桔梗の涙

(はるかなるきょりをこえきみのしあわせをねがう)

遥かなる距離を越え　君の幸せを願う

(さまようこのこえがとどきますか)

彷徨うこの声が届きますか

(なきつかれたわたしをたびだつきみがそっとなでる)

泣き疲れた私を　旅立つ君がそっと撫でる

(とおざかるしののめがきみのもゆるまなこをそめる)

遠ざかる東雲が　君の燃ゆる眼を染める

(ともにいきるとちかいをかわすいつまでもこころかよわせて)

共に生きると誓いを交わす　いつまでも心通わせて

(とおくはなれしきみにゆめでしかあえぬのなら)

遠く離れし君に　夢でしか会えぬのなら

(まちつづけるこのみはあさどかぜをきらう)

待ち続けるこの身は　朝戸風を嫌う

(よそおいうつすみなもうかぶうたかたのごとく)

粧い映す水面　浮かぶ泡沫の如く

(きえゆくだれかのこえがきこえる)

消えゆく誰かの声が聞こえる

(きせつめぐりやがてさびつくならこわしてしまおう)

季節巡りやがて　錆び付くなら壊してしまおう

(あいたいおもいはつのりかよわきこころはくれまどう)

逢いたい想いは募り　か弱き心は暮れ惑う

(にくきさだめにあらがえずはてなきたびじでなにをしのぶ)

憎き運命に抗えず　果てなき旅路で何を偲ぶ

(いくつものきせつこえうつつでめぐりあえども)

幾つもの季節越え　現で巡り逢えども

(とわにさゆるつきのようにかこはきりさかれ)

永遠に冴ゆる月の様に　過去は切り裂かれ

(あふれだすときをとめこころとざしてめをふせ)

溢れ出す時を止め　心閉ざして目を伏せ

(やさしかったあのころのきみはどこ)

優しかった彼の頃の君は何処

(おもいおもいをぬぎすてていとしきみのもとへまいもどる)

重い想いを脱ぎ捨てて　愛し君の元へ舞い戻る

(もどる)

戻る

(ひとのかたちをすててこのよのきんきをやぶる)

人の形を捨てて　この世の禁忌を破る

(てんをあおぎきずをおおいめをうるませて)

天を仰ぎ傷を覆い　目を潤ませて

(ふかきへしずむからだうかぶうたかたのごとく)

深きへ沈む躯　浮かぶ泡沫の如く

(きえゆくわたしのこえがきこえる)

消えゆく私の声が聞こえる

(さまようこのこえがとどきますか)

彷徨うこの声が届きますか