神谷志龍『空白の朝』タイピング

(あいなどない)

愛などない

(ぼくたちはそんざいしない)

僕達は存在しない

(あいされかたをしらない)

愛され方を知らない

(すてるべきかんじょうもいばしょもしらない)

捨てるべき感情も居場所も知らない

(いえないぼくたちになまえなどない)

癒えない　僕達に名前などない

(あいされかたをしりたい)

愛され方を知りたい

(きょうもこころのかたすみで)

今日も心の片隅で

(おうとのようなふかいかんが)

嘔吐のような不快感が

(こびりついて)

こびりついて

(こびりついて)

こびりついて

(こびりついて)

こびりついて

(ひやあせもよう)

冷や汗模様

(そっとだれかにつつまれて)

そっと誰かに包まれて

(はっとするほどおびえていた)

はっとするほど怯えていた

(もんだいない)

問題ない

(いつものことさ)

いつものことさ

(これでいいのさ)

これでいいのさ

(なまえもないぼくたちは)

名前もない僕達は

(なけもしないぼくたちは)

泣けもしない僕達は

(なんにもない)

なんにもない

(いきちゃいない)

生きちゃいない

(すくいもない)

救いもない

(もうしにたい)

もう死にたい

(あいされないぼくたちは)

愛されない僕達は

(あいされたいぼくたちは)

愛されたい僕達は

(まただれかをうらんだ)

また誰かを恨んだ

(きょうをたんたんといきるむなしさ)

今日を淡々と生きる虚しさ

(こうふくをかんがえるなげかわしさ)

幸福を考える嘆かわしさ

(なんにもない)

なんにもない

(なんにもいらない)

なんにもいらない

(もうこれいじょうとらわれたくないよ)

もうこれ以上囚われたくないよ

(しゅうたい、しゅうたい)

醜態、醜態

(もうなにをしたのかもわすれたけれど)

もう何をしたのかも忘れたけれど

(もうこれいじょうおちることはないと)

もうこれ以上堕ちることはないと

(きょうよりひどいあすはこないと)

今日より酷い明日は来ないと

(のうを)

脳を

(ぐしゃぐしゃになっちゃったのうを)

ぐしゃぐしゃになっちゃった脳を

(ばらばらになっちゃったきょうを)

ばらばらになっちゃった今日を

(うめんのむめいの)

埋めんの　無名の

(なもなきせんしたちのふがいないおもいを)

名も無き戦士たちの不甲斐ない思いを

(ふみにじるほどにつのるふあんを)

踏みにじるほどに募る不安を

(ふあんとうめんの)

不安と埋めんの

(くうはくのあさ)

空白の朝

(いつものことさ)

いつものことさ

(なまえもないぼくたちは)

名前もない僕達は

(なけもしないぼくたちは)

泣けもしない僕達は

(なんにもない)

なんにもない

(いきちゃいない)

生きちゃいない

(すくいもない)

救いもない

(もうしにたい)

もう死にたい

(あいされないぼくたちは)

愛されない僕達は

(あいされたいぼくたちは)

愛されたい僕達は

(まただれかをうらんだ)

また誰かを恨んだ

(きょうをたんたんといきるむなしさ)

今日を淡々と生きる虚しさ

(こうふくをかんがえるなげかわしさ)

幸福を考える嘆かわしさ

(なんにもない)

なんにもない

(なんにもいらない)

なんにもいらない