死滅回遊 -4-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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全部手打ちのため、読みなどによく間違いがあります。いつも修正ありがとうございます。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7457 7.6 98.0% 352.8 2684 53 55 2026/09/08
2 Jyo 6619 S+ 6.7 98.0% 398.2 2690 54 55 2026/09/09

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問題文

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(「おなじみちをもどることもなければ、ぐるりとえんかんをまわってくることもない。) 「同じ道を戻ることもなければ、ぐるりと円環を回ってくることもない。 (じばくされず、れいみちをいくやつらは、むげんにつづくみちのどこかでちからつき、しょうめつする。) 地縛されず、霊道を行くやつらは、無限に続く道のどこかで力尽き、消滅する。 (やまやたに、しおだまりとか、ちいきちいきに、そういうれいこんがすわれるようにして) 山や谷、潮溜りとか、地域地域に、そういう霊魂が吸われる様にして (きえていくぽいんとがあったりもする。) 消えていくポイントがあったりもする。 (やつらはなにもなさず、ただひたすらあるいて、もういちどしんでいくんだ」) やつらはなにも成さず、ただひたすら歩いて、もう一度死んでいくんだ」 (ぞくぞくした。) ぞくぞくした。 (ししょうのはなしに。) 師匠の話に。 (しめつかいゆう、ということばに。) 死滅回遊、という言葉に。 (そのとき、はいごをなにかがとおった。) その時、背後を何かが通った。 (おもわずふりむくと、くらがりにじてんしゃのらいとがたよりなくうかんで) 思わず振り向くと、暗がりに自転車のライトが頼りなく浮かんで (とおりすぎていくところだった。) 通り過ぎていくところだった。 (せびろがみえたきがした。ざんぎょうがえりのさらりーまんのようだった。) 背広が見えた気がした。残業帰りのサラリーマンのようだった。 (そのだれかはぼくらのひだりてがわじゅうすうめーとるさきでじてんくるまをとめると、) その誰かは僕らの左手側十数メートル先で自転車を止めると、 (おなじようにていぼうにはりついたようだった。) 同じように堤防に張り付いた様だった。 (かわをみている。) 川を見ている。 (そうおもったしゅんかん、みぎてがわのほうにもくらがりにだれかがいるのにきづいた。) そう思った瞬間、右手側の方にも暗がりに誰かがいるのに気づいた。 (ていぼうからかわのほうをみつめているひとかげが、たしかにあった。) 堤防から川の方を見つめている人影が、確かにあった。 (いつのまに。) いつの間に。 (ふしぎなかんかくだった。) 不思議な感覚だった。 (ぼくらがかんじたあのおぞましいけはい、よかんを、) 僕らが感じたあのおぞましい気配、予感を、
など
(おなじようにかんじてやってきたにんげんがほかにもいたのか。) 同じように感じてやって来た人間が他にもいたのか。 (だがそのことに、たのもしさやちからづけられるかんじはいっさいなかった。) だがそのことに、頼もしさや力づけられる感じは一切なかった。 (たがいにふかんしょうで、ことばをはっすることもない。) 互いに不干渉で、言葉を発することもない。 (ひたすらここによかんのしょうたいをかんさつしている。) ひたすら個々に予感の正体を観察している。 (ししょうもふたつのひとかげをむしするようにたんたんとしたことばをつづけた。) 師匠も二つの人影を無視するように淡々とした言葉を続けた。 (「しかし、しぜんとうたをくりかえしてきたせいぶつのめかにずむにむだはない。) 「しかし、自然淘汰を繰り返してきた生物のメカニズムに無駄はない。 (いっけんむだにみえるものは、むだであることそれじたいにいみがある。) 一見無駄に見えるものは、無駄であることそれ自体に意味がある。 (しめつかいゆうは、かいりゅうというみちをたどるそうれつだ。) 死滅回遊は、海流という道を辿る葬列だ。 (だけど、そのみちゆきはぜつめつすることがもくてきではない。) だけど、その道行きは絶滅することが目的ではない。 (なにせんねん、なにまんねんというすぱんでかんきょうがいっていしないこのほしでは、) 何千年、何万年というスパンで環境が一定しないこの星では、 (せいぶつはせいぞんししゅをじだいへつないでいくかていで、) 生物は生存し種を時代へ繋いでいく過程で、 (いかなるぎせいをはらってでもたようせいをたんぽしてきた。) いかなる犠牲を払ってでも多様性を担保してきた。 (それをになったのがとつぜんへんいだ。) それを担ったのが突然変異だ。 (あるしょくぶつがいっせいにこししたとき、ほんらいしょくにてきさなかったべつのしょくぶつを) ある植物が一斉に枯死した時、本来食に適さなかった別の植物を (たべるこたいがいきのび、へんかをしながらしゅをつなぐ。) 食べる個体が生き延び、変化をしながら種を繋ぐ。 (しめつかいゆうも、いっけんするとれみんぐのこうしんのようにうつるかもしれないが、) 死滅回遊も、一見するとレミングの行進のように映るかも知れないが、 (ながいちきゅうきぼのじかんのなかでは、かいいきのすいおんのへんかやかいりゅうのへんかによって、) 長い地球規模の時間の中では、海域の水温の変化や海流の変化によって、 (なんぽうのうみがせいぞんにてきさないそのしゅにとっての、しのうみになるかのうせいもある。) 南方の海が生存に適さないその種にとっての、死の海になる可能性もある。 (そのとき、ほっぽうにちらばったたねが、かんきょうのへんかにてきごうし、) その時、北方に散らばった種(たね)が、環境の変化に適合し、 (そこであらたなせいそくいきをつくりあげることだってあるんだ。) そこで新たな生息域を作り上げることだってあるんだ。 (いまもそんなさかなたちはしゅとしてのぜつめつをさけるために、) 今もそんな魚たちは種(しゅ)としての絶滅を避けるために、 (みのらないたねをばらまきつづけている。) 実らない種(たね)をばら撒き続けている。 (そしてそのことによって・・・・・」) そしてそのことによって・・・・・」 (ししょうはそこで、ことばをとめた。) 師匠はそこで、言葉を止めた。 (まだなにかつづけたかったようだが、かわのむこうのけはいにからだをきんちょうさせた。) まだなにか続けたかったようだが、川の向こうの気配に身体を緊張させた。 (ひた、ひた。) ひた、ひた。 (くらいかわもを、なにかがあるいてくる。) 暗い川面を、なにかが歩いて来る。 (かつてはむらとむらを、くにとくにをわけていたひろいかわだ。) かつてはムラとムラを、クニとクニを分けていた広い川だ。 (あるいてわたれるようなすいしんではない。まして、まったくへいぜんとまるで) 歩いて渡れるような水深ではない。まして、まったく平然とまるで (ほみちをあるくようにすいめんをわたってくるなんて。) 歩道を歩くように水面を渡ってくるなんて。 (えたいのしれないけはいが、ゆっくりとこちらにむかってくる。) 得体の知れない気配が、ゆっくりとこちらに向かって来る。 (それも、さっきまでのかぼそいそんざいかんではなく、) それも、さっきまでのか細い存在感ではなく、 (じわじわとこちらをあっぱくするような、にじりよってくるような・・・・・) じわじわとこちらを圧迫するような、にじり寄って来るような・・・・・ (「れいどうもおなじだ。しめつかいゆうと」) 「霊道も同じだ。死滅回遊と」 (ししょうが、めのまえのけはいからめをそらさず、おしころしたこえでつづける。) 師匠が、目の前の気配から目を逸らさず、押し殺した声で続ける。
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