ワンルームトラベル

(せまいへやのなかそらをながめるきみはどこかかなしげにつぶやいた)

狭い部屋の中　空を眺める君は　どこか悲しげに呟いた

(このまちのむこうにどんなせかいがあるのかな)

「この街の向こうにどんな世界があるのかな？」

(あのひのぼくはなにもいえなくて)

あの日の僕は何も言えなくて

(ねえ、じゅんびはいいわすれものはないなにもいらないけど)

ねえ、準備はいい？　忘れ物はない？　何もいらないけど

(さあ、もくてきちはあともうすこしだめをあけてみて)

さあ、目的地はあともう少しだ　目を開けてみて

(しかいをうめつくすだいちとうめいよりもすんだくうき)

視界を埋め尽くす大地　透明よりも澄んだ空気

(どこまでもつづくあおぞらにてをのばして)

どこまでも続く青空に手を伸ばして

(ろくじょうのへやにえがいたいろとりどりのこのけしきのなかへ)

六畳の部屋に描いた　色とりどりの　この景色の中へ

(ぼくとたびにでよう)

僕と旅に出よう

(どんなそうだいなけしきよりきみがいるこのへやがすきだから)

どんな壮大な景色より　君がいるこの部屋が好きだから

(てをのばせばかべにふれてしまうけど)

手を伸ばせば壁に触れてしまうけど

(やがていろあせてしまうけれど)

やがて色褪せてしまうけれど

(かぜふくそうげんもきりたつけいこくもくちはてたいせきさえも)

風吹く草原も　切り立つ渓谷も　朽ち果てた遺跡さえも

(いま、ふたりのめのまえに)

今、二人の目の前に

(ねえ、まどのそとはいつもとおなじかわらないまちなみ)

ねえ、窓の外は　いつもと同じ変わらない街並み

(でも、こころのなかどこにでもゆけるめをとじてみて)

でも、心の中　どこにでも行ける　目を閉じてみて

(くもよりもたかいせかいじゅなないろにひかるみずうみ)

雲よりも高い世界樹　七色に光る湖

(どこまでもつづくうなばらにてをのばして)

どこまでも続く海原に手を伸ばして

(ろくじょうのへやにえがいた)

六畳の部屋に描いた

(すいさいしょくのこのけしきはいつかきえてしまうけど)

水彩色の　この景色は　いつか消えてしまうけど

(つぎのもくてきちはどっち)

次の目的地はどっち？

(きみがのぞんだそのけしきをなんどもぼくがえがきだそう)

君が望んだ　その景色を何度も僕が描き出そう