生きてゆくおまえ

(ちいさなひつじちいさなひつじ)

小さな羊小さな羊

(どあをあけてどあをあけて)

ドアをあけてドアをあけて

(いえいえきつねあけられない)

いえいえキツネあけられない

(ままがまだもどらなくて)

ママがまだ戻らなくて

(ちいさなめいちいさなめい)

小さな美小さな美

(どあをあけてどあをあけて)

ドアをあけてドアをあけて

(いえいえきつねあけられない)

いえいえキツネあけられない

(ままがまだもどらなくて)

ママがまだ戻らなくて

(ごがつのかぜのなかでおまえはうまれてきた)

五月の風の中でおまえは生まれて来た

(ちいさなてをさしだしてわたしにだきついたよ)

小さな手を差し出して私に抱きついたよ

(なにもないわたしにはあたえるものもなくて)

何もない私には与えるものもなくて

(このなをふたつにわけてつけた)

この名を二つに分けてつけた

(ちいさなめいのなを)

小さな美の名を

(ちちおやもないおまえよろこんでくれたのは)

父親もないおまえ喜んでくれたのは

(おさないともだちひとりだけほかにだれもいない)

幼い友達ひとりだけ他に誰もいない

(なつのすこーるのしたともにあやしてくれた)

夏のスコールの下共にあやしてくれた

(かのじょはどこへとつぐのだろうしあわせゆめみてた)

彼女は何処へ嫁ぐのだろう幸せ夢見てた

(きっとあいをみつけてよ)

きっと愛をみつけてよ

(ほんとうのあいをみつけてよ)

本当の愛をみつけてよ

(いとしいおまえ)

愛しいおまえ

(でもわたしのうでのなかおまえはやせていった)

でも私の腕の中おまえはやせていった

(あんなかなしいことはないおまえがなかなくなる)

あんな悲しいことはないおまえが泣かなくなる

(よわかったわたしのせいのませるちちがでない)

弱かった私のせい飲ませる乳が出ない

(みるくにかえるきものもつきて)

ミルクに替える着物も尽きて

(おまえがなかなくなる)

お前が泣かなくなる

(ゆめのようなしあわせともだちはてにいれた)

夢のような幸せ友達は手に入れた

(おかのうえのしゃんぐりらにみそめられてゆくこと)

丘の上のシャングリラにみそめられてゆくこと

(わたしたちのなかからしあわせものがでると)

私たちの中から幸せ者が出ると

(よろこびあった)

喜びあった

(わたしのぶんもしあわせになってよと)

私の分も幸せになってよと

(でもわたし、ぐうぜんきいた)

でも私、偶然聞いた

(うらまちでよったぼーいのこえ)

裏街で酔ったボーイの声

(「たまのこしなどじゃない、ほんごくにおくがたが」)

「玉の輿などじゃない、本国に奥方が」

(しらせなけりゃしらせなけりゃ)

知らせなけりゃ知らせなけりゃ

(かのじょはしあわせになれない)

彼女はしあわせになれない

(かけだしたそのとき)

駆けだしたその時

(おまえがないた)

おまえが泣いた

(・・・・・・むかえのくるままつともだちに)

・・・・・・迎えの車待つ友達に

(ねむりぐすりのませた)

眠り薬飲ませた

(おまえはしらないだろうわたしがないてたことも)

おまえは知らないだろう私が泣いてたことも

(とおざかるくるまのなかであかりがとおくなっても)

遠ざかる車の中で灯りが遠くなっても

(てをふりつづけながらいきてとねがっていた)

手を振り続けながら生きてと願っていた

(わたしはとおくじごくでくらし)

私は遠く地獄で暮らし

(たからものをおくるよ)

宝物を送るよ

(きっとあいをみつけてよ)

きっと愛をみつけてよ

(ほんとうのあいをみつけてよ)

本当の愛をみつけてよ

(いきてゆくおまえ)

生きてゆくおまえ

(きっとあいをみつけてよ)

きっと愛をみつけてよ

(ほんとうのあいをみつけてよ)

本当の愛をみつけてよ

(いきてゆくおまえ)

生きてゆくおまえ

(ちいさなしゃおめいちいさなしゃおめい)

ちいさな小美ちいさな小美

(いきていてよいきていてよ)

生きていてよ生きていてよ

(ちいさなしゃおめいちいさなしゃおめい)

小さな小美小さな小美