恋わずらい／椿屋四重奏

(ゆうぐれのふくをまとってみかづきのしたにしゃがんだ)

夕暮れの服をまとって　三日月の下にしゃがんだ

(かえのないしろものだこいは)

替えの無い代物だ　恋は

(ちからつきたはずのこころが)

力尽きたはずの心が

(もえさかるひにわけいってあれくるうなみにねそべった)

燃え盛る火に分け入って　荒れ狂う波に寝そべった

(まるめてすてられないこいがすりきれたままにころがった)

丸めて捨てられない恋が　すり切れたままに転がった

(くちびるをぬぐいながらあやまちのあとしまつを)

唇を拭いながら　過ちの後始末を

(うまくかたづけられぬままで)

うまく片付けられぬままで

(むだにもつれあうかげえ)

無駄にもつれ合う影絵

(このままじゃにげきれずにすべてうばわれてしまう)

このままじゃ逃げ切れずに　全て奪われてしまう

(あたまにひびくおもいでもいらないくらいにおもえた)

頭に響く思い出も　要らないくらいに思えた

(うつむいてはかみころしたいとしさにうめつくされて)

うつむいては　噛み殺した　愛しさに埋め尽くされて

(あやつられたこころののぞみどおり)

操られた心の望み通り

(ゆうぐれのふくをまとってみかづきのしたにしゃがんだ)

夕暮れの服をまとって　三日月の下にしゃがんだ

(かえのないしろものだこいは)

替えのない代物だ　恋は

(ちからつきたはずのこころが)

力尽きたはずの心が

(もえさかるひにわけいってあれくるうなみにねそべった)

燃え盛る火に分け入って　荒れ狂う波に寝そべった

(まるめてすてられないこいがすりきれたままにころがった)

丸めて捨てられない恋が　すり切れたままに転がった

(ふきだしのなかにしようかそとにしようか)

吹き出しの中にしようか　外にしようか

(くちにだすかやめるか)

口に出すか　やめるか

(おねがいさすこしわらってせめてものすくいをのこして)

お願いさ　少し笑って　せめてもの救いを残して

(このことばにさからわずにいとしさにうめつくされて)

この言葉に　逆らわずに　愛しさに埋め尽くされて

(あやつられたこころのおもいどおり)

操られた心の思い通り

(くれないのゆうやけがにじんであるがままのきみをさらした)

紅の夕焼けが滲んで　あるがままの君を晒した

(まだてなずけられないこいがおどりながらひみつあばいた)

まだ手なずけられない恋が　踊りながら秘密暴いた

(なまぬるいかんしょくにすがってそのおくにすべらせていった)

生ぬるい感触にすがって　その奥に滑らせていった

(なすすべなくゆだねるこいがすべてのとめがねをはずした)

なす術なくゆだねる恋が　全ての留め金を外した

(たやすくけしされないこいがまたおれのなかでちらついた)

容易く消し去れない恋が　また俺の中でちらついた