夏の終わり、蝉時雨の中

(ふっとのぞいたうれいがお)

ふっと覗いた憂い顔

(すきとおるようにふれられぬはだ)

透き通るように触れられぬ肌

(ふたりきりですごすじかんがいとおしくて)

二人きりで過ごす時間が愛おしくて

(このときだけつづいていくとそうしんじていた)

この時だけ続いていくとそう信じていた

(ゆうやけのあかいろあぜみち)

夕焼けの朱色　畦道

(ふりしぼるゆうきはむなしくくうをきった)

振り絞る勇気は　虚しく空を切った

(まつりばやしがせかすようにずっと)

祭り囃子が急かすようにずっと

(ぼくのこころをあせらせる)

僕の心を焦らせる

(あいまいなかげぼやけるりんかく)

曖昧な影　ぼやける輪郭

(くろいかみがおどる)

黒い髪が踊る

(まぼろしのようなとけてしまうような)

幻のような　溶けてしまうような

(あわくにじむうしろすがた)

淡く滲む後ろ姿

(なつのおわりのせみしぐれのなか)

夏の終わりの　蝉時雨の中

(きみとみたゆめのまにま)

君と見た夢の随

(あせばむはだゆらぐあしてりつける)

汗ばむ肌　揺らぐ足　照りつける

(かいてんするしゃりんきしむこえ)

回転する車輪軋む声

(ふたりきりでつんだはなびらいまはむかし)

二人きりで摘んだ花びら　今は昔

(まぶたのうらおもいですべてただくるおしい)

まぶたの裏　思い出全て　ただ狂おしい

(みなもにうつるはなのようにふかく)

水面に映る花のように深く

(もとめつづけていたことに)

求め続けていたことに

(こんなきもちをしれるきせつだと)

こんな気持ちを知れる季節だと

(こいごころがつげる)

恋心が告げる

(そらにかがやくほしのちりぎわが)

空に輝く星の散り際が

(うつくしいひとみをてらし)

美しい瞳を照らし

(なつのおわりのはなびふりそそぐ)

夏の終わりの　花火降り注ぐ

(きみをおいつづけている)

君を追い続けている

(あのひからかわった)

あの日から変わった

(きみとであえてよかった)

君と出会えて良かった

(どこまでもはしりぬくよ)

どこまでも走り抜くよ

(むねにひめていた)

胸に秘めていた

(まつりばやしがせかすようにずっと)

祭り囃子が急かすようにずっと

(ぼくのからだをはしらせる)

僕の体を走らせる

(あいまいなかげぼやけるりんかく)

曖昧な影　ぼやける輪郭

(しろいおびがゆれる)

白い帯が揺れる

(まぼろしのようなとけてしまうような)

幻のような　溶けてしまうような

(あわくにじむきみのすがた)

淡く滲む君の姿

(なつのおわりのせみしぐれのなか)

夏の終わりの　蝉時雨の中

(ずっとわすれはしないから)

ずっと忘れはしないから