重奏オルレアン/じょるじん

(ただしいかいはほらここだ)

正しい解はホラここだ

(かみなどいはしないわたしのすがたをみろ)

神などいはしないワタシの姿を視ろ

(えいぶつりょうこくひゃくねんながきにわたったせんそう)

英仏両国　百年長きに渡った戦争

(そのじごくにしゅうしふをうったきせきのむすめ)

その地獄に終止符を打った奇跡の娘

(じゃんぬじゃんぬじゃんぬらぴゅせる)

ジャンヌ　ジャンヌ　ジャンヌ·ラピュセル

(じゃっかんじゅうにでかみのこえをきき)

若干十二で神の声を聴き

(じゃっかんじゅうろくしゅったつけっしん)

若干十六出立決心

(かんそなむらののうふのむすめのきせきのいぎょうがこれよりはじまる)

簡素な村の農夫の娘の奇跡の偉業がこれより始まる

(かのちをときはなておうたいしにせいべつたいかんを)

彼の地を解き放て　王太子に聖別戴冠を

(そこくをすくえなんじをまつものたちがいる)

祖国を救え　汝を待つものたちがいる

(さぁ)

さぁ

(げんそうにむしばまれたざれごとではらはみたぬ)

幻想にむしばまれた　戯言で腹は満たぬ

(かみのすがたがみえるのかあるのはむくろのやま)

神の姿が視えるのか　在るのは骸の山

(おういをうばわれおうとをうばわれりょうどはじゅうりん)

王位を奪われ王都を奪われ　領土は蹂躙

(なすすべもなくとほうにくれるたいしのまえに)

なす術もなく　途方に暮れる太子の前に

(かみのこえつたうしょうじょあらわる)

神の声伝う少女現る

(ぐんのさいへんすくうはおるれあんかみのおもしめし)

軍の再編　救うはオルレアン　神の思し召し

(かならずかちますあなたさまがそこくのきぼう)

｢必ず勝ちます　貴方様が祖国の希望

(せいとうなるおうけのしんおうです)

正当なる王家の新王です｣

(かくしてくにはそのめいうんをしょうじょにたくす)

かくして国は　その命運を少女に託す

(かみのこえつたうひかり)

神の声伝う光

(おまえがきいたそのこえはかみがみのものではない)

オマエが聞いたその声は　神々のものではない

(すがりなげきはいつくばりめのおくのわたしをみろ)

すがり嘆き這いつくばり　眼の奥のワタシを視ろ

(おまえがふれたそのてはかみのししゃありはしない)

お前が触れたその手は　神の使者?在りはしない

(いのりでいくさはおわらないおまえはこれをのぞんだ)

祈りで戦は終わらない　オマエはこれを望んだ

(ただしいかいをくれてやる)

正しい解をくれてやる

(おまえはみずからのいしでてをちにそめた)

｢オマエは自らの意志で手を血に染めた｣

(おうこくぐんをひきいたしょうじょは)

王国軍を率いた 少女は

(きじんのごとくてきをけちらす)

鬼神の如く 敵を蹴散らす

(かんらくすんぜんおるれあんを)

陥落寸前オルレアンを

(でんこうせっかにときはなち)

電光石火に 解き放ち

(せんりょうされたとしやとりでは)

占領された 都市や砦は

(むすめにこおう)

娘に呼応

(だっかんせしめ)

奪還せしめ

(めざすさきはせいとらんす)

目指す先は 聖都ランス

(だいせいどうでのたいかんしきを)

大聖堂での 戴冠式を

(いぎょうはなった)

偉業は成った

(あふれるひかり)

溢れる光

(てんしのしゅくふく)

天使の祝福

(きょうかいのかね)

教会の鐘

(だがかげがさす)

だが影がさす

(よかんはあった)

予感はあった

(ゆだがひそんでる)

ユダが潜んでる

(たいろはとざされた)

退路は 閉ざされた

(おまえがえらばれたひかりなら)

オマエが 選ばれた 光なら

(なぜうらぎりみぬけない)

なぜ 裏切り 見抜けない？

(くさりやろうや)

鎖や 牢屋

(それらではしばれない)

それらでは 縛れない

(きせきがわたしをすくいたもう)

奇跡が 私を 救いたもう

(いつのころか)

いつの頃からか

(こえがとどかない)

声が 届かない

(こえ)

声…？

(だれだ)

誰だ！！！？？？

(げんそうにしがみついた)

幻想にしがみ付いた

(あげくすべてうしなった)

挙句 全て失った

(そこくはおまえをみはなした)

祖国は オマエを 見放した

(けいだいにひはくべられた)

邢台に火は くべられた

(きづくのがすこしおそすぎた)

気付くのが 少し 遅すぎた

(がじょうできだ)

が 上出来だ。

(これでらくになるぞ)

これで 楽になるぞ

(おまえは)

「オマエは

(いやわたしたちは)

『いや 私達は』

(みずからのいしでてをちにそめた)

自らの意思で 手を 血に染めた