心霊写真 -53-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 HAKU 8131 8.3 97.7% 267.0 2221 50 59 2026/08/26
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問題文

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(ひとにいえないけがをおったれんちゅうをあいてにしょうばいをしているこのいしゃなら、) 人に言えない怪我を負った連中を相手に商売をしているこの医者なら、 (もしかしてはらをさされたたむらも、あのおうきゅうしょちのあとでやってきたかのうせいも) もしかして腹を刺された田村も、あの応急処置の後でやってきた可能性も (あるとおもい、きいてみたが「しらない」というそっけないこたえだった。) あると思い、訊いてみたが「知らない」というそっけない答えだった。 (かりにきていたとしても、そんなことをしゃべるはずもなかった。) 仮に来ていたとしても、そんなことを喋るはずもなかった。 (しんりょうしょに、ほかのきゃくがやってくるけはいはなかった。) 診療所に、他の客がやって来る気配はなかった。 (いしゃはなにをするということもなく、ずっとてれびをみている。) 医者はなにをするということもなく、ずっとテレビを見ている。 (よこになったままぼくはうとうとしていた。) 横になったまま僕はうとうとしていた。 (はるかずじょうのあたりに、ごまいのしゃしんがうかんではきえ、) はるか頭上のあたりに、五枚の写真が浮かんでは消え、 (うかんではきえ・・・・・) 浮かんでは消え・・・・・ (ゆらめくろうそくのあかり。) ゆらめく蝋燭の明かり。 (とじない。) 閉じない。 (どうして。) どうして。 (だれのこえだったか。) 誰の声だったか。 (ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ、ここの、とお・・・・・) ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ、ここの、とお・・・・・ (まさおかたいい。) 正岡大尉。 (ろうじん。) 老人。 (とっととでるぞ。こんなみずむしやしき。) とっとと出るぞ。こんな水虫屋敷。 (あいつは、みえてるよ。) あいつは、見えてるよ。 (よもつひらさか。あしはらのなかつくに。) よもつひらさか。あしはらのなかつくに。 (ひとをみかけではんだんしてはいけないと、おそわらなかったか。) 人を見かけで判断してはいけないと、教わらなかったか。
など
(ししょう。) 師匠。 (かなこさん。) 加奈子さん。 (どんなしゃしんなんだ。けしからん。) どんな写真なんだ。けしからん。 (じつに。) 実に。 (みてみたい。) 見てみたい。 (「おい」) 「おい」 (「はい」) 「はい」 (へんじをしてからめをさました。) 返事をしてから目を覚ました。 (ああ。ねてしまっていたらしい。) ああ。寝てしまっていたらしい。 (しんりょうしょのまどのそとはくらく、もうひがおちてしまっている。) 診療所の窓の外は暗く、もう日が落ちてしまっている。 (ししょうがぼくのよこたわるべっどのそばのまるいすにこしかけている。) 師匠が僕の横たわるベッドのそばの丸椅子に腰掛けている。 (「だいじょうぶか」) 「大丈夫か」 (ほんもののししょうだ。) 本物の師匠だ。 (ついさっきわかれたばかりなのに、ずっとあえなかったようなきがした。) ついさっき別れたばかりなのに、ずっと会えなかったような気がした。 (「はい」) 「はい」 (からだをおこす。へやのはしらどけいをみると、よるのはちじになろうとしていた。) 身体を起こす。部屋の柱時計を見ると、夜の八時になろうとしていた。 (「けっちゃくをつけにいくぞ」) 「決着をつけに行くぞ」 (ぱんをかいにいくぞ、とでもいうようなあっさりしたそのことばに、) パンを買いに行くぞ、とでも言うようなあっさりしたその言葉に、 (ぼくはどんなけがだろうがたちあがれるようなきがした。) 僕はどんな怪我だろうが立ち上がれるような気がした。 (「はい」) 「はい」 (そうこたえると、ししょうはにっ、とわらった。) そう答えると、師匠はニッ、と笑った。 (ししょうのぼろけいよんでおがわちょうさじむしょにとうちゃくしたぼくらは、まつうらをまっていた。) 師匠のボロ軽四で小川調査事務所に到着した僕らは、松浦を待っていた。 (ししょうがはちじはんにここであうやくそくをでんわでとりつけたという。) 師匠が八時半にここで会う約束を電話で取り付けたという。 (ほわいとぼーどをかくにんすると、おがわしょちょうがかえってくるじかんが) ホワイトボードを確認すると、小川所長が帰って来る時間が (きょうのよるくじとなっている。) 今日の夜九時となっている。 (しかしくじといえばひこうきのとうちゃくのじかんのはずなので、) しかし九時といえば飛行機の到着の時間のはずなので、 (じっさいはまだいちじかんていどはゆうよがある。) 実際はまだ一時間程度は猶予がある。 (ししょうはおがわしょちょうがもどってくるまえにこのけんのかたをつけるつもりなのだ。) 師匠は小川所長が戻って来る前にこの件のカタをつけるつもりなのだ。 (むだんでやくざのいらいをひきうけたてまえ、そうせざるをえないのだろう。) 無断でヤクザの依頼を引き受けた手前、そうせざるを得ないのだろう。 (かたをつけるといっても、いらいぶぶんについてはなかばできれーすだ。) カタを付けるといっても、依頼部分については半ば出来レースだ。 (あずかったしゃしんのうち、よんまいはしんれいしゃしんじゃありません。) 預かった写真のうち、四枚は心霊写真じゃありません。 (もういちまいはたぶんとししゃによるものです。) もう一枚はたぶん念写によるものです。 (そうせつめいしたところで、けっきょくはぎぞうしゃしんとしてあつかわれるだけだ。) そう説明したところで、結局は偽造写真として扱われるだけだ。 (たむらがまだみつかっていないとしても、) 田村がまだ見つかっていないとしても、 (やっきになってさがしだすもちべーしょんにはならない。) 躍起になって探し出すモチベーションにはならない。 (まつうらのしんいはべつのところにある、というようなことをししょうはいっていたが、) 松浦の真意は別のところにある、というようなことを師匠は言っていたが、 (それもどうということはないだろう。) それもどうということはないだろう。 (もんだいなのは、たむらがもってにげているはずのしゃしんのげんぶつを) 問題なのは、田村が持って逃げているはずの写真の現物を (ししょうがもっていたということだ。) 師匠が持っていたということだ。
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