旅人の唄

(まっさらななまえをあたえられて)

まっさらな名前を与えられて

(ぼくらはすあしでたびにでた)

僕らは素足で旅に出た

(とちゅうよごされたりよごしたり)

途中汚されたり汚したり

(そうやっていのちのかたちにきづいた)

そうやって命の形に気づいた

(さいしょのひがくれるのころに)

最初の日が暮れるそのころに

(ぼくらがであうのはまずこどく)

僕らが出会うのはまず孤独

(だれかにこのなをよんでほしくて)

誰かにこの名を呼んでほしくて

(あかりのともるまちをさがした)

明かりの灯る街を探した

(きみがいたにしのそらにこばるとがしむころ)

君がいた西の空にコバルトが滲む頃

(またたいたいちばんぼしはいまもよくおぼえている)

瞬いた一番星は今もよく覚えている

(こんなきれいなよるかあるんだ)

こんなきれいな夜かあるんだ

(こんないとおしいひがあるんだ)

こんな愛おしい日があるんだ

(きみがいつかぼくにくれたもの)

君がいつか僕にくれたもの

(ほしくずになったもの)

星屑になったもの

(こんなことばくらいしかないんだ)

こんな言葉くらいしかないんだ

(ねえきみにあえてよかった)

ねえ君に会えてよかった

(まじりあってそしてはなれいくこのせかいで)

まじりあってそして離れ行くこの世界で

(きみにあえてよかった)

君に会えてよかった

(とりのむれがむこうからきて)

鳥の群れが向こうからきて

(ずじょうはるかですれちがう)

頭上遥かですれ違う

(かえりのたびがもしあるのなら)

帰りの旅がもしあるのなら

(あのまちにまたよるときめた)

あの街にまた夜と決めた

(とほうもなくながいときがおもいでをさらっても)

途方もなく長い時が思い出をさらっても

(ひかりだけはかすめとれない)

光だけはかすめ取れない

(だれにだってうばえない)

誰にだって奪えない

(こんなきれいなよるがあるんだ)

こんなきれいな夜があるんだ

(こんないとおしいひがあるんだ)

こんな愛おしい日があるんだ

(こころのおくのだいじなばしょ)

心の奥の大事な場所

(ここにしかないけしき)

ここにしかない景色

(こんなことばぐらいしかないんだ)

こんな言葉ぐらいしかないんだ

(ねえきみにあえてよかった)

ねえ君に会えてよかった

(であいもわかれもぼくのもの)

出会いも別れも僕のもの

(このたびじになまえをくれるもの)

この旅路に名前をくれるもの

(しゅうちゃくをりゆうをほこりをあかしを)

終着を　理由を　誇りを　証を

(ぼくらはずっとさがしつづける)

僕らはずっと探し続ける

(こんなきれいなよるがあるんだ)

こんなきれいな夜があるんだ

(こんないとおしいひがあるんだ)

こんな愛おしい日があるんだ

(きみがいつかぼくにくれたもの)

君がいつか僕にくれたもの

(いまぼくをてらすもの)

今僕を照らすもの

(こんなことばぐらいしかないんだ)

こんな言葉ぐらいしかないんだ

(ねえきみにあえてよかった)

ねえ君に会えてよかった

(まじりあってそしてはなれゆく)

まじりあってそして離れ行く

(このせかいにまたあさがくる)

この世界にまた朝が来る