桜晴／優里

(まどにせんたくものがゆれる)

窓に洗濯物が揺れる

(どこかなつかしいごごは)

どこか懐かしい午後は

(ははのこえがきこえそうでむねがいつもよりせまくなる)

母の声が聞こえそうで胸がいつもより狭くなる

(さくらのはなびらちるあのこうかした)

桜のはなびら散るあの高架下

(ちちのせなかをおいかけていた)

父の背中を追いかけていた

(きょうはうまくわらえないかなしくないのに)

今日はうまく笑えない悲しくないのに

(ちちとははのおもかげうかぶ)

父と母の面影浮かぶ

(ぼくのせなかをおしたさくらばれ)

僕の背中を押した　桜晴

(なみだがあふれそうになるのはなぜ)

涙が溢れそうになるのは何故

(すーぱーのかいものぶくろのおととただいまのこえに)

スーパーの買い物袋の音とただ今の声に

(いつもとちがうありがとうが)

いつもと違うありがとうが

(むねにそっとあふれてくる)

胸にそっと溢れてくる

(どんなときもそだててくれたあなたと)

どんな時も育ててくれた貴方と

(こころなきこえにくじけたよる)

心無き声にくじけた夜

(きょうはうまくわらえないかなしくないのに)

今日はうまく笑えない悲しくないのに

(つきさすようなことばさえも)

突き刺すような言葉さえも

(ぼくのせなかをおしたさくらばれ)

僕の背中を押した桜晴

(あしをふみだせるんだそうおもうよ)

足を踏み出せるんだそう思うよ

(おなじうたをくちずさめばきっとなにかわかる)

同じ歌を口ずさめば　きっと何かわかる

(にくしみとかくるしいこといまはただわすれて)

憎しみとか苦しいこと今はただ忘れて

(きょうはうまくわらえないそのままでいいよ)

今日はうまく笑えないそのままでいいよ

(ことばをむねにいくさくらばれ)

言葉を胸に行く　桜晴

(いまはさよならまたねでいいかな)

今はさよなら　またねでいいかな

(どんなにとおくなってもわすれたくない)

どんなに遠くなっても忘れたくない