長文練習30!

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投稿者投稿者まりとっつぉ🎐いいね0お気に入り登録
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問題文

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(そふのいえには、おとのならないとけいがあった。) 祖父の家には、音の鳴らない時計があった。 (いまのはしらにかけられたふるいふりこどけいで、) 居間の柱に掛けられた古い振り子時計で、 (はりはいつも「よじじゅうにふん」でとまっている。) 針はいつも「四時十二分」で止まっている。 (こどものころ、わたしはそれがすこしこわかった。) 子どものころ、私はそれが少し怖かった。 (「どうしてなおさないの」) 「どうして直さないの」 (そうきいたことがある。) そう聞いたことがある。 (そぼはえんがわでせんたくものをたたみながら、ちいさくわらった。) 祖母は縁側で洗濯物をたたみながら、小さく笑った。 (「とまったままでいいとけいもあるんだよ」) 「止まったままでいい時計もあるんだよ」 (とうじのわたしは、そのいみがわからなかった。) 当時の私は、その意味がわからなかった。 (こうこうせいになってからも、わたしはときどきそぼのいえをおとずれていた。) 高校生になってからも、私は時々祖母の家を訪れていた。
(ふるいきのにおいと、すこししめったたたみのかんしょくはむかしとかわらない。) 古い木の匂いと、少し湿った畳の感触は昔と変わらない。 (なつになると、ふうりんのおとがいえのおくまでひびいた。) 夏になると、風鈴の音が家の奥まで響いた。 (そぼはあいかわらずおだやかで、あうたびにわたしのすきだったりょうりをつくってくれる。) 祖母は相変わらず穏やかで、合うたびに私の好きだった料理を作ってくれる。 (けれど、ねんねんすこしずつうごきがおそくなっていることに、わたしはきづいていた。) けれど、年々少しずつ動きが遅くなっていることに、私は気づいていた。 (そのとしのなつ、わたしはしんろのことでなやんでいた。) その年の夏、私は進路のことで悩んでいた。 (まわりはつぎつぎとしょうらいをきめていくのに、じぶんだけがたちどまっているきがした。) 周りは次々と将来を決めていくのに、自分だけが立ち止まっている気がした。 (あせっていた。) 焦っていた。 (なにかをえらべば、なにかをうしなうきがしてこわかった。) 何かを選べば、何かを失う気がして怖かった。 (ゆうがた、わたしはいまでひとりぼんやりしていた。) 夕方、私は居間で一人ぼんやりしていた。 (まどのそとではせみがないている。) 窓の外では蝉が鳴いている。
など
(おれんじいろのひかりがたたみのうえにながくのびていた。) オレンジ色の光が畳の上に長く伸びていた。 (ふと、あのとけいがめにはいる。) ふと、あの時計が目に入る。 (やはりはりはよじじゅうにふんでとまったままだ。) やはり針は四時十二分で止まったままだ。 (わたしはいすにのり、とけいにふれてみた。) 私は椅子に乗り、時計に触れてみた。 (ながいあいだつもったほこりがゆびにつく。) 長い間積もった埃が指につく。 (そのとき、そぼがうしろからいった。) そのとき、祖母が後ろから言った。 (「そのとけいね、おじいさんがなおそうとしてたんだよ」) 「その時計ね、おじいさんが直そうとしてたんだよ」 (わたしはふりかえった。) 私は振り返った。 (そふは、わたしがちいさいころになくなっている。) 祖父は、私が小さいころに亡くなっている。 (しゃしんでしかかおをしらなかった。) 写真でしか顔を知らなかった。 (そぼはなつかしそうにとけいをみあげる。) 祖母は懐かしそうに時計を見上げる。 (「でもけっきょく、なおせなかった」) 「でも結局、直せなかった」 (「こわれてたの?」) 「壊れてたの?」 (そぼはすこしだけだまったあと、しずかにくびをふった。) 祖母は少しだけ黙ったあと、静かに首を振った。 (「ちがうよ。とまったひにいみがあったんだ」) 「違うよ。止まった日に意味があったんだ」 (わたしはいみがわからず、とけいをみつめた。) 私は意味がわからず、時計を見つめた。 (よじじゅうにふん。) 四時十二分。 (ちゅうとはんぱなじかんだった。) 中途半端な時間だった。 (とくべつなすうじにもおもえない。) 特別な数字にも思えない。 (そのよる、わたしはおしいれのせいりをたのまれた。) その夜、私は押し入れの整理を頼まれた。 (ふるいあるばむやはこをはこんでいると、ちいさなふうとうがおちてきた。) 古いアルバムや箱を運んでいると、小さな封筒が落ちてきた。 (いろあせたかみには、そふのなまえがかかれている。) 色あせた紙には、祖父の名前が書かれている。 (きになってなかをみると、いちまいのしゃしんがはいっていた。) 気になって中を見ると、一枚の写真が入っていた。 (わかいころのそふとそぼがならんでうつっている。) 若いころの祖父と祖母が並んで写っている。 (ふたりともわらっていた。) 二人とも笑っていた。 (しゃしんのうらには、ちいさなじでこうかかれていた。) 写真の裏には、小さな字でこう書かれていた。 (「しょうわよんじゅうしちねんしちがつじゅうににちごごよじじゅうにふん」) 「昭和四十七年七月十二日 午後四時十二分」 (わたしはいきをとめた。) 私は息を止めた。 (いそいでいまへもどり、とけいをみる。) 急いで居間へ戻り、時計を見る。 (よじじゅうにふん。) 四時十二分。 (わたしはようやくきづいた。) 私はようやく気づいた。 (あのとけいは、こわれていたわけではなかったのだ。) あの時計は、壊れていたわけではなかったのだ。 (そふとそぼにとって、いちばんたいせつだったじかんでとめられていた。) 祖父と祖母にとって、一番大切だった時間で止められていた。 (えんがわでは、そぼがしずかによかぜにあたっていた。) 縁側では、祖母が静かに夜風に当たっていた。 (わたしはとなりにすわる。) 私は隣に座る。 (しばらくちんもくがつづいたあと、そぼはぽつりといった。) しばらく沈黙が続いたあと、祖母はぽつりと言った。 (「ひとはね、ぜんぶをまえにすすめなくてもいいんだよ」) 「人はね、全部を前に進めなくてもいいんだよ」 (ふうりんがちいさくなる。) 風鈴が小さく鳴る。 (「わすれないために、とめておくじかんもあるんだ」) 「忘れないために、止めておく時間もあるんだ」 (わたしはなにもいえなかった。) 私は何も言えなかった。 (すすまければいけないとおもっていた。) 進まければいけないと思っていた。 (たちどまることはわるいことだとおもっていた。) 立ち止まることは悪いことだと思っていた。 (けれど、ほんとうにたいせつなものは、) けれど、本当に大切なものは、 (むりにうごかさなくてもいいのかもしれない。) 無理に動かさなくてもいいのかもしれない。 (いまでは、おとのならないとけいがしずかにときをとめていた。) 居間では、音の鳴らない時計が静かに時を止めていた。 (それなのにふしぎと、そのばしょだけはいまもいきつづけているようにかんじられた。) それなのに不思議と、その場所だけは居間も生き続けているように感じられた。
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