紫式部 源氏物語 桐壺 2 與謝野晶子訳

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 7089 7.4 95.9% 467.3 3459 146 51 2024/05/05
2 □「いいね」する 7009 7.2 96.6% 477.9 3471 121 51 2024/05/07
3 ヤス 6974 S++ 7.3 95.0% 471.0 3464 179 51 2024/05/05
4 subaru 6915 S++ 7.4 93.7% 466.5 3455 229 51 2024/05/08
5 りく 5762 A+ 5.9 97.5% 598.5 3537 88 51 2024/05/08

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問題文

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(だいにのおうじがさんさいにおなりになったときにはかまぎのしきがおこなわれた。まえにあっただいいちの)

第二の皇子が三歳におなりになった時に袴着の式が行われた。前にあった第一の

(おうじのそのしきにおとらぬようなはでなじゅんびのひようがきゅうていからししゅつされた。)

皇子のその式に劣らぬような派手な準備の費用が宮廷から支出された。

(それにつけてもせけんはいろいろにひひょうをしたが、せいちょうされるこのおうじの)

それにつけても世間はいろいろに批評をしたが、成長されるこの皇子の

(びぼうとそうめいさとがるいのないものであったから、だれもおうじをわるくおもうことは)

美貌と聡明さとが類のないものであったから、だれも皇子を悪く思うことは

(できなかった。ゆうしきしゃはこのてんさいてきなうつくしいしょうおうじをみて、こんなひとも)

できなかった。有識者はこの天才的な美しい小皇子を見て、こんな人も

(にんげんせかいにうまれてくるものかとみなおどろいていた。そのとしのなつのことである。)

人間世界に生れてくるものかと皆驚いていた。その年の夏のことである。

(みやすどころ--おうじじょのせいぼになったこういはこうよばれるのである--は)

御息所--皇子女の生母になった更衣はこう呼ばれるのである--は

(ちょっとしたびょうきになって、じっかへさがろうとしたがみかどはおゆるしに)

ちょっとした病気になって、実家へさがろうとしたが帝はおゆるしに

(ならなかった。どこかからだがわるいということはこのひとのつねのことに)

ならなかった。どこかからだが悪いということはこの人の常のことに

(なっていたから、みかどはそれほどおおどろきにならずに、 「もうしばらくごしょで)

なっていたから、帝はそれほどお驚きにならずに、 「もうしばらく御所で

(ようじょうをしてみてからにするがよい」 といっておいでになるうちにしだいにわるく)

養生をしてみてからにするがよい」 と言っておいでになるうちにしだいに悪く

(なって、そうなってからほんのご、ろくにちのうちにやまいはじゅうたいになった。)

なって、そうなってからほんの五、六日のうちに病は重体になった。

(ははのみぼうじんはなくなくおひまをねがってきたくさせることにした。こんなばあいには)

母の未亡人は泣く泣くお暇を願って帰宅させることにした。こんな場合には

(またどんなじゅそがおこなわれるかもしれない、おうじにまでわざわいをおよぼしてはとの)

またどんな呪詛が行われるかもしれない、皇子にまで禍いを及ぼしてはとの

(こころづかいから、おうじだけをきゅうちゅうにとどめて、めだたぬようにみやすどころだけが)

心づかいから、皇子だけを宮中にとどめて、目だたぬように御息所だけが

(たいしゅつするのであった。このうえとどめることはふかのうであるとみかどはおぼしめして、)

退出するのであった。この上留めることは不可能であると帝は思召して、

(こういがでかけていくところをみおくることのできぬごそんきのおんみのものたりなさを)

更衣が出かけて行くところを見送ることのできぬ御尊貴の御身の物足りなさを

(こらえがたくかなしんでおいでになった。)

堪えがたく悲しんでおいでになった。

(はなやかなかおだちのびじんがひじょうにやせてしまって、こころのなかにはみかどとおわかれ)

はなやかな顔だちの美人が非常に痩せてしまって、心の中には帝とお別れ

(していくむげんのかなしみがあったがくちへはなにもだしていうことのできないのが)

して行く無限の悲しみがあったが口へは何も出して言うことのできないのが

など

(このひとのせいしつである。あるかないかによわっているのをごらんになるとみかどは)

この人の性質である。あるかないかに弱っているのを御覧になると帝は

(かこもみらいもまっくらになったきがあそばすのであった。なくなくいろいろな)

過去も未来も真暗になった気があそばすのであった。泣く泣くいろいろな

(たのもしいしょうらいのやくそくをあそばされてもこういはおへんじもできないのである。)

頼もしい将来の約束をあそばされても更衣はお返辞もできないのである。

(めつきもよほどだるそうで、へいぜいからなよなよとしたひとがいっそう)

目つきもよほどだるそうで、平生からなよなよとした人がいっそう

(よわよわしいふうになってねているのであったから、これはどうなることであろう)

弱々しいふうになって寝ているのであったから、これはどうなることであろう

(というふあんがおおみこころをおそうた。こういがきゅうちゅうかられんしゃででてよいごきょかのせんじを)

という不安が大御心を襲うた。更衣が宮中から輦車で出てよい御許可の宣旨を

(やくにんへおくだしになったりあそばされても、またびょうしつへおかえりになると)

役人へお下しになったりあそばされても、また病室へお帰りになると

(いまいくということをおゆるしにならない。 「しのたびにもどうじにでるのがわれわれ)

今行くということをお許しにならない。 「死の旅にも同時に出るのがわれわれ

(ふたりであるとあなたもやくそくしたのだから、わたしをおいてうちへいってしまうことは)

二人であるとあなたも約束したのだから、私を置いて家へ行ってしまうことは

(できないはずだ」 と、みかどがおいいになると、そのおこころもちのよくわかるおんなも、)

できないはずだ」 と、帝がお言いになると、そのお心持ちのよくわかる女も、

(ひじょうにかなしそうにおかおをみて、 )

非常に悲しそうにお顔を見て、

(「かぎりとてわかるるみちのかなしきにいかまほしきはいのちなりけり )

「限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり

(しがそれほどわたくしにせまってきておりませんでしたら」 これだけのことを)

死がそれほど私に迫って来ておりませんでしたら」 これだけのことを

(いきもたえだえにいって、なおみかどにおいいしたいことがありそうであるが、)

息も絶え絶えに言って、なお帝にお言いしたいことがありそうであるが、

(まったくきりょくはなくなってしまった。しぬのであったらこのままじぶんのそばで)

まったく気力はなくなってしまった。死ぬのであったらこのまま自分のそばで

(しなせたいとみかどはおぼしめしたが、きょうからはじめるはずのきとうもこうそうたちが)

死なせたいと帝は思召したが、今日から始めるはずの祈祷も高僧たちが

(うけたまわっていて、それもぜひこんやからはじめねばなりませぬというようなことも)

承っていて、それもぜひ今夜から始めねばなりませぬというようなことも

(もうしあげてほうぼうからこういのたいしゅつをうながすので、わかれがたくおぼしめしながら)

申し上げて方々から更衣の退出を促すので、別れがたく思召しながら

(おかえしになった。 みかどはおむねがかなしみでいっぱいになっておねむりになることが)

お帰しになった。 帝はお胸が悲しみでいっぱいになってお眠りになることが

(こんなんであった。かえったこういのいえへおだしになるたずねのつかいはすぐくるはずで)

困難であった。帰った更衣の家へお出しになる尋ねの使いはすぐ来るはずで

(あったが、それすらへんじをきくことがまちどおしいであろうとおおせられた)

あったが、それすら返辞を聞くことが待ち遠しいであろうと仰せられた

(みかどであるのに、おつかいは、 「やはんすぎにおかくれになりました」)

帝であるのに、お使いは、 「夜半過ぎにお卒去になりました」

(といって、こだいなごんけのひとたちのなきさわいでいるのをみるとちからがおちてそのまま)

と言って、故大納言家の人たちの泣き騒いでいるのを見ると力が落ちてそのまま

(ごしょへかえってきた。 こういのしをおききになったみかどのおかなしみはひじょうで、)

御所へ帰って来た。 更衣の死をお聞きになった帝のお悲しみは非常で、

(そのままひきこもっておいでになった。そのなかでもわすれがたみのおうじはそばへ)

そのまま引きこもっておいでになった。その中でも忘れがたみの皇子はそばへ

(おいておきたくおぼしめしたが、ははのきふくちゅうのおうじが、けがれのやかましいきゅうちゅうに)

置いておきたく思召したが、母の忌服中の皇子が、穢れのやかましい宮中に

(おいでになるれいなどはないので、こういのじっかへたいしゅつされることになった。)

おいでになる例などはないので、更衣の実家へ退出されることになった。

(おうじはどんなだいじがあったともおしりにならず、じじょたちがなきさわぎ、)

皇子はどんな大事があったともお知りにならず、侍女たちが泣き騒ぎ、

(みかどのおかおにもなみだがながれてばかりいるのだけをふしぎにおおもいになるふうで)

帝のお顔にも涙が流れてばかりいるのだけを不思議にお思いになるふうで

(あった。ふしのわかれというようなことはなんでもないばあいでもかなしいもので)

あった。父子の別れというようなことはなんでもない場合でも悲しいもので

(あるから、このときのみかどのおこころもちほどおきのどくなものはなかった。)

あるから、この時の帝のお心持ちほどお気の毒なものはなかった。

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