Reach For The Stars～待ち続

(こんやもかのじょはねがいむねにほしにてをのばす)

今夜も彼女は願い胸に　星に手を伸ばす

(おやにすてられたぼくらはうみのみえるこじいんでそだった)

親に捨てられた僕らは　海の見える孤児院で育った

(やしなってくれたのはとしおいたしゅうどうじょ)

養ってくれたのは　年老いた修道女

(とてもやさしいかのじょはいつもにこにこわらってた)

とても優しい彼女は　いつもニコニコ笑ってた

(まずしいくらしのなかでもぼくらはみなしあわせだった)

貧しい暮らしの中でも　僕らは皆幸せだった

(あるひかのじょはやまいにふしほしにめされるひがちかづいた)

ある日彼女は病に伏し　星に召される日が近づいた

(かのじょのまくらもとでぼくらはこういった)

彼女の枕元で　僕らはこう言った

(りっぱにここまでそだててくれたあなたにおんがえしがしたい)

立派にここまで育ててくれた　あなたに恩返しがしたい

(どんなむちゃでもかまわないなにかねがいはないですか)

どんな無茶でも構わない　何か願いはないですか？

(かのじょはにこりとほほえみこんなふうにこたえてきた)

彼女はニコリと微笑み　こんな風に答えてきた

(わたしはずっとまっているてがみのへんじをまっている)

私はずっと待っている　手紙の返事を待っている

(わかかったあのひにだしたとどいたかどうかもわからないてがみを)

若かったあの日に出した　届いたかどうかもわからない　手紙を

(もしもねがいがかなうならもしもつみがゆるされるなら)

もしも願いが叶うなら　もしも罪が許されるなら

(あのてがみのへんじがほしいそれをまっている)

あの手紙の返事が欲しい　それを待っている

(かなえられるはずもないねがいどうかわすれてとかのじょはわらう)

叶えられるはずもない願い　どうか忘れてと彼女は笑う

(だれにだしたてがみかさえおしえてはくれなかった)

誰に出した手紙かさえ　教えてはくれなかった

(ぼくらはみんなでてわけしてくにじゅうをさがしてまわった)

僕らはみんなで手分けして　国中を探して回った

(そしてかのじょのかこをしるがかのろうじんをみつけた)

そして彼女の過去を知る　画家の老人を見つけた

(ろうじんがかたるしんじつかのじょはかつてひとをころした)

老人が語る真実　彼女はかつて人を殺した

(おおくのひとがふこうになりおおくのひとがなみだをながした)

多くの人が不幸になり　多くの人が涙を流した

(そのつみをせおいしんだひとそれがかのじょのてがみのあいて)

その罪を背負い死んだ人　それが彼女の手紙の相手

(へんじがくることはない)

返事が来る事はない

(それでもかのじょはまつのだろうそのみがくちはてたあとでも)

それでも彼女は待つのだろう　その身が朽ち果てた後でも

(きっとかのじょはまつのだろうへんじがくるまで)

きっと彼女は待つのだろう　返事が来るまで

(ついにそのときはやってきたおわりをつげるきょうかいのかね)

ついにその時はやって来た　終わりを告げる教会の鐘

(しわだらけのかのじょのてにいちまいのようひしをわたす)

しわだらけの彼女の手に　一枚の羊皮紙を渡す

(それはぼくがきのうかいたいつわりのてがみのへんじ)

それは僕が昨日書いた　偽りの手紙の返事

(かのじょはそれをよみおえるとさいごにありがとうといった)

彼女はそれを読み終えると　最後に「ありがとう」と言った

(ほしにきえゆくかなしきねがいいつもどおりのあのえがお)

星に消えゆく悲しき願い　いつも通りのあの笑顔

(つみにきづくのはいつだってすべておわったあと)

罪に気付くのはいつだって　全て終わった後