あの子は竜に逢う

(にしのまちてんのうじえきはもうふうさされてだれもいない)

西の町、天王寺駅はもう封鎖されて誰もいない

(なぜなのかはだれもしらないんだ)

何故なのかは誰も知らないんだ

(あるひとつぜんさくができてしまうふべんだよな)

ある日突然柵ができてしまう不便だよな

(うわさはいろいろさ)

噂はいろいろさ

(けれどもそのひとつにおんなのこはめをつけた)

けれどもそのひとつに女の子は目を付けた

(かのじょのなまえはたどころきらい)

彼女の名前は「田所キライ」

(ｄｑｎねーむのせいでともだちがひとりもいないからひまなんだ)

DQNネームのせいで友だちがひとりもいないから暇なんだ

(うわさのしんぎをたしかめよう)

噂の真偽を確かめよう

(えきにはほんとうにりゅうがいるのか)

駅には本当に竜がいるのか

(つまらないまいにちくだらないじぶん)

つまらない毎日くだらない自分

(そんなぜんぶぜんぶをこわしてくれる)

そんな全部全部を壊してくれる

(とくべつなものがｊｒかいさつぬけたらそこにあるとしんじて)

特別なものがJR改札抜けたらそこにあると信じて

(あっけなくみつかるきょだいなりゅうのすがた)

あっけなく見つかる巨大な竜の姿

(けれどそれはおもったよりもはきがないというか)

けれどそれは思ったよりも覇気がないというか

(ぶっちゃけていうならきたいはずれなわけでした)

ぶっちゃけて言うなら期待はずれなわけでした

(そんなこといわれてもしったこっちゃないよ)

そんなこと言われても知ったこっちゃないよ

(きもちはさっするけどしかたないよね)

気持ちは察するけど仕方ないよね

(ふてぶてしいたいどのりゅうがそういうと)

ふてぶてしい態度の竜がそう言うと

(なんだかすこしわらえてきたな)

何だか少し笑えてきたな

(でもさやっぱりきみがうらやましい)

でもさやっぱり君が羨ましい

(だってりゅうはさとくべつだよっていうときみは)

だって竜はさ特別だよって言うと君は

(そうかなっていったあとにもういちどそうかなってつぶやいた)

「そうかな？」って言ったあとにもう一度「そうかな…」ってつぶやいた

(ぼくがいきたまいにちおもしろいとはいいがたいけれど)

僕が生きた毎日面白いとは言い難いけれど

(それでもやっぱりだいじなんだよな)

それでもやっぱり大事なんだよな

(そんなひとりごとをりゅうがぼやくからたずねてみた)

そんな独り言を竜がぼやくから訊ねてみた

(きみはなんでさここをせんきょするの)

君はなんでさ、ここを占拠するの？

(えきがつかえなくてこまってるんだけど)

駅が使えなくて困ってるんだけど

(すこしのちんもくそしてりゅうはこたえた)

少しの沈黙、そして竜は答えた

(おれじゃまだったの)

「…俺、邪魔だったの…？（汗）」

(きまずいかおで)

気まずい顔で