キャバレー・クラブ・ギミック

(ばすえはちゅうはんじょうはなざかりではあるが)

場末は中繁盛花盛りではあるが

(ひんせいのないおんなたちのかんゆうごえに)

品性の無い女達の勧誘声に

(ていちょうにのーさんきゅーこうかくのかたがわだけ)

丁重にノーサンキュー口角の片側だけ

(つりあげにひるぐちでよるをあるく)

吊り上げニヒル口で夜を歩く

(おれとおれのかげ)

俺、と俺の影

(ひとこいしくなってあるいはぽけっとのなか)

人恋しくなって、或いはポケットの中

(あぶいてるこぜにのすてばにこまって)

泡いてる小銭の捨て場に困って

(このまちでさんばんめにきりょうのわるいおんなに)

この街で三番目に器量の悪い女に

(さそわれるままざっきょびるのごかいへ)

誘われるまま雑居ビルの５階へ

(ちゃくせきとどうじにおにーさんなんかうたってっていう)

着席と同時に『おにーさん、なんか歌って』って云う

(ここはあくゆうにならいわらってじゅうはちばんをうたえば)

ここは阿久悠に習い、笑って十八番を歌えば

(わーすごいぷろみたいってせじ)

『わーすごいプロみたい』って世辞

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(あたまのなかすべてからっぽにすればたのしいっちゃあたのしい)

頭の中すべて空っぽにすれば楽しいっちゃあ楽しい

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(どういうりょうけんでこのやすもののうぃすきーがそんなねだんになるのか)

どういう了見でこの安物のウィスキーがそんな値段になるのか

(ばすえのさんげんそくのんでかってうつになって)

場末の三原則呑んで買って鬱になって

(きづけばにじゅうごじのろじうらのうえ)

気付けば二十五時の路地裏の上

(したたかにめいていしておんなとかわしたわずかな)

したたかに酩酊して女と交わしたわずかな

(ことばがあたまのなかうかんできえる)

言葉が頭の中浮かんで消える

(ほかにきれいなこいたのになんでってえいきゅうにつづくといに)

『他に綺麗な娘いたのになんで？』って永久に続く問いに

(はつこいのひとににてるからさってついたうそと)

『初恋の人に似てるからさ』ってついた嘘と

(えーもてそうなのにってせじ)

『えーモテそうなのに！』って世辞

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(このうすあかりのなかめをほそめりゃかわいいっちゃあかわいい)

この薄明かりの中、目を細めりゃ可愛いっちゃあ可愛い

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(りくつっぽいしょうぶんとみょうなじそんしんがじゃまでわらえもしないのさ)

理屈っぽい性分と妙な自尊心が邪魔で笑えもしないのさ

(あかいめまいにゆれるまてんろうのとっさきがよぞらを)

赤い目眩に揺れる摩天楼の突先が夜空を

(いまにもかんつうしそうさ)

今にも貫通しそうさ

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(あたまのなかすべてからっぽにすればたのしいっちゃあたのしい)

頭の中すべて空っぽにすれば楽しいっちゃあ楽しい

(きゃばれーくらぶぎみっく)

キャバレー・クラブ・ギミック

(どういうりょうけんでこのやすもののうぃすきーがそんなねだんになるのか)

どういう了見でこの安物のウィスキーがそんな値段になるのか

(めいくらぶぎみっく)

メイクラブ・ギミック

(ぜんりょうなちゅうねんのよっきゅうはくるったししゅんきのねつをおびる)

善良な中年の欲求は狂った思春期の熱を帯びる

(さたでーないとみみっく)

サタデー・ナイト・ミミック

(かんじょうのときにみたあどけないやえばがやけにしみつくよる)

勘定の時に見たあどけない八重歯がやけに染み付く夜