だぶんにんげん

(おそようさんでくのぼうどのふちどられたとけいのおとおまえはぼく)

遅ようさん 木偶の坊殿　縁取られた時計の音 お前は僕

(からっけつのわどうくつのどろほりかえしたとけいのおとうるさいな)

空っ穴の輪 洞窟の泥　掘り返した 時計の音 煩いな

(おおきなばつをちょうだいしたせんせいはわらいながらのたまった)

大きなバツを頂戴した　先生は笑いながら宣った

(かちはないものとりかいしたくちをむすびぼくはわらうなにもいえないままで)

価値はないものと理解した　口を結び 僕は笑う　何も言えないままで

(おまえはだぶんだぶんまださがしてるのだあれがないこれがない)

お前は駄文 駄文 まだ探してるのだ　あれがない これがない

(こんなときにかぎってもうみつからないつまりあすもないあすをもいでいる)

こんな時に限って もう見つからない　詰まり明日もない 明日を捥いでいる

(しりませんでしたすみませんでした)

知りませんでした　すみませんでした

(おりこうさんつきなみのがきぶりかえしたとけいのおと)

お利口さん 月並みの餓鬼　ぶり返した 時計の音

(おはようさんほほにつくあとねむっていたのですかゆげののこりが)

お早うさん 頰に付く跡　眠っていたのですか 湯気の残り香

(どうしようもなくむだにしたせんせいはかしげながらのたまった)

どうしようもなく無駄にした　先生は傾げながら宣った

(なにものこらぬとりかいしたまたもむすびたびにわらうくびをねじまげながら)

何も残らぬと理解した　又も結び 度に笑う　首を捻じ曲げながら

(おまえはざぶんざぶんまだおよいでるのだあーでもないこーでもない)

お前は ざぶん ざぶん まだ泳いでるのだ　あーでもない こーでもない

(そんなことをいわれてもいみふめいたわけたことばをぼくにむけるな)

そんなことを言われても意味不明　戯けた言葉を僕に向けるな

(おまえはだぶんだぶんまださがしてるのだあれがないこれがない)

お前は 駄文 駄文 まだ探してるのだ　あれがない これがない

(こんなときにかぎってもうみつからない)

こんな時に限って もう見つからない

(もはやあすでもないあけぬよるにおびえぼくはせをまるめとけいをけずるのです)

最早明日でも無い明けぬ夜に怯え　僕は背を丸め時計を削るのです

(そしてまどろみつくえにむかいましたつまりぼくもないぼくをもいでいる)

そして微睡み机に向かいました　詰まり僕も無い僕を捥いでいる

(しりませんでしたすみませんでした)

知りませんでした　すみませんでした

(いきどまりましたかきなぐりました)

行き止まりました　書き殴りました

(すみませんでした)

すみませんでした