異国

(とめられながらもさるまちならば)

とめられながらも去る町ならば

(ふるさととよばせてもくれるだろう)

ふるさとと呼ばせてもくれるだろう

(ふりきることをとうとびながら)

ふりきることを尊びながら

(たびをいざなうまつりがきこえる)

旅を誘うまつりが聞こえる

(にどとくるなとつばをはくまち)

二度と来るなと唾を吐く町

(わたしがそこでいきてたことさえ)

私がそこで生きてたことさえ

(おぼえもないねとまちがいうなら)

覚えもないねと町が云うなら

(いまわのきわにもそこはいこくだ)

臨終の際にもそこは異国だ

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける

(わるぐちひとつもじまんのように)

悪口ひとつも自慢のように

(ふるさとのはなしはあたたかい)

ふるさとの話はあたたかい

(わすれたふりをよそおいながらも)

忘れたふりを装いながらも

(くつをぬぐばしょがあけてあるふるさと)

靴を脱ぐ場所があけてあるふるさと

(しがみつくにもあしさえみせない)

しがみつくにも足さえみせない

(うらみつくにもそでさえみせない)

うらみつくにも袖さえみせない

(なかれるいわれもないというなら)

泣かれるいわれもないと云うなら

(あのよもじごくもあたしにはいこくだ)

あの世も地獄もあたしには異国だ

(まちはあたしをしんでもよばない)

町はあたしを死んでも呼ばない

(あたしはふるさとのはなしにはいれない)

あたしはふるさとの話に入れない

(くにはどこかときかれるたびに)

くにはどこかときかれるたびに

(まだありませんとうつむく)

まだありませんとうつむく

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける

(ひゃくねんしてもあたしはしねない)

百年してもあたしは死ねない

(あたしをうめるばしょなどないから)

あたしを埋める場所などないから

(ひゃくおくつぶのはいになってもあたし)

百億粒の灰になってもあたし

(かえりじたくをしつづける)

帰り支度をしつづける