夏の幻

(じはんきのあかりにてらされたよこがお)

自販機の明かりに　照らされた横顔

(もうかえらなきゃってせのびしたきみの)

もう帰らなきゃって　背伸びした君の

(あしもとかたくむすんだこんばーす)

足元　固く　結んだコンバース

(どうしてかやけにおとなっぽくみえた)

どうしてか　やけに大人っぽく見えた

(いつもひとりのけだるいかえりみちが)

いつも一人の　気怠い帰り道が

(みたこともないくらいかがやいてうつった)

見たこともないくらい　輝いてうつった

(ならんであるいたみずうみのほとり)

並んで歩いた　湖のほとり

(なつのかぜがなでたせいかんざいのにおい)

夏の風が撫でた　制汗剤のにおい

(おもいをつたえたぼくにうなずいたきみは)

想いを伝えた僕に　頷いた君は

(いまにもきえてしまいそうなしんきろうみたいで)

今にも消えてしまいそうな　蜃気楼みたいで

(でんわごしのつぎはいつあえる)

電話越しの　次はいつ会える

(うすぐらいこのへやさえもまぶしくてねむれない)

薄暗いこの部屋さえも　眩しくて眠れない

(あぁきみがいまどうかおなじおもいでいて)

あぁ　君が今どうか　同じ想いでいて

(こわれそうなたかなりにむしあついよるがふける)

壊れそうな高鳴りに　蒸し暑い夜が更ける

(あぁきえないでそらにとけていくはなびのように)

あぁ　消えないで　空に溶けていく花火のように

(このむねをこがすいたみはなつのまぼろしじゃないといって)

この胸を焦がす痛みは　夏の幻じゃないと言って

(あせばんだぼくのてのひらがきみに)

汗ばんだ　僕の手のひらが君に

(きづかれてしまうことがこわくて)

気づかれてしまうことが怖くて

(にぎれないひだりてちゅうをまうねがい)

握れない左手　宙を舞う願い

(びねつのあすふぁるととけたあまいにおい)

微熱のアスファルト　溶けた甘い匂い

(がめんにうつるたった４もじが)

画面に映る　たった4文字が

(どんなしょうせつよりもこころをゆらすんだ)

どんな小説よりも　心を揺らすんだ

(あぁきみがいまどうかおなじおもいでいて)

あぁ　君が今どうか　同じ想いでいて

(こわれそうなたかなりにむしあついよるがふける)

壊れそうな高鳴りに　蒸し暑い夜が更ける

(あぁきえないでそらにとけていくはなびのように)

あぁ　消えないで　空に溶けていく花火のように

(このむねをこがすいたみはなつのまぼろしじゃないといって)

この胸を焦がす痛みは　夏の幻じゃないと言って

(きえないよねつにほてるからだ)

消えない余熱に　火照る身体

(きみがくれたかんじょうはのどがかわく)

君がくれた感情は　喉が渇く

(まどのそとからふきぬけたあわいよるのにおい)

窓の外から吹き抜けた　淡い夜のにおい

(このさきぼくはきっとこのきせつがめぐるたびに)

この先僕はきっと　この季節が巡る度に

(おもいだすこのよるとやきついたこいのおもい)

思い出す　この夜と焼き付いた恋の想い

(あぁきえないでそらにとけていくはなびのように)

あぁ　消えないで　空に溶けていく花火のように

(このむねをこがすいたみはなつのまぼろしじゃないといって)

この胸を焦がす痛みは　夏の幻じゃないと言って

(なつのまぼろしじゃないといって)

夏の幻じゃないと言って