ドライヤー

(おねがいかわかして)

お願い乾かして

(いやだよめんどうくさいから)

いやだよ面倒臭いから

(でもどうせやるまでたのむんでしょ)

でもどうせやるまで頼むんでしょ

(ぼくはいやいやどらいやーかけた)

僕は嫌々ドライヤーかけた

(そんなやりとりがほぼまいにちつづいて)

そんなやり取りがほぼ毎日続いて

(いつしかあたりまえになってた)

いつしか当たり前になってた

(だけどもみじのはのようにきみは)

だけど紅葉の葉のように君は

(ふゆのつめたいかぜにふかれていった)

冬の冷たい風に吹かれていった

(きみをきらいなふりをして)

君を嫌いなふりをして

(きみをあざわらいたくて)

君をあざ笑いたくて

(そうしたらきっとわすれられるはずと)

そうしたらきっと忘れられるはずと

(そんなことおもっても)

そんなこと思っても

(きみをきらいになれなくて)

君を嫌いになれなくて

(きみにわすれられたくもなくて)

君に忘れられたくもなくて

(だめだねぼくのこういうとこ)

だめだね僕のこういうとこ

(おねがいかわかして)

お願い乾かして

(そのことばがききたいってなんどおもったか)

その言葉が聞きたいって何度思ったか

(きみがろくがしてたあのばんぐみ)

君が録画してたあの番組

(こんしゅうでもうおわるんだってさ)

今週でもう終わるんだってさ

(ほんとうはねうれしかったんだよ)

本当はね嬉しかったんだよ

(どらいやーしてっていってくれること)

ドライヤーしてって言ってくれること

(きみとひとつになれてるきがして)

君と一つになれてる気がして

(ぼくをひつようとしてくれてるきがして)

僕を必要としてくれてる気がして

(きみのかみのにおいをおもいだす)

君の髪の匂いを思い出す

(きみをきらいになりたくて)

君を嫌いになりたくて

(きみをあざわらいたくて)

君をあざ笑いたくて

(そうしたらきっとわすれられるはずと)

そうしたらきっと忘れられるはずと

(そんなことおもっても)

そんなこと思っても

(きみをきらいになれないんだ)

君を嫌いになれないんだ

(きみにわすれられたくもないんだ)

君に忘れられたくもないんだ

(だめだねぼくのこういうとこ)

だめだね僕のこういうとこ

(ころがってるどらいやー)

転がってるドライヤー

(きっとたちなおれないや)

きっと立ち直れないや

(いまはもうやくにたたないがらくた)

今はもう役に立たないガラクタ

(ねえきみにあいたい)

ねえ君に会いたい

(とどかないことばつぶやく)

届かない言葉つぶやく