海中の月を掬う

(しずんでくからだがふとみあげたたゆたうみなもに)

沈んでく身体がふと見上げた揺蕩う水面に

(がらくたのこころをつなぎあわせてきみのもとへと)

ガラクタの心を繋ぎ合わせて君の元へと

(ひかりもとどかないかいていさまよったきみにあいたかったの)

光も届かない海底彷徨った君に会いたかったの

(もうかおもふたしかでそれでもどうしてこんなにいとしいの)

もう顔も不確かでそれでもどうしてこんなに愛しいの

(さびついたしんぞうこどうがまだねつをおぼえている)

錆びついた心臓鼓動がまだ熱を覚えている

(ねえきみがくれたうたをずっとここでうたおう)

ねえ君がくれた歌をずっとここで歌おう

(いまはきみにただきみにだけとどいてほしい)

今は君にただ君にだけ届いて欲しい

(つめたいうみにこごえるまえにからだをだきしめさせて)

冷たい海に凍える前に身体を抱きしめさせて

(あふれるなみだとめてほしい)

溢れる涙止めて欲しい

(おぼれてしまうから)

溺れてしまうから

(うみにうかんだつきすくいあげるゆうきすらなかった)

海に浮かんだ月掬いあげる勇気すらなかった

(かるくにぎりしめる)

軽く握りしめる

(たったそれだけできえてしまうきがして)

たったそれだけで消えてしまう気がして

(はかなげにゆれてる)

はかなげに揺れてる

(うすれるきおくとほほえむきみは)

薄れる記憶と微笑む君は

(いまさらてをのばすけどざんこくにきれいでとおすぎて)

今更手を伸ばすけど残酷に綺麗で遠すぎて

(ねえぼくはここでつきをみあげてうたをうたおう)

ねえ僕はここで月を見上げて歌を歌おう

(いつかきみにただきみにだけとどいてほしい)

いつか君にただ君にだけ届いて欲しい

(やくそくはもういらないから)

約束はもういらないから

(ぼくをてらしていてほしい)

僕を照らしていて欲しい

(はだしのままでわすれぬままで)

裸足のままで忘れぬままで

(あさのにおいのほうへ)

朝の匂いの方へ

(ざわめくなみのおとふとみおろしたたゆたうみなもに)

ざわめく波の音ふと見下ろした揺蕩う水面に

(あわくひかるつきがほほえんでいた)

淡く光る月が微笑んでいた

(そんなきがした)

そんな気がした