小生劇場

(あいされたいとのぞめばあいされたいとねがえばあのぶたいにたてるかな)

愛されたいと望めば 愛されたいと願えば あの舞台に立てるかな

(あたりをみわたすかぎりみなきぐるみをきてるここじゃそれがじょうしき)

辺りを見渡す限り皆着ぐるみを着てる 此処じゃそれが常識

(ひとにうまれてひとにそだってひとをいとなむどりょくしました)

人に生まれて 人に育って 人を営む 努力しました

(それでもぼくはきみになれずにせのびせのびせのび)

それでも僕は君になれずに 背伸び 背伸び 背伸び

(このじんせいがぼくのものならどうしてぼくはしゅやくじゃないの)

この人生が僕の物なら どうして僕は主役じゃないの

(いつもそうだいつもそうだぼくのでばんはない)

いつもそうだ いつもそうだ 僕の出番は無い

(こんなぼくらがおたがいけおとしてまでつかんだものはなんですか)

こんな僕等がお互い蹴落としてまで掴んだ物は何ですか

(ぼくはぼくをあいしてあげたい)

僕は 僕を愛してあげたい

(こんなことならうまれてこなけりゃってぜんぶいやになってくけれど)

こんなことなら生まれてこなけりゃって全部嫌になってくけれど

(たえずみゃくうつこれはなんだろうなんだろう)

絶えず脈打つこれは何だろう 何だろう

(いとといとぬいあわせわずらわしいじぶんのことわすれようとこころみた)

糸と糸縫い合わせ 煩わしい自分のこと 忘れようと試みた

(ひとつうそつきゃそのあじしめてふたついわなきゃきがすまなくて)

一つ嘘吐きゃ その味占めて 二つ言わなきゃ　気が済まなくて

(あともどりなどできやしなくてせのびせのびせのび)

後戻りなど 出来やしなくて 背伸び 背伸び 背伸び

(こどものころにむちゅうでみてたあかいまんとのせいぎのみかた)

子供の頃に夢中で観てた 赤いマントの正義の味方

(いつのひでもいつのひでもうそはいわなかった)

いつの日でも いつの日でも 嘘は言わなかった

(こんなぼくらがおたがいのかおすらもふかしなゆうれいせんにのりあすもそうじゅうせきうばいあう)

こんな僕等がお互いの顔すらも不可視な幽霊船に乗り 明日も 操縦席奪い合う

(こんなことならうまれてこなけりゃってぜんぶいやになってくけれど)

こんなことなら生まれてこなけりゃって全部嫌になってくけれど

(ほおをよこぎるこれはなんだろうなんだろう)

頬を横切るこれは何だろう 何だろう

(とざされたそのまくをひけばしょうめいもこどうぐもないが)

閉ざされたその幕を引けば 証明も小道具もないが

(これでいいこれがいいこれはこれがぼくのぶたいだ)

これでいい これがいい これは これが 僕の舞台だ

(からっぽでなにもないぼくのまいにちをうたいましょう)

空っぽで何も無い僕の 毎日を歌いましょう

(ありのままのぼくをかいたろくでなしげきじょう)

ありのままの 僕を書いた ろくでなし劇場

(こんなぼくらがおたがいのてをひいてつどったしゅうちゃくてんこそが)

こんな僕等がお互いの手を引いて集った終着点こそが

(まさにこのくらやみなんだろう)

まさに この暗闇なんだろう

(こんなことならうまれてこなけりゃってぜんぶいやになってくけれど)

こんなことなら生まれてこなけりゃって全部嫌になってくけれど

(かれもかのじょもまたそうだろう)

彼も 彼女もまたそうだろう

(こんなぼくらがおたがいのこえをききうたったいびつなあいのうたぼくらこどくにはかてないと)

こんな僕等がお互いの声を聴き歌った歪な愛の唄 僕等 孤独には勝てないと

(どうせぼくらはこのしゅんかんさえもまたきょせいのとうじょうじんぶつで)

どうせ僕等はこの瞬間さえもまた虚勢の登場人物で

(だれもみちゃくれないぶたいできょうも)

誰も 見ちゃくれない舞台で 今日も