純情アルメリア

(むせぶさくらながめて)

むせぶ 桜眺めて

(ながるる「とき」をきざむいまでも)

流るる「とき」を刻む 今でも

(よこちょうでみかけたあなた)

横丁で見かけたあなた

(めがあうとほほえんで)

目が合うと微笑んで

(きにもかけてないものと)

気にもかけてないものと

(おもっていたあのひ)

思っていた あの日

(といきもいまだこおるから)

吐息も未だ凍るから

(ひえたてにはなしたわああ)

冷えた手に話したわ 嗚呼

(はなのにおいがするまで)

花の匂いがするまで

(このいきもいろづく)

この息も色付く

(ぐうぜんとふれるてにおちたりんご)

偶然と 触れる手に 落ちた林檎

(さめたてからつたわるようにふかいねむりもさめた)

冷めた手から 伝わるように 深い眠りも醒めた

(もえるようなあかいりんごわたしのしろいはだ)

燃えるような赤い林檎 私の白い肌

(そうほおからそまってくかくせないうらもよう)

そう 頬から 染まってく 隠せない裏模様

(めにもみえぬあかいいとわたしにはきれない)

目にも見えぬ赤い糸 私には斬れない

(ああこえにもだせぬほどいろにおちて)

ああ 声にも出せぬほど 色に落ちて

(ゆめみほおづえたえまなく)

夢見頬杖絶え間なく

(あなたをねさがしてる)

あなたをね 探してる

(わたしのなかのもうはんぶん)

私の中のもう半分

(ああうそだとおもいたい)

嗚呼 嘘だと思いたい

(たわいもなくかったかんざし)

他愛もなく 買った簪

(ああああそらごと)

嗚呼 嗚呼 空言

(それだけなのにそれだけだったのに)

それだけなのに それだけだったのに

(じゅんじょうなおもいさかせはなふぶく)

純情な想い 咲かせ 花吹雪く

(みじかくそろえたかみもあなたがのぞむなら)

短く揃えた髪も あなたが望むなら

(のばしてもいいなんてまるでおとめのように)

伸ばしてもいいなんて まるで乙女のように

(ろぼうのはしにさいてるはくしょくあるめりあ)

路傍の端に咲いてる 白色アルメリア

(ああちいさいはなびらもどうかきづいてほしい)

ああ 小さい花片も どうか 気付いてほしい

(めとめがあったせつなせかいはうごきをとめて)

目と目があった刹那 世界は動きを止めて

(ほんのすこしだけ・・・かりそめのゆめをみせて・・・ああ)

ほんの少しだけ…かりそめの夢を見せて…嗚呼

(はかないあだざくら)

儚い徒桜

(もえさかるようなりんごまんげきょうのごとく)

燃え盛るような林檎 万華鏡の如く

(あきらめのつけられないこのきもちをむすぶ)

諦めのつけられない この気持ちを結ぶ

(あめもくうきもじかんもわたしにはきれない)

雨も空気も時間も 私には斬れない

(ああみじゅくなかじつなどすててしまいなさいと)

ああ 未熟な果実など 捨ててしまいなさいと

(のばしたあかいいとはいずれもつれるだろう)

伸ばした赤い糸は いずれもつれるだろう

(しゅくめいのつるぎでひめたおもいたちきって)

宿命の剣で 秘めた想い断ち切って

(ほんとうはのぞんだ)

本当は望んだ

(みらいえいごうとどかない)

未来永劫届かない

(さかないさくら)

咲かない桜

(ああふゆがおわる)

嗚呼冬が終わる