Sleepless Night／yama

(むかしのはなしをしようか)

昔の話をしようか

(つやのないぬのにくるまれた)

つやのない布にくるまれた

(ただしいかたちをつかめない)

正しい形をつかめない

(てあかのついたことばを)

手垢のついた言葉を

(ごみすてばでながめてる)

ゴミ捨て場で眺めてる

(またきょうがはじまってゆく)

また今日が始まってゆく

(こころひとつだけでいきをするから)

心ひとつだけで息をするから

(りょうてでつつんでだれのものでもない)

両手で包んで誰のものでもない

(７０いくおくかのあさがくるまで)

70幾億かの朝が来るまで

(しずかにみえるよるにのめりこんでく)

静かに見える夜にのめりこんでく

(あわいももいろにこいあおぞらが)

淡い桃色に濃い青空が

(とけてみえたばしょで)

溶けて見えた場所で

(ひをおうごとにかれてく)

日を追うごとに枯れてく

(ひとひらしあわせのかべん)

ひとひら幸せの花弁

(ひびをのみこんでゆくような)

日々を飲みこんでゆくような

(ながれとぎゃくがわにむかうひとだけがしってる)

流れと逆側に向かう人だけが知ってる

(むじょうともいえないほどの)

無常とも言えないほどの

(こころひとつだけでいきをするから)

心ひとつだけで息をするから

(りょうてでつつんでだれのものでもない)

両手で包んで誰のものでもない

(７０いくおくかのあさがくるまで)

70幾億かの朝が来るまで

(しずかにみえるよるにのめりこんでく)

静かに見える夜にのめりこんでく

(あわいももいろにこいあおぞらがとけてみえた)

淡い桃色に濃い青空が溶けて見えた

(はらりうすべにのはる)

はらり　薄紅の春

(じわりしめるなつのよるも)

じわり　湿る夏の夜も

(からりとかわいたあきぞらも)

からりと乾いた秋空も

(ぎんいろふゆのあさも)

銀色　冬の朝も

(かわらないきみだけのいのちのうたを)

変わらない君だけの命のうたを

(ふいにしたあのにおいで)

不意にしたあの匂いで

(あいたはこにはとけかけた)

開いた箱には溶けかけた

(こおりがしがひとつあるだけだよ)

氷菓子が一つあるだけだよ

(きみはもうとうにそこをこえてる)

君はもうとうにそこを超えてる

(ふりかえるよりもゆらいだならば)

振り返るよりも揺らいだならば

(いまあなたはなにでたっている)

今あなたはなんで立っている？

(ここまでいきられたあかしをつむいでいけ)

ここまで生きられた証を紡いで行け

(いまもここで)

今もここで