美しい彼

(おい、もってきたのかよ、それ。)

おい、持ってきたのかよ、それ。

(えたーなるだよ！)

エターナルだよ！

(このいしころってのがおまえか！)

この石ころってのがお前か！

(のむらいへえしょう)

野村伊兵衛賞

(おまえはただちにびょういんにいくべき)

お前は直ちに病院に行くべき

(きもちがわきあがってくる。)

気持ちが湧き上がってくる。

(ばかげてるこんなの。)

馬鹿げてるこんなの。

(にがくてすっぱいしっとのかんじょう。)

苦くて酸っぱい嫉妬の感情。

(わかってる。かなわないって、あんなしゃしんはおれにはとれない。)

わかってる。叶わないって、あんな写真は俺には撮れない。

(きっと、おれよりきよいを、きれいに。)

きっと、俺より清居を、綺麗に。

(でも、だれよりもおれこそが！きよいをいちばんうつくしく。)

でも、誰よりも俺こそが！清居を一番美しく。

(なんだともやー、あんなにときめいてんのかー？)

なんだ智也ー、安奈にときめいてんのかー？

(はぁー、ほんとうに、きよいがほしだったらよかったのに。)

はぁー、本当に、清居が星だったらよかったのに。

(たがいのつりあいも、げいのうかいのしがらみも、のむらいへえもかんけいないちょうくうかん。)

互いの釣り合いも、芸能界のしがらみも、野村伊兵衛も関係ない超空間。

(そんなうちゅうでであえていれば。)

そんな宇宙で出会えていれば。

(もらえたことばだけでいきていける。つよがりだ。)

貰えた言葉だけで生きていける。 強がりだ。

(おたがいがおたがいをおもいやるから、くるしい。)

お互いがお互いを思いやるから、苦しい。

(でも、はなれられない。)

でも、離れられない。

(きよい。はなしたい。)

清居。 話したい。

(いつものばしょでまってる。)

いつもの場所で待ってる。

(あいてをおもいどおりにうごかしたいとおもったら、それはもうふぁんじゃない。)

相手を思い通りに動かしたいと思ったら、それはもうファンじゃない。

(おれはきよいがこのよにそんざいしてくれればそれでいい。しょうめいなんかしなくていい。)

俺は清居がこの世に存在してくれればそれでいい。証明なんかしなくていい。

(きよいにてをだしたら、おれがおまえをころしてやるよ。)

清居に手を出したら、俺がお前を殺してやるよ。

(いきこっきよい)

行こっ清居

(おれは、てんごくにいるのかもしれない。)

俺は、天国にいるのかもしれない。

(それくらい、しあわせなゆめをみた。)

それくらい、幸せな夢を見た。

(きよいは、まるでこどもみたいになきじゃくっていて、)

清居は、まるで子供みたいに泣きじゃくっていて、

(だけど、しぬほど、うつくしかった。)

だけど、死ぬほど、美しかった。

(おまえがいないと。)

お前がいないと。

(おれに、じぶんのそばにいろといってくれていた。)

俺に、自分の側に居ろと言ってくれていた。

(なんというごほうびだろう。)

なんというご褒美だろう。

(このまましょうてんしてもかまわない。)

このまま昇天しても構わない。

(が、かみは、まだおまえはきんぐにつかえるせきむがあるとおれをげんじつにきした。)

が、神は、まだお前はキングに仕える責務があると俺を現実に帰した。

(のぐちさんよりきれいにとれよ。)

野口さんより綺麗に撮れよ。

(おれは、きよいそうだけがとりたい。)

俺は、清居奏だけが撮りたい。

(うつくしいきよいを、おれがだれよりもうつくしくとる。)

美しい清居を、俺が誰よりも美しく撮る。

(きも。)

きも。

(せいふくじゃねぇーし、それにちょっとふけたきするし。いいのかこんなしゃしん。)

制服じゃねぇーし、それにちょっと老けた気するし。いいのかこんな写真。

(きれいだよ。どんなきよいでもきれいだ。いちばんだ。)

綺麗だよ。どんな清居でも綺麗だ。一番だ。

(こうかいすんぞ、じかんはとめらんねえんだからな。)

後悔すんぞ、時間は止まらんねえんだからな。

(どんなすがたになってもなにがあっても、きよいはおれにとってだれよりもうつくしい)

どんな姿になってもなにがあっても、清居は俺にとって誰よりも美しい

(だったら、そばにいろ。ぜったいはなれんな。)

だったら、側に居ろ。絶対離れんな。

(ずっといっしょにいる。)

ずっと一緒にいる。

(すきだ、きよい。いっしょうそばにいさせてください。)

好きだ、清居。一生側に居させてください。

(ゆるす。)

許す。

(すれちがい。おいかけて、にげて。でもあきらめられなかった。)

すれ違い。追いかけて、逃げて。でも諦められなかった。

(そのひとといま、てをつないでおなじほうこうにはしってる。)

その人と今、手を繋いで同じ方向に走ってる。

(はる、なつ、あき、ふゆ。どれだけじがめぐり)

春、夏、秋、冬。どれだけ時が巡り

(はれのひがあっても、あめのひがあっても、おれはいっしょうきよいのそばにいる。)

晴れの日があっても、雨の日があっても、俺は一生清居の側にいる。

(さいこうのきんぐ、いや、おれの、おれだけの)

最高のキング、いや、俺の、俺だけの

(うつくしいかれ。)

美しい彼。

(そのかおはゆがんでいて、ぐしゃぐしゃで)

その顔は歪んでいて、ぐしゃぐしゃで