社会距離

(だれもいないまんいんでんしゃにゆられてるまたねむったふりをした)

誰もいない満員電車に揺られてるまた眠ったフリをした

(ふようふきゅうのあいじょうはおひかえください)

不要不急の愛情はお控えください

(かんじょうのしゃかいきょりはいつもじゅうにぶんにとってる)

感情の社会距離はいつも十二分にとってる

(がっこうもごかていもせんせいもともだちでさえもちかづきすぎないように)

学校もご家庭も先生も友達でさえも近づきすぎないように

(ひとりだけじゃいきられないっていうけど)

ひとりだけじゃ生きられないって言うけど

(そりゃささえあってゆくのはきっとすばらしいでしょうけど)

そりゃ支え合ってゆくのはきっと素晴らしいでしょうけど

(けんこうでぶんかてきなさいていげんどのせいかつさえあれば)

健康で文化的な最低限度の生活さえあれば

(わたしはもうじゅうぶんです)

私はもう充分です

(あぁあがってさがってめんどくせぇ)

あぁ上がって下がってめんどくせぇ

(むりょうをうたってうったくせ)

無料をうたって売ったくせ

(あいなんてあいなんていつかはせいさんしなきゃいけないの)

愛なんて愛なんていつかは精算しなきゃいけないの

(ばいとはしゅういちのがくせいしはらいまいつきていがくせいのじんせいが)

バイトは週一の学生　支払い毎月定額制の人生が

(おとくでしょ)

お得でしょ

(なにもいらないからはなしかけないで)

何もいらないから話しかけないで

(のいずきゃんせりんぐｏｎにして)

ノイズキャンセリングONにして

(けっしてだれひとりめをあわせないように)

決して誰ひとり目をあわせないように

(いまはいらないからそこにおいといてよ)

今はいらないからそこに置いといてよ

(おなかがすけばあとでたべるから)

お腹が空けばあとで食べるから

(ひえきったそのあいをさめきったそのあいを６００ｗで)

ひえきったその愛をさめきったその愛を６００wで

(３ふんかんあたためなおすの)

３分間温め直すの

(にんきものになんてなれません)

人気者になんてなれません

(とはいえきらわれるかくごだってできてやしないから)

とはいえ嫌われる覚悟だってできてやしないから

(たてまえをたてまくってあたりさわりのないことばかり)

建前をたてまくって当たり障りのないことばかり

(ならべてしまいます)

並べてしまいます

(まぁいたってふつうのひとなんでふつうにいきるのがぶなんで)

まぁ至って普通の人なんで普通に生きるのが無難で

(あいなんてあいなんてどらまかおんがくでしかきかないや)

愛なんて愛なんてドラマか音楽でしか聞かないや

(ねむりにつけないのなんで？)

眠りにつけないのなんで？

(「さびしい」なんてまるでやんでしまったみたいじゃない)

「寂しい」なんてまるで病んでしまったみたいじゃない

(らしくないな)

らしくないな

(ひとごみのなかでさけびたくなるのしょうどうを)

人混みの中で叫びたくなるの衝動を

(うたひめにたくす)

歌姫に託す

(まるでりょうみみにないふがつきささる)

まるで両耳にナイフが突き刺さる

(じぶんのいばしょをさがしもとめてたどりついたえきまえのこんびに)

自分の居場所を探し求めてたどりついた駅前のコンビニ

(しはらったそのあいがかんじゅーすぶんのあいが)

支払ったその愛が缶ジュース分の愛が

(ぽいんとかーどにかんげんされてく)

ポイントカードに還元されてく

(なにもいらないからはなしかけないで)

なにもいらないから話しかけないで

(のいずきゃんせりんぐｏｎにして)

ノイズキャンセリングONにして

(きょうもだれひとりめをあわせないように)

今日も誰ひとり目を合わせないように

(うらぎるくらいならきたいさせないで)

裏切るくらいなら期待させないで

(あたえるふりしてまたうばうだけなんでしょ)

与えるふりしてまた奪うだけなんでしょ

(うけとったそのあいはさずかったそのあいは)

受け取ったその愛は授かったその愛は

(ぽけっとてぃっしゅたったひとつだけ)

ポケットティッシュたったひとつだけ

(だいじそうにかばんにしまうの)

大事そうに鞄にしまうの

(いっしゅんだけつながりあってさびしさをわかちあえたって)

一瞬だけ繋がりあって寂しさを分かち合えたって

(けっきょくさいごはじこせきにんだ)

結局最後は自己責任だ

(かんしょうをふせぐきょりかんでかんそうしたくちびるかんでいきてゆくの)

感傷を防ぐ距離感で乾燥した唇噛んで生きてゆくの