レイニー

(いつしかみていたあのそらをながめることもくるしくなった)

いつしか見ていたあの空を眺めることも苦しくなった

(こんなんじゃいつまでたっても)

こんなんじゃいつまで経っても

(どろみずをすするせいかつとはわかれられないから)

泥水をすする生活とは別れられないから

(どうかかみさまこのあめをやまさせてはくれないか)

どうか神様、この雨を止まさせてはくれないか

(ってねがえばかなうほどあまくないんだよ)

って願えば叶うほど甘くないんだよ

(なんていわれるまえにやめにしよう)

なんて言われる前にやめにしよう

(おもいあしどりでとうきょうをあるいた)

重い足取りで東京を歩いた

(ろじょうでうたってるせいねんにきいた)

路上で歌ってる青年に訊いた

(かねもねぇのにうたいつづけてばかのままでいきていくんですか)

「金もねぇのに歌い続けて馬鹿のままで生きていくんですか」

(ふとわらいながらせいねんはいう)

ふと笑いながら青年は言う

(いまがいちばんいきてるきがするんだ)

「今が一番生きてる気がするんだ」

(ばかなやつもいたもんなんだなきゃくもひとりもいないえきまえ)

馬鹿なやつもいたもんなんだな　客も一人もいない駅前

(そりゃそうだかれのうたはひどいもんさじぶんできづいているのかもあやしいくらいに)

そりゃそうだ彼の歌は酷いもんさ　自分で気づいているのかも怪しいくらいに

(でかいこえでさしゃかいへのふまんをぶちまけている)

でかい声でさ　社会への不満をぶちまけている

(どしゃぶりのなかうたいつづけてるかれを)

土砂降りの中歌い続けてる彼を

(ぼくはまだわからなかった)

僕はまだ分からなかった

(れいにー)

レイニー

(れいにー)

レイニー

(あしたのゆくえもしらないままぼくはとうきょうをあるいている)

明日の行方も知らないまま　僕は東京を歩いている

(めまぐるしくまわるかんじょうせんに)

目まぐるしく回る環状線に

(いちどみをあずけてみてもわるくないかなって)

一度身を預けてみても悪くないかなって

(すこしおもったそんなぼくのまえできょうもうたってる)

少し思った　そんな僕の前で今日も歌ってる

(あいかわらずきゃくはひとりもいないな)

相変わらず客は一人もいないな

(ぼくはかれにひとつきいた)

僕は彼に一つ訊いた

(かねもねぇのにうたいつづけてばかのままでいきていくんですか)

「金もねぇのに歌い続けて馬鹿のままで生きていくんですか

(こうしてきょうもぼうにふっているじんせいをつづけていくんですか)

こうして今日も棒に振っている　人生を続けていくんですか」

(たとえくっていけないとしてもさだれかにとどけばいいやそれに)

「たとえ食っていけないとしてもさ　誰かに届けばいいや、それに」

(ふとわらいながらせいねんはいう)

ふと笑いながら青年は言う

(いまがいちばんいきてるきがするんだ)

「今が一番生きてる気がするんだ」

(どしゃぶりのあめのなかでもうたうかれのことをばかだとおもったよ)

土砂降りの雨の中でも歌う　彼のことを馬鹿だと思ったよ

(まちいくひとにばかにされながらうたうかれをばかだとおもったよ)

街行く人に馬鹿にされながら　歌う彼を馬鹿だと思ったよ

(こんなあめならわるくないなってわらうかれをばかだとおもったよ)

こんな雨なら悪くないなって　笑う彼を馬鹿だと思ったよ

(かれのようにそらをみあげてわらっていたい)

彼のように空を見上げて笑っていたい