壊れた人形のマーチ

(くらいへやのなか)

暗い部屋の中

(かのじょはひとり)

彼女は独り

(おもちゃにかこまれ)

玩具に囲まれ

(にんぎょうあそび)

人形遊び

(ふくをきせかえて)

服を着せ替えて

(ちらしてなげて)

散らして投げて

(ばらばらにして)

バラバラにして

(なかもみてみましょう)

中も見てみましょう

(ほほえみのなかにあくまはやどる)

微笑みの中に悪魔は宿る

(はなうたのしらべにみみをすませ)

鼻歌の調べに耳を澄ませ

(らららんらんらんらんらんらんらん)

ラララン ラン ラン ラン ラン ラン ラン

(こえがして)

声がして

(そのあとはひめいだけひびく)

その後は悲鳴だけ響く

(おままごとしましょう)

おままごとしましょう？

(あそびのおあいては)

遊びのお相手は

(かわいらしいおにんぎょう)

可愛らしいお人形

(うでがちぎれちゃった)

腕が千切れちゃった

(へやがよごれちゃう)

部屋が汚れちゃう

(あかいわたちらして)

赤い綿散らして

(いとでぬいなおせば)

糸で縫い直せば

(まだあそべるかな)

まだ遊べるかな？

(つぎはぎのおにんぎょう)

継接ぎのお人形

(つぎはなにしましょう)

次は何しましょう

(かわいいこえでなく)

可愛い声で鳴く

(わたしのおもちゃ)

私の玩具

(とあるおやしきの)

とあるお屋敷の

(そのまたおくに)

そのまた奥に

(だれもしらない)

誰も知らない

(ひみつのはなぞの)

秘密の花園

(ならぶにんぎょうは)

並ぶ人形は

(みなきずだらけ)

皆傷だらけ

(それをながめる)

それを眺める

(こうこつのしょうじょ)

恍惚の少女

(まよいこめばにどとはもどれない)

迷い込めば二度とは戻れない

(いばらにかこまれたおとめのしろ)

荊に囲まれた乙女の城

(らららんらんらんらんらんらん)

ラララン ラン ラン ラン ラン ラン

(ふりむけば)

振り向けば

(むじゃきさと)

無邪気さと

(きょうきの)

狂気の

(えみがうかぶ)

笑みが浮かぶ

(ごあいさつしましょう)

ご挨拶しましょう

(まずはあくしゅかしら)

まずは握手かしら？

(あたらしいおにんぎょう)

新しいお人形

(きずだらけになれば)

傷だらけになれば

(なおしてあげるわ)

直してあげるわ

(はだいろのふぇるとで)

肌色のフェルトで

(どうしてなにもかも)

どうして何もかも

(わたしがふれたら)

私が触れたら

(かってにこわれちゃう)

勝手に壊れちゃう！

(もっとがんじょうな)

もっと頑丈な

(おもちゃがほしいのよ)

玩具が欲しいのよ

(さがしてきてね)

探してきてね

(おままごとしましょう)

おままごとしましょう？

(あそびのおあいては)

遊びのお相手は

(かわいらしいおにんぎょう)

可愛らしいお人形

(あたまがとれちゃった)

頭が取れちゃった

(おそうじしなくちゃ)

お掃除しなくちゃ

(まっかにそまるへや)

真っ赤に染まる部屋

(わたしわるくないわ)

私 悪くないわ

(すぐにこわれちゃう)

すぐに壊れちゃう

(あなたがいけないの)

貴女がいけないの！

(おびえるひとみが)

怯える瞳が

(いとしくおもえるの)

愛しく思えるの

(こえをきかせて)

声を聴かせて