Esse

(ふかいねむりのそこでおさないひのゆめをみていた)

深い眠りの底で　幼い日の夢を見ていた

(めがさめるのがおしいくらいにただしあわせなゆめ)

目が醒めるのが惜しいくらいに　ただ幸せな夢

(まだねむりたいおこさないでよだれもしゃべらないでおねがい)

まだ眠りたい　起こさないでよ　誰も喋らないでお願い

(まぶたひらけばたちまちきえるたんしょくのきおく)

目蓋ひらけば　たちまち消える淡色の記憶

(ひとがひとをすきになるには)

人が人を好きになるには

(ただしいわけやことばがいるでしょうか)

正しい理由や言葉がいるでしょうか

(どんなかたちであってももとめてしまう)

どんな　かたちであっても求めてしまう

(ここにはないのだから)

ここには無いのだから

(かげはのびてくいつかなきはらしたじぶんのもとへ)

影は伸びてく　いつか泣き腫らした自分の元へ

(むかいあうのはなにもうつすことのないちゃぐろだけ)

向かい合うのは　何も映すことのない茶黒だけ

(くちをふさげばきずもつかないほめてくれるならずっと)

口を塞げば傷もつかない　褒めてくれるなら　ずっと

(どこへむかえばいいのちずももくてきももたないままで)

どこへ向かえばいいの　地図も目的も持たないままで

(くれるひはおともなくつないだかげのあとをつれさってく)

暮れる陽は音も無く　繋いだ影の跡を連れ去ってく

(だれかがかんたんにふみだしたかたあしさえ)

誰かが簡単に踏み出した片足さえ

(とてもおもくたしかなしつりょうでひきずるしかなかった)

とても重く確かな質量で　引き摺るしかなかった

(ひとをすきになるにはただしいみちをまもるべきでしょうか)

人を好きになるには正しい順を守るべきでしょうか

(どんなかたちであってももとめてしまう)

どんな　かたちであっても求めてしまう

(ここにはないのねえ)

ここには無いの　ねえ

(だからゆめをみさせていちびょうにびょうすこしでもながく)

だから夢を見させて　1秒2秒 少しでも長く

(ひかりつづくおもいでうつくしいままねむりつづけさせて)

光り続く思い出　美しいまま眠り続けさせて