新世界

(「ぼくときみならきっとこえていけるさ」)

「僕と君なら　きっと越えて行けるさ」

(そういったきみのこえがほそくふるえていたんだ)

そう言った君の声が　細く震えていたんだ

(あといくつの「よる」と「からっぽ」かみしめたら)

あといくつの「夜」と「空っぽ」噛み締めたら

(たどりつけるのかもしるひとさえかいむ)

辿りつけるのかも　知る人さえ皆無

(「あたりまえ」がもどってきたとして)

「当たり前」が戻って来たとして

(それはもうあかのたにん)

それはもう　赤の他人

(きっとおなじせかいにはもうもどらない)

きっと同じ世界には　もう戻らない

(「ただいま」とあけたどあのさきは「しんせかい」)

「ただいま」と開けたドアの先は「新世界」

(ぼくらながいことくずれるあしもとを)

僕ら長いこと　崩れる足元を

(「うえむいてあるけよ」とめをそらしすぎた)

「上向いて歩けよ」と　眼をそらしすぎた

(ないてないてないてなんかないよ)

泣いて　泣いて　泣いて　なんかないよ

(ないてないてないてないてないよ)

泣いて　泣いて　泣いて　泣いてないよ

(「ないで」「ないで」「ないで」ないてないで)

「凪いで」「凪いで」「凪いで」泣いてないで

(ないてないてないてないてないよって)

泣いて　泣いて　泣いて　泣いてないよって

(みてたいものだけにぴんとをあわせては)

見てたいものだけにピントを合わせては

(あとはもざいくでちきゅうをおおったの)

あとはモザイクで　地球を覆ったの

(ぼくらそらにおちてくびるははがれおちてく)

僕ら空に落ちてく　ビルは剥がれ墜ちてく

(かねはひふをはいでくばせいははねかえってく)

金は皮膚を剥いでく　罵声は跳ね返ってく

(いけにえはつもってくうんめいはいびきかいてる)

生け贄は積もってく　運命はイビキかいてる

(きれいな０をかいてさあたらしくしよう「いま」)

綺麗な０を描いてさ　新しくしよう「今」

(きずだらけのまいごだけがうまれることをゆるされたこのちきゅうのうえで)

キズだらけの迷子だけが　産まれることを許されたこの地球の上で

(なにを「ゆうれつ」などとのたまう？)

何を「優劣」などとのたまう？

(じっきょうせきできょうもかまえるかみよなにをおもうあなたのまなこでみとどけたまえ)

実況席で今日も構える神よ　何を思う　あなたの眼で見届けたまえ

(このかたすとろふぃのけつまつを)

このカタストロフィの結末を

(「ぼくときみならきっとこえていけるさ」)

「僕と君なら　きっと越えて行けるさ」

(そういったきみのこえがほそくふるえていたんだ)

そう言った君の声が　細く震えていたんだ

(ゆめはさめるまではまだゆめではないさ)

夢は覚めるまでは　まだ夢ではないさ

(うそがばれるまではうそではないように)

嘘がバレるまでは　嘘ではないように

(「このじくうでさいごのこいならばきみとこえていきたい」)

「この時空で最期の恋ならば　君と越えて行きたい」

(よどみきったしんじつなんてほしくないんでしょ)

淀みきった真実　なんて欲しくないんでしょ

(かわいいかおのうそがすきでしかたないんでしょ？)

可愛い顔の嘘が　好きで仕方ないんでしょ？

(きみがかちたいならぼくはまけでいいから)

君が勝ちたいなら　僕は負けでいいから

(それでうれしいんならじゃあえがおをみせてよ)

それで嬉しいんなら　じゃあ笑顔を見せてよ

(きみとえがきたいのさゆれたせんでいいから)

君と描きたいのさ　揺れた線でいいから

(あすのあさあたりせかいをかえにいこうかね)

明日の朝あたり　世界を変えにいこうかね