縄跳び部のうた（二番）

(こんにちはさむいわね)

「こんにちは、寒いわね」

(こんにちはそうですね)

「こんにちは、そうですね。

(ところでただひこおじさんのひざのぐあいはどうなのよ)

ところでタダヒコおじさんの、膝の具合はどうなのよ」

(おかげでさいきんいいみたいおいしゃもなおるといってるわ)

「おかげで最近いいみたい。お医者も治ると言ってるわ」

(よかったね)

「よかったね」

(よかったわ)

「よかったわ」

(まちこちゃん)

「マチ子ちゃん」

(なぁに？)

「なぁに？」

(そっちのほうはどうなのよ？)

「そっちの方はどうなのよ？」

(そっちって？なぁに？)

「そっちって？　なぁに？」

(そっちっていったらあっちでしょ)

「そっちって言ったらあっちでしょ。

(ういたはなしのひとつやふたつそろそろあってもいいころよ)

浮いた話の一つや二つ、そろそろあってもいいころよ」

(おばさんすぐにそのはなし)

「おばさん、すぐにその話。

(わたしはまだまだにじゅうごよはたらきざかりのｏｌよ)

わたしはまだまだ二十五よ。働き盛りのOLよ」

(まだじゃないわよもうなのよ)

「まだじゃないわよ、"もう"なのよ。

(にじゅうごこえたらはやいわよあっというまにほらみそじ)

二十五越えたら早いわよ。あっという間にほら三十路」

(とにかくいまのわたしにはしごとがいちばんだいじなの)

「とにかく今のわたしには、仕事が一番大事なの」

(そんなこといわないで)

「そんなこと、言わないで。

(しゃしんだけでもみてみたら)

写真だけでも見てみたら」

(おみあいだったらしないわよ)

「お見合いだったらしないわよ。

(いっときますけどわたしにだってきになるおとこのひとくらい)

言っときますけどわたしにだって、気になる男の人くらい。

(いないわけでもなくってよ)

いないわけでもなくってよ」

(みずくさいわねまちこちゃん)

「みずくさいわね、マチ子ちゃん

(いったいどんないいおとこ？)

いったいどんないい男？

(ぎんこういん？しょうけんまん？それともせいねんじつぎょうか？)

銀行員？　証券マン？　それとも青年実業家？」

(いえいえかれはげいじゅつかあぶらえかいてうりながらせかいをたびするばがぼんど)

「いえいえ彼は芸術家。油絵描いて売りながら、世界を旅するバガボンド」

(やっぱりごろうのことなのね)

「やっぱりゴロウのことなのね。

(いっときますけどまちこちゃん)

言っときますけどマチ子ちゃん。

(あなたとあいつはどうしてもけっこんできないさだめなの)

あなたとアイツはどうしても、結婚できない定めなの」

(おばさんどうしてそんなことだれにもきめられないでしょう)

「おばさんどうしてそんなこと。誰にも決められないでしょう」

(いよいよあなたにこのことをいうべきときがきたようね)

「いよいよあなたにこのことを、言うべきときがが来たようね。

(いいことあなたとあいつはねふたごのきょうだいだったのよ)

いいことあなたとアイツはね、双子の兄妹だったのよ」

(ははははは！ははははは！)

「......ハハハハハ！　ハハハハハ！

(しっていたわよそんなことけれどもそんなのかまわない)

知っていたわよそんなこと。けれどもそんなの構わない。

(わたしはおにいちゃんがすき！)

わたしは、お兄ちゃんがスキ！」