は二階の窓が開いている

(ことにきがついたのだ。あのとき、ぼくらがはじめてやかたにはいったときに・・・、りょうてを)

事に気が付いたのだ。あの時、僕らが初めて館に入った時に・・・、両手を

(つかってからだをもちあげたまどごしに・・・、なぜへやのなかのいようなぶつぞうぐんがめに)

使って体を持ち上げた窓越しに・・・、なぜ部屋の中の異様な仏像群が目に

(はいったのか・・・?かーてんにさえぎられていたはずなのに・・・。もちろん、ぼくに)

入ったのか・・・?カーテンに遮られていたはずなのに・・・。もちろん、僕に

(かーてんをてでよけたきおくなどない・・・。そして、うちがわからみたそのぶつぞうの)

カーテンを手で避けた記憶などない・・・。そして、内側から見たその仏像の

(へやのぼくらのきおくには、まどはあってもかーてんなどあったきおくはいっさいないのだ。)

部屋の僕らの記憶には、窓はあってもカーテンなどあった記憶は一切ないのだ。

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