本当にあった怖い話「窓辺の女」(2/2)

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投稿者投稿者ななっしーいいね1お気に入り登録
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問題文

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(ぼくは、とりあえずはたけをくかくしているひくいこんくりーとぶろっくのうえまでいって、)

僕は、とりあえず畑を区画している低いコンクリートブロックの上まで行って、

(そこからすこしながめるにとどめ、それからそれとなくそのばをはなれれば、)

そこから少し眺めるに留め、それからそれとなくその場を離れれば、

(もしかしたらあれは、ぼくらがあれにきづいていないとおもって、)

もしかしたらアレは、僕らがアレに気付いていないと思って、

(おいかけてこないかもしれない。そうかんがえ、とりあえずはたけぎりぎりまで)

追いかけてこないかもしれない…。そう考え、とりあえず畑ギリギリまで

(ちかづくことにしました。そのけついをかため、もういちどあれにめをむけたとき、)

近付く事にしました。その決意を固め、もう一度アレに目を向けた時、

(ふいにそのへやのでんきがきえました。ぼくもかれも、なんだ?とおもい)

不意にその部屋の電気が消えました。僕も彼も、なんだ?と思い

(めをこらしていると、そのへやのまどから、ずるりとかみのながいなにかがはいだして)

目を凝らしていると、その部屋の窓から、ずるりと髪の長い何かが這い出して

(きました。てあしをかべにつき、はながらのわんぴーすのようなふくをきて、)

来ました。手足を壁に突き、花柄のワンピースのような服を着て、

(まるでやもりのようにかべにへばりつくそれは、ながいかみのあたまだけを)

まるでヤモリのように壁にへばりつくそれは、長い髪の頭だけを

(こちらにむけながら、かべづたいにはたけにおりようとしていました。こっちにくる!)

こちらに向けながら、壁伝いに畑に下りようとしていました。こっちに来る!

(とおもったぼくは、こんびににむかってかけだしました。とどうじに、ゆうじんもいっしょに)

と思った僕は、コンビニに向かって駆け出しました。と同時に、友人も一緒に

(はしりだしていました。おおどおりを、さゆうからくるまがくるかどうかをかくにんもせずに)

走り出していました。大通りを、左右から車が来るかどうかを確認もせずに

(はしりぬけようとしたとき、みぎからわごんしゃがはしってきて、きゅうぶれーきをふみ)

走り抜けようとした時、右からワゴン車が走ってきて、急ブレーキを踏み

(かんいっぱつのところでとまりました。「ばかやろー!しにてーのか!」とまんがのような)

間一髪の所で止まりました。「バカヤロー!死にてーのか!」と漫画のような

(どごうがとんできましたが、ぼくらにはそれにこたえるようなよゆうはなく、)

怒号が飛んできましたが、僕らにはそれに答えるような余裕はなく、

(たちどまることもふりかえることもせずにおおどおりをわたりきり、こんびににとめていた)

立ち止まる事も振り返る事もせずに大通りを渡り切り、コンビニに停めていた

(じてんしゃにとびのっておおいそぎではしりだしました。あまりのきょうふに、)

自転車に飛び乗って大急ぎで走り出しました。あまりの恐怖に、

(あれがおいかけてきているかどうか、うしろをふりかえってかくにんすることも)

アレが追いかけてきているかどうか、後ろを振り返って確認する事も

(できなかったぼくらは、もしまんがいちおいかけてきていたときのことをかんがえて、)

できなかった僕らは、もし万が一追いかけてきていた時の事を考えて、

(いえのほうこうがばれたらまずい、とおもい、かえるほうこうとはまるでちがうほうこうにむかって)

家の方向がバレたらマズい、と思い、帰る方向とはまるで違う方向に向かって

など

(ぜんそくりょくではしりました。しばらくぜんりょくではしって、これいじょうはしれないほどつかれはてたころ、)

全速力で走りました。暫く全力で走って、これ以上走れない程疲れ果てた頃、

(もしこれでおいかけてきていたら、おわりだな、とおもいながら、)

もしこれで追いかけてきていたら、終わりだな…、と思いながら、

(なかばあきらめにちかいきもちでうしろをふりかえると、そこにはうしろをはしるゆうじんのすがたしか)

半ば諦めに近い気持ちで後ろを振り返ると、そこには後ろを走る友人の姿しか

(ありませんでした。あんしんかんとともにきんちょうのいとがきれ、ぼくはばらんすをくずし、)

ありませんでした。安心感と共に緊張の糸が切れ、僕はバランスを崩し、

(てんとうしてしまいました。ゆうじんもうしろをかくにんしたのか、つかれきったような、)

転倒してしまいました。友人も後ろを確認したのか、疲れ切ったような、

(あんしんしたような、ふくざつなひょうじょうをうかべ、たおれたぼくのてをつかみ、ひっぱりおこして)

安心したような、複雑な表情を浮かべ、倒れた僕の手を掴み、引っ張り起こして

(くれました。ちょうどそのみちのわきにあったこうえんのべんちにすわり、あれについて)

くれました。ちょうどその道の脇にあった公園のベンチに座り、アレについて

(はなしあいました。「あれ、みたよな。」とぼくがきくと、「ああ、みた。)

話し合いました。「アレ、見たよな…。」と僕が聞くと、「ああ…、見た…。

(なんだったんだ、あれ?」ゆうじんになにをみたかかくにんすると、ぼくとおなじものを)

何だったんだ、あれ…?」友人に何を見たか確認すると、僕と同じものを

(みたようでした。「おれもおなじようにみえた。ってことは、きのせいじゃない、)

見たようでした。「俺も同じように見えた…。って事は、気のせいじゃない…、

(ってことだよな。」すでにれいせいさをとりもどしていたぼくらでしたが、はじめてたいけんする)

って事だよな…。」既に冷静さを取り戻していた僕らでしたが、初めて体験する

(ひげんじつてきなげんしょうに、ひとりになることがこわくなり、けっきょくあさまでいっしょにすごしました。)

非現実的な現象に、一人になる事が恐くなり、結局朝まで一緒に過ごしました。

(こうえんのべんちでかみんをとったあと、いつものめんつをよびよなかまでまーじゃんをして、)

公園のベンチで仮眠を取った後、いつものメンツを呼び夜中まで麻雀をして、

(かえるころにはもうきょうふかんはなく、そのままゆうじんたちとわかれきたくしました。)

帰る頃にはもう恐怖感はなく、そのまま友人達と別れ帰宅しました。

(そのあとも、そのゆうじんとはなつやすみのあいだじゅう、しゅうごくらいであそびましたが、)

その後も、その友人とは夏休みの間中、週五くらいで遊びましたが、

(もうあれをみたこんびにには、にどとちかづきませんでした。もしかしたら、)

もうアレを見たコンビニには、二度と近付きませんでした。もしかしたら、

(きのせいだったのかもしれません。ぼくがなんとなくひとにみえるとかんじ、)

気のせいだったのかもしれません。僕がなんとなく人に見えると感じ、

(またそれをかれにいってしまったことでふたりともあんじにかかり、なんでもないもの、)

またそれを彼に言ってしまった事で二人とも暗示にかかり、何でもないもの、

(たとえばぽすたーやせんたくものなどがひとかげのようにみえてしまったのかもしれません。)

例えばポスターや洗濯物などが人影のように見えてしまったのかもしれません。

(ですが、きゅうにへやのでんきがきえたこと、まどからなにかがはいだしてきたことは、)

ですが、急に部屋の電気が消えた事、窓から何かが這い出してきた事は、

(かれにはつたえていなかったにもかかわらず、かれもそのようにしょうげんしたのです。)

彼には伝えていなかったにも関わらず、彼もそのように証言したのです。

(だからぼくはいまでも、あれはげんじつに、あのいえにすくうなにかなのだとおもっています。)

だから僕は今でも、アレは現実に、あの家に巣食う何かなのだと思っています。

(また、あのこんびにまえのおおどおりは、それまではとくにじこがおおいとおりでも)

また、あのコンビニ前の大通りは、それまでは特に事故が多い通りでも

(なかったのですが、あれいらい、なぜかじこがたはつするようになりました。)

なかったのですが、あれ以来、なぜか事故が多発するようになりました。

(もしかしたら、あれはぼくらにみつかるまでは、あのへやにひっそりと)

もしかしたら、アレは僕らに見つかるまでは、あの部屋にひっそりと

(ひそんでいるだけだったのが、「ぼくらにみつかったこと」にきづいたことをきっかけに)

潜んでいるだけだったのが、『僕らに見つかった事』に気付いた事をきっかけに

(そとにでるようになり、わるさをするようになったのかもしれません。)

外に出るようになり、悪さをするようになったのかもしれません。

(あれからぼくは、あのみちをとおることができません。もしいったら、あれにみつかって)

あれから僕は、あの道を通る事ができません。もし行ったら、アレに見つかって

(おいかけられ、こんどはにげきれずにつかまってしまうかもしれない、)

追いかけられ、今度は逃げ切れずに捕まってしまうかもしれない…、

(というきょうふがぬぐえないからです。いまでもそのゆうじんとはたまにあっていますが、)

という恐怖が拭えないからです。今でもその友人とはたまに会っていますが、

(そのゆうじんももうじもとからはなれていて、そのとおりにかんするうわさをみみにするきかいは)

その友人ももう地元から離れていて、その通りに関する噂を耳にする機会は

(なくなってしまったので、げんざいどうなっているのかはわかりません。)

なくなってしまったので、現在どうなっているのかはわかりません。

(もしかしたら、あれはいまでもまどからあのとおりをながめていて、)

もしかしたら、アレは今でも窓からあの通りを眺めていて、

(なにかわるさをするきかいをうかがっているのかもしれません。)

何か悪さをする機会を伺っているのかもしれません。

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