Dance with the Shadow

(おわれないままきょうじたちいさなとうひこうへ)

終われないまま興じた　小さな逃避行へ

(ただとまったせかいからのがれようと)

ただ止まった世界から逃れようと

(ああおろかなるものよ)

嗚呼　愚かなるものよ

(ほろにがいかげにこがれ)

ほろ苦い影に焦がれ

(だれもかれもみながはなれたかくりよのそこで)

誰も彼も皆が離れた　幽世の底で

(ただひとつさまようほし)

唯ひとつ彷徨う星

(あわいありしひをおもいながら)

淡いありし日を想いながら

(くらくせまくさびしいせつなを)

暗く狭く淋しい刹那を

(ながくくりかえしていたが)

永く繰り返していたが

(あまいあまいこのばしょになぐさめをおぼえた)

甘い甘いこの場所に　慰めを憶えた

(まぶたをとじてもわすれられないかおりよ)

瞼を閉じても　忘れられない香りよ

(いまならかりそめのゆめでもいい)

今なら仮初めの夢でもいい

(おどれなんどもなんどもちったねがいをいだいて)

踊れ　何度も何度も散った願いを抱いて

(かのじだいのむこうがわおまえとあえたなら)

かの時代の向こう側　お前と逢えたなら

(まよわずおわりをつれて)

迷わず　終焉を連れて

(こころをうばってほしい)

心を奪ってほしい

(たとえこんやにかんじたあいすらかんちがいで)

たとえ今夜に感じた愛すら勘違いで

(ただごさんからあふれたうんめいだろうと)

ただ誤算から溢れた運命だろうと

(ああぎょしがたきものよ)

嗚呼　御し難きものよ

(ちとあまいよるにおぼれ)

ちと甘い夜に溺れ

(だれもかれもみながわらっていたうつしよのはこで)

誰も彼も皆が笑っていた　現世の匣で

(ただひとつただようほし)

唯ひとつ漂う星

(ゆらいでいくひびをおもいながら)

揺らいでいく日々を想いながら

(くらくつなぐまぶしいきずなもなまいきなけんそうさえも)

苦楽繋ぐ眩しい絆も　生意気な喧騒さえも

(よわいよわいうつろをかぶりさようならをわすれた)

弱い弱い虚を冠り　さようならを忘れた

(まとうよろいぬごうとものがれられないこどくよ)

纏う鎧脱ごうとも　逃れられない孤独よ

(いまさらきまぐれのゆめでもいい)

今更　気紛れの夢でもいい

(まわれなんどもなんどもちったぐろんにあいて)

廻れ　何度も何度も散った愚論に飽いて

(すぐにしんでしまえたらなんてきたいをよんだ)

すぐに死んでしまえたら、なんて期待を詠んだ

(かわらぬつよさなんてもの)

変わらぬ強さなんてもの

(かせとわらってほしい)

枷と嗤ってほしい

(こわれそうなわたしをうつしたぐらすのしょうけい)

壊れそうな私を写したグラスの憧憬

(ときにあいをうたうのもじんせいだろうと)

時に愛を唄うのも人生だろうと

(ああわるくないものよ)

嗚呼　悪くないものよ

(このままよいにまかせ)

このまま酔いに任せ

(あみめをなぞってもとどくことないあおいろ)

網目をなぞっても　届くことない蒼色

(いまならまがいもののむげんでもいい)

今なら　紛い物の夢幻でもいい

(おどれなんどもなんどもちったおもいをいだいて)

踊れ　何度も何度も散った想いを抱いて

(またせかいのそとがわおまえとあえたなら)

また世界の外側　お前と逢えたなら

(まよわずそのかたいとげで)

迷わず　その硬い棘で

(こころをうがってほしい)

心を穿ってほしい

(たとえこんやがさいごのあいをうたうじかんで)

たとえ今夜が最期の愛を唄う時間で

(うたかたにこぼれたぐうぜんだろうと)

うたかたに零れた偶然だろうと

(ああわるくないものよ)

嗚呼　悪くないものよ

(ちとあまいよるにおぼれ)

ちと甘い夜に溺れ