小説長文9! 第九話
恋愛小説系です!「雨音に紛れる恋」第九話
小説なので、全然見るだけでもだいじょぶですっ!
画像協力者:AI(光の演出、衣装)
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問題文
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(よくじつのほうかご。)
翌日の放課後。
(わたしはあさからずっときんちょうしていた。)
私は朝からずっと緊張していた。
(きょうこそ、みなとにきもちをつたえる。)
今日こそ、湊に気持ちを伝える。
(なんどもそうじぶんにいいきかせていた。)
何度もそう自分に言い聞かせていた。
(「さな、どうした?」)
「紗奈、どうした?」
(「え?」)
「え?」
(せきをたったみなとが、わたしのかおをのぞきこむ。)
席を立った湊が、私の顔を覗き込む。
(「あさからずっとおちつかないけど。」)
「朝からずっと落ち着かないけど。」
(「ちょっときんちょうしてるだけ。」)
「ちょっと緊張してるだけ。」
(「なんかある?」)
「何かある?」
(やさしくきかれて、わたしはちいさくうなずいた。)
優しく聞かれて、私は小さく頷いた。
(「ほうかご、すこしだけじかんある?」)
「放課後、少しだけ時間ある?」
(「あるよ。」)
「あるよ。」
(「じゃあ、はなしたいことがあるの。」)
「じゃあ、話したいことがあるの。」
(「わかった。」)
「分かった。」
(ほうかご。)
放課後。
(わたしはみなとといっしょに、はじめてかさをかしてもらったときにもとおったこうもんへむかった。)
私は湊と一緒に、初めて傘を貸してもらった時にも通った校門へ向かった。
(そらにはうすいくもがひろがっていた。)
空には薄い雲が広がっていた。
(「ここでいい?」)
「ここでいい?」
(「うん。」)
「うん。」
など
(ふたりでならんでたつ。)
二人で並んで立つ。
(わたしはなんどもしんこきゅうした。)
私は何度も深呼吸した。
(「さな。」)
「紗奈。」
(「なに?」)
「なに?」
(「はなしって?」)
「話って?」
(しんぞうがおおきくなる。)
心臓が大きく鳴る。
(こわい。)
怖い。
(ことわられたらどうしよう。)
断られたらどうしよう。
(いままでみたいにはなせなくなったらどうしよう。)
今までみたいに話せなくなったらどうしよう。
(それでも、もうにげたくなかった。)
それでも、もう逃げたくなかった。
(「わたし......みなとにつたえたいことがある。」)
「私......湊に伝えたいことがある。」
(「うん。」)
「うん。」
(わたしはかおをあげた。)
私は顔を上げた。
(「さいしょは、みなとのことがにがてだった。」)
「最初は、湊のことが苦手だった。」
(みなとがすこしおどろいたかおをする。)
湊が少し驚いた顔をする。
(「むくちだし、こわそうだったし、なにをかんがえてるのかわからなかった。」)
「無口だし、怖そうだったし、何を考えてるのか分からなかった。」
(「.......そんなに?」)
「.......そんなに?」
(「そんなに。」)
「そんなに。」
(ふたりですこしわらう。)
二人で少し笑う。
(でも、わたしはすぐにしんけんなひょうじょうにもどった。)
でも、私はすぐに真剣な表情に戻った。
(「だけど、かさをかしてくれたひからすこしずつかわった。」)
「だけど、傘を貸してくれた日から少しずつ変わった。」
(「やさしいところをしって、はなすようになって、)
「優しいところを知って、話すようになって、
(いっしょにいるじかんがふえて......。」)
一緒にいる時間が増えて......。」
(ことばがふるえる。)
言葉が震える。
(「きづいたら、みなとがわたしのなかでとくべつなひとになってた。」)
「気づいたら、湊が私の中で特別な人になってた。」
(みなとはだまってわたしをみつめている。)
湊は黙って私を見つめている。
(わたしはもうとまれなかった。)
私はもう止まれなかった。
(「わたしは、みなとのことがすき。」)
「私は、湊のことが好き。」
(いえた。)
言えた。
(ずっといえなかったことば。)
ずっと言えなかった言葉。
(いま、ちゃんとつたえられた。)
今、ちゃんと伝えられた。
(「......ともだちとしてじゃなくて、ひとりのおとこのことしてすき。」)
「......友達としてじゃなくて、一人の男の子として好き。」
(へんじをまつじかんが、ひどくながくかんじる。)
返事を待つ時間が、ひどく長く感じる。
(わたしはうつむきそうになった。)
私は俯きそうになった。
(そのとき。)
その時。
(「ありがとう、さな。」)
「ありがとう、紗奈。」
(みなとのこえがきこえた。)
湊の声が聞こえた。
(ゆっくりかおをあげる。)
ゆっくり顔を上げる。
(みなとは、すこしてれたようにわらっていた。)
湊は、少し照れたように笑っていた。
(「おれも、さなのことがすき。」)
「俺も、紗奈のことが好き。」
(「......え?」)
「......え?」
(「ずっと、つたえようとおもってた。」)
「ずっと、伝えようと思ってた。」
(あたまのなかがまっしろになった。)
頭の中が真っ白になった。
(「ほんとうに......?」)
「本当に......?」
(「ほんとう。」)
「本当。」
(みなとがうなずく。)
湊が頷く。
(「あめのひにかさをかしたときから、きになってた。」)
「雨の日に傘を貸した時から、気になってた。」
(「でも、わたしにはそんなかんじぜんぜんみせなかったじゃん。」)
「でも、私にはそんな感じ全然見せなかったじゃん。」
(「おれ、そういうのにがてだから。」)
「俺、そういうの苦手だから。」
(すこしてれながらいうみなとをみて、わたしはおもわずわらった。)
少し照れながら言う湊を見て、私は思わず笑った。
(「みなとらしい。」)
「湊らしい。」
(「そうかな。」)
「そうかな。」
(「うん。」)
「うん。」
(きづけば、めになみだがうかんでいた。)
気づけば、目に涙が浮かんでいた。
(「ないてる?」)
「泣いてる?」
(「うれしいから......。」)
「嬉しいから......。」
(みなとはすこしこまったようにわらう。)
湊は少し困ったように笑う。
(「じゃあ、これからもいっしょにいよう。」)
「じゃあ、これからも一緒にいよう。」
(「うん。」)
「うん。」
(わたしはなんどもうなずいた。)
私は何度も頷いた。
(かえりみち、いままでとおなじみちを、わたしたちはならんであるいていた。)
帰り道、今までと同じ道を、私たちは並んで歩いていた。
(でも、きょうからはすこしちがう。)
でも、今日からは少し違う。
(となりをあるくかれは、もう「きになるひと」じゃない。)
隣を歩く彼は、もう「気になる人」じゃない。
(わたしがだいすきなひとだった。)
私が大好きな人だった。
(そらをみあげると、くものすきまからゆうひがさしこんでいた。)
空を見上げると、雲の隙間から夕日が差し込んでいた。
(ながかったあめが、ようやくおわったようなきがした。)
長かった雨が、ようやく終わったような気がした。
(そしてわたしはおもった。)
そして私は思った。
(あのひ、かさをさしだしてくれたかれとのきょりは、)
あの日、傘を差し出してくれた彼との距離は、
(きょうようやくひとつのこたえにたどりついたのだ。)
今日ようやく一つの答えにたどり着いたのだ。