空がある限り

(あぜるばいじゃんのゆうぐれは)

アゼルバイジャンの夕暮れは

(めまんべつのゆうぐれとかわらない)

女満別の夕暮れと変わらない

(あるいているうちにいつのまにか)

歩いているうちにいつのまにか

(まぎれこんでつづいてゆきそうだ)

紛れ込んで続いてゆきそうだ

(じゅうでくだかれたたてものや)

銃で砕かれた建物や

(てつじょうもうがそらをふさいでも)

鉄条網が空を塞いでも

(まるでむかしからいるように)

まるで昔からいるように

(わたしはそこにいるだろう)

私はそこにいるだろう

(はだをつつむぬのがあるわたしはあかごにかえる)

肌を包む布がある私は赤児に返る

(だれかうたうこえがするわたしはこどもにかえる)

誰か歌う声がする私は子供に返る

(そらがあるかぎりわたしのくらすまち)

空がある限り私の暮らす町

(なつかしさもわずらわしさも)

なつかしさもわずらわしさも

(うつくしさもきたなさもあなたとわたしのまち)

美しさも汚さもあなたと私の町

(これからあさにてんじるまえが)

これから朝に転じる前が

(よるのいちばんさむいじかんでしょう)

夜のいちばん寒い時間でしょう

(あなたにたどりつかないのは)

あなたにたどり着かないのは

(まださみしさがたりないのでしょう)

まだ寂しさが足りないのでしょう

(あなたのそばへゆくために)

あなたの傍へゆくために

(ぱすぽーともびざもひつようがない)

パスポートもビザも必要がない

(そらをみあげてそらにとけてそらをつたってゆく)

空を見上げて空に溶けて空を伝ってゆく

(そこになつはくるかしら)

そこに夏は来るかしら

(そこにふゆはくるかしら)

そこに冬は来るかしら

(そこにひとはすむかしら)

そこに人は住むかしら

(そこにかみはすむのかしら)

そこに神は住むのかしら

(そらがあるかぎりわたしのくらすまち)

空がある限り私の暮らす町

(なつかしさもわずらわしさも)

なつかしさもわずらわしさも

(うつくしさもきたなさもあなたとわたしのまち)

美しさも汚さもあなたと私の町

(とりかえてみませんか)

取り替えてみませんか

(あなたがここにわたしがそこに)

あなたがここに私がそこに

(どちらのさみしさもかわらない)

どちらの寂しさも変わらない

(ともにいないならば)

共にいないならば

(そらがあるかぎりそらがあるかぎり)

空がある限り空がある限り

(なつかしさもわずらわしさも)

なつかしさもわずらわしさも

(うつくしさもきたなさもあなたとわたしのまち)

美しさも汚さもあなたと私の町

(なつかしさもわずらわしさも)

なつかしさもわずらわしさも

(うつくしさもきたなさもあなたとわたしのまち)

美しさも汚さもあなたと私の町