吉田松陰 寸言集〈現代語訳〉5

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松下村塾で学びましょう。
長州藩、維新の志士達の心の師であった吉田松陰。
松蔭の寸言を勝手に現代語に翻訳しました。
詳しくは大家の翻訳をご覧ください。
「誠」のみで生きた松蔭の心震える言葉で、人生を考え直してみましょう。

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問題文

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(いかりをおさえることとじょうよくをふさぎとめること。)

怒りを抑えることと情欲を塞ぎ止めること。

忿を懲らすと慾を塞ぐと、

(このふたつはえいゆうたるものにひつようなくふうである。)

この二つは英雄たるものに必要な工夫である。

英雄の雙工夫。

(そのじょうよくをふさぎとめることはまだよういだが、)

その情欲を塞ぎ止めることはまだ容易だが、

慾を塞ぐは猶ほ容易、

(いかりをおさえることについてはしっぱいする。)

怒りを抑えることについては失敗する。

殊にい忿を懲らすに於て輸る。

(ぎのあるれっぷはいっときのはじなどいとわない。)

義のある烈夫は一時の恥など厭わない。

烈夫は屈を厭わず、

(かげながらたえしのび、そしてたいぎょうをなすのだ。)

陰ながら耐え忍び、そして大業を成すのだ。

隠忍して大功を成す。

(こころざしのあるしには、ほんのわずかもむいみにすごすじかんなどない。)

志のある士には、ほんのわずかも無意味に過ごす時間など無い。

有志の士は片時も空々茫々の間なし。

(いまはくるしいかもしれない。)

今は苦しいかも知れない。

一朝の苦を顧うて、

(だがそんなめさきのくるしみで、せんねんのけいをむだにすることになってはならない。)

だがそんな目先の苦しみで、千年の計を無駄にすることになってはならない。

遂に千載の図を空しうするなかれ。

(そまつないふくをきたり、そまつなしょくじをはじにおもい、)

粗末な衣服を着たり、粗末な食事を恥に思い、

悪衣悪食を恥ぢ、

(あんたいなせいかつをおいもとめるようなことは、こころざしのたかいしにあるまじきことである。)

安泰な生活を追い求めるようなことは、志の高い士にあるまじきことである。

居の安きを求むるは則ち志士に非ず。

(めいよやりえきをおいもとめるよのなかでは、)

名誉や利益を追い求める世の中では、

名利の寰区

(にせもののやからもときにはほんものとされることもある。)

偽物の輩も時には本物とされることもある。

贋も真と作る、

(そんなよにあって、せつぎをまっとうせねばならぬときにのぞんで、)

そんな世にあって、節義を全うせねばならぬ時に臨んで、

誰れか大節に臨みて

(だれがみをなげすてるというのだろうか。)

誰が身を投げ捨てるというのだろうか。

其の身を致さん。

(きせいますますさかんならばてんかにきょうてきはなく、)

気勢ますます盛んならば天下に強敵はなく、

勢振はば天下に強敵なく、

(いきますますさかんならばてんかにむずかしいことなどない。)

意気ますます盛んならば天下に難しいことなど無い。

気旺ならば天下に難事無し。

(したるもののたちいふるまいは、)

士たるものの立ち居振る舞いは、

士の行は

(おもてうらがなくじっちょくで、ひとをあざむいたりしないことをそのちゅうしんとするものだ。)

表裏がなく実直で、人を欺いたりしない事をその中心とするものだ。

質実欺かざるを以て要となし、

(たくみにいつわったり、あやまったおこないをかくしたりすることをもっともはじとする。)

巧みに偽ったり、過った行いを隠したりすることを最も恥とする。

巧詐過ちを文るを以て恥と為す。

など

(ひととしてあかるく、ただしくどうどうとしたふるまいはみなここからうまれるのだ。)

人として明るく、正しく堂々とした振る舞いは皆ここから生まれるのだ。

公明正大、皆是より出づ。

(わたしにはひごろからたかくこころざすところがある。)

私には日頃から高く志すところがある。

平生志す所あり、

(ほりだしたままのあらがねやみがいてもいないほうせきを、)

掘り出したままの粗金や磨いてもいない宝石を、

鉱璞

(どうしてみずからすてるようなことができようか。)

どうして自ら捨てるようなことが出来ようか。

肯へて自ら捐てんや。

(せんかいみがくことによっていしはみごとなほうせきとなり、)

千回磨くことによって石は見事な宝石となり、

千磨して玉彌々瑩かに、

(ひゃっかいきたえることによっててつはますますかたくなるのである。)

百回鍛える事によって鉄はますます堅くなるのである。

百練して鉄転た堅し。

(にんげんがふみおこなうべきじんりんのみちをわきまえることをおのれのせきむとし、)

人間が踏み行うべき人倫の道を弁えることを己の責務とし、

綱常名分を以て己が責と為し、

(よのなかだいだいこうせいまでもが、おのれのせきにんであることをじかくしなさい。)

世の中代々後世までもが、己の責任であることを自覚しなさい。

天下後世を以て己が任と為すべし。

(それをわがみからいっかにまでひろげ、てんかこっかにまでおしひろめる。)

それを我が身から一家にまで広げ、天下国家にまで押し広める。

身より家に達し、国より天下に達す。

(そしてわがみよりこへつたえ、まごにつたえ、だいだいこうせいまでつたえるのだ。)

そして我が身より子へ伝え、孫に伝え、代々後世まで伝えるのだ。

身より子に伝へ孫に伝へ、雲仍に伝ふ。

(ただしいじんりんのみちというものは、ひろがらないところなく、つたわらないところもない。)

正しい人倫の道というものは、広がらない所なく、伝わらないところもない。

達せざる所なく、伝はざる所なし。

(そのひろがりのひろいせまいは、おのれのまことのこうはくをしめすものであり、)

その広がりの広い狭いは、己の誠の厚薄を示すものであり、

達の広狭は、行の厚薄を視し、

(こうせいへのでんたつのどあいは、おのれのこころざしのせんしんをしめすのである。)

後世への伝達の度合いは、己の志の浅深を示すのである。

伝の久近は、志の浅深を視す。

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