完璧な翻訳機
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問題文
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(ながねんのけんきゅうのすえ、ついにかんぺきなほんやくきがかんせいした。)
長年の研究の末、ついに完璧な翻訳機が完成した。
(これまでのきかいほんやくとはじげんがちがう。)
これまでの機械翻訳とは次元が違う。
(たんごのいみだけでなく、ぶんみゃく、こえのとーん、)
単語の意味だけでなく、文脈、声のトーン、
(そしてはなしてのしんそうしんりにあるかんじょうまでもせいかくによみとり、)
そして話し手の深層心理にある感情までも正確に読み取り、
(あいてのげんごでかんぺきにさいげんするのだ。)
相手の言語で完璧に再現するのだ。
(かいはつしゃのはかせは、いきようようとこくさいかいぎじょうででもんすとれーしょんをおこなった。)
開発者の博士は、意気揚々と国際会議場でデモンストレーションを行った。
(まず、あるくにのたいしがだんじょうですぴーちをした。)
まず、ある国の大使が壇上でスピーチをした。
(「りょうこくのゆうこうかんけいが、こんごますますはってんすることをこころからねがっております」)
「両国の友好関係が、今後ますます発展することを心から願っております」
(ほんやくきをとおすと、かいじょうにながれたのはこんなおんせいだった。)
翻訳機を通すと、会場に流れたのはこんな音声だった。
(「めんどうながいこうぎれいははやくおわらせて、ほてるのばーでさけがのみたい」)
「面倒な外交儀礼は早く終わらせて、ホテルのバーで酒が飲みたい」
(かいじょうはしずまりかえった。)
会場は静まり返った。
(つぎに、べつのくにのだいひょうがえがおではつげんした。)
次に、別の国の代表が笑顔で発言した。
(「あなたのすばらしいていあんに、ぜんめんてきにさんどういたします」)
「あなたの素晴らしい提案に、全面的に賛同いたします」
(きかいはれいてつにほんやくした。)
機械は冷徹に翻訳した。
(「そんなじつげんふかのうなあんにばくだいなよさんをだせるか、このばかもの」)
「そんな実現不可能な案に莫大な予算を出せるか、この馬鹿者」
(かいぎはたちまちののしりあいのおおげんかとなった。)
会議はたちまち罵り合いの大喧嘩となった。
(かんぺきすぎるほんやくきは、ことばのうらにある「ほんね」まで)
完璧すぎる翻訳機は、言葉の裏にある「本音」まで
(せいかくにつたえすぎてしまったのだ。)
正確に伝えすぎてしまったのだ。
(せかいはいぜんよりも、はるかにけんあくなばしょになってしまった。)
世界は以前よりも、はるかに険悪な場所になってしまった。