意味がわかると怖い話11!
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「隣の部屋」
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問題文
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(だいがくせいになって、ひとりぐらしをはじめた。)
大学生になって、一人暮らしを始めた。
(ぼくのへやはふるいあぱーとのにかい。)
僕の部屋は古いアパートの二階。
(かべがうすくて、となりのせいかつおんがよくきこえる。)
壁が薄くて、隣の生活音がよく聞こえる。
(ひっこしてみっかめのよる。)
引っ越して三日目の夜。
(ごぜんにじごろ、となりからおんなのひとのこえがきこえた。)
午前二時ごろ、隣から女の人の声が聞こえた。
(「ねえ」)
「......ねえ」
(ちいさなこえだった。)
小さな声だった。
(ぼくはいやほんをはずした。)
僕はイヤホンを外した。
(「ねえ」)
「ねえ」
(またきこえた。)
また聞こえた。
(かべごしだから、なにをいっているのかまではわからない。)
壁越しだから、何を言っているのかまでは分からない。
(そのひはきにせずねた。)
その日は気にせず寝た。
(よくあさ、だいがくへいくまえにとなりのへやをみた。)
翌朝、大学へ行く前に隣の部屋を見た。
(ひょうさつはない。)
表札はない。
(べつにめずらしくもない。)
別に珍しくもない。
(ただ、そのへやのげんかんには、ゆうびんぶつがひとつもはさまっていなかった。)
ただ、その部屋の玄関には、郵便物が一つも挟まっていなかった。
(ひっこしてきたばかりなのかな。)
引っ越してきたばかりなのかな。
(そうおもった。)
そう思った。
(それからまいばん、ごぜんにじになるとこえがした。)
それから毎晩、午前二時になると声がした。
(「ねえ」「ねえ」「ねえ」)
「ねえ」「ねえ」「ねえ」
など
(さいしょはいちにちにいちど。)
最初は一日に一度。
(いっしゅうかんもすると、にど、さんど。)
一週間もすると、二度、三度。
(ぼくはだんだんきみがわるくなって、かんりがいしゃにでんわした。)
僕はだんだん気味が悪くなって、管理会社に電話した。
(「あの、となりのへやってだれかすんでますよね?」)
「あの、隣の部屋って誰か住んでますよね?」
(でんわのむこうがすこしだまった。)
電話の向こうが少し黙った。
(「となりって、どちらのおへやですか?」)
「......隣って、どちらのお部屋ですか?」
(へやばんごうをつたえる。)
部屋番号を伝える。
(またちんもく。)
また沈黙。
(「そこ、げんざいくうしつですよ」)
「そこ、現在空室ですよ」
(「でも、まいばんこえがするんです」)
「......でも、毎晩声がするんです」
(「ああ」)
「ああ......」
(たんとうしゃがみょうなこえをだした。)
担当者が妙な声を出した。
(「かべ、あついですよね?」)
「壁、厚いですよね?」
(「はい?」)
「はい?」
(「いえ。なんでもありません」)
「いえ。なんでもありません」
(そのひのよる。)
その日の夜。
(ごぜんにじ。)
午前二時。
(いつものこえがした。)
いつもの声がした。
(「ねえ」)
「ねえ」
(ぼくははじめて、かべにみみをあてた。)
僕は初めて、壁に耳を当てた。
(すると、はっきりきこえた。)
すると、はっきり聞こえた。
(おんなのひとのこえ。)
女の人の声。
(「ねえ」)
「ねえ」
(ぼくはへんじをしなかった。)
僕は返事をしなかった。
(すると、)
すると、
(「きこえてるんでしょ?」)
「......聞こえてるんでしょ?」
(しんぞうがはねた。)
心臓が跳ねた。
(ぼくがかべにみみをあてていることを、むこうはしっている。)
僕が壁に耳を当てていることを、向こうは知っている。
(こわくなってはなれようとした。)
怖くなって離れようとした。
(そのしゅんかん。)
その瞬間。
(かべのむこうから、もういちど。)
壁の向こうから、もう一度。
(「ねえ」)
「ねえ」
(こんどはこえがちがった。)
今度は声が違った。
(ぼくのこえだった。)
僕の声だった。
(よくあさ、かんりがいしゃにもういちどでんわした。)
翌朝、管理会社にもう一度電話した。
(きのうのたんとうしゃではなかった。)
昨日の担当者ではなかった。
(「となりのへやについてなんですが」)
「隣の部屋についてなんですが......」
(ぼくがせつめいすると、でんわのむこうがいった。)
僕が説明すると、電話の向こうが言った。
(「おきゃくさま、となりのへやはくうしつですよ」)
「お客様、隣の部屋は空室ですよ」
(「それはきのうもききました。でも、よるになるとこえが」)
「それは昨日も聞きました。でも、夜になると声が...」
(「あの」)
「......あの」
(たんとうしゃがぼくのはなしをさえぎった。)
担当者が僕の話を遮った。
(「となりのへやじゃありません」)
「隣の部屋じゃありません」
(「え?」)
「え?」
(「おきゃくさまのおへや、まどりをごかくにんいただけますか?」)
「お客様のお部屋、間取りをご確認いただけますか?」
(ぼくはへやをみわたした。)
僕は部屋を見渡した。
(げんかん。きっちん。ふろ。といれ。しんしつ。)
玄関。キッチン。風呂。トイレ。寝室。
(いつものへやだ。)
いつもの部屋だ。
(「かくにんしましたけど」)
「確認しましたけど......」
(たんとうしゃは、しばらくだまってからいった。)
担当者は、しばらく黙ってから言った。
(「そのへや、かべがにじゅうになっているんです。」)
「その部屋、壁が二重になっているんです。」
(「どういうことですか?」)
「......どういうことですか?」
(「いぜん、かいそうしたんです」)
「以前、改装したんです」
(「じゃあ、そのかべのむこうは」)
「じゃあ、その壁の向こうは...」
(「はい」)
「はい」
(たんとうしゃのこえがきゅうにちいさくなった。)
担当者の声が急に小さくなった。
(「となりのへやではありません。」)
「隣の部屋ではありません。」
(そのしゅんかん。)
その瞬間。
(ぼくのへやのなかで、)
僕の部屋の中で、
(「ねえ」)
「ねえ」
(とこえがした。)
と声がした。
(かべからではなかった。)
壁からではなかった。
(ぼくのすぐうしろからだった。)
僕のすぐ後ろからだった。