無鉄砲　木之内みどり

(おとこのくせにくどくどと)

男のくせに　クドクドと

(なきごとなんかよしてよと)

泣き言なんかよしてよと

(あたしはくびのねっくれす)

私は首のネックレス

(ちぎってかがみへなげつけた)

ちぎって鏡へ投げつけた

(いつつもとしうえのあのひとが)

五つも年上のあの人が

(あたしのむてっぽうさにおろおろしてく)

私の無鉄砲さにオロオロしてく

(あめにかわったよふけのさかば)

雨に変わった　夜更けの酒場

(ほかのだれかがいるひとを)

他の誰かがいる人を

(あいしたほうがばかだとしって)

愛した方が　馬鹿だと知って

(なぜかあたしはしゃくにさわるだけ)

何故か私はしゃくにさわるだけ

(かさもささずにあるいてく)

傘もささずに歩いてく

(いきがりだけのたばこすう)

イキがりだけの煙草すう

(こどもじゃないさきみはもう)

子供じゃないさ　君はもう

(せなかであいつのこえがする)

背中であいつの声がする

(あれほどつよがりのあのひとが)

あれほど強がりのあの人が

(あたしのむてっぽうさにひきずられてく)

私の無鉄砲さに引きずられてく

(あかりもきえたうみぞいのまち)

灯りも消えた海沿いの町

(ぐいのみざけがしみてきて)

ぐい飲み酒がしみて来て

(ぬれためがしらおとこをさそう)

濡れた目頭　男を誘う

(ものほしそうなこねこみたいにさ)

物欲しそうな子猫みたいにさ

(こころをもやすようなむちゃくちゃな)

心を燃やすような無茶苦茶な

(あなたのむてっぽうさがしぬほどほしい)

あなたの無鉄砲さが死ぬほど欲しい

(よあけむかえるしずけさのなか)

夜明け迎える静けさの中

(きどってないでだいてよと)

気取ってないで抱いてよと

(ひとまえななかせまってやれば)

人前な中せまってやれば

(おびえたかおであとずさりする)

おびえた顔であとずさりする

(あとずさりする)

あとずさりする