Ghost Under the Umbrella

(おれたかさをながめた)

折れた傘を眺めた

(あまつぶがしたたって)

雨粒が滴って

(ぼくのてをすりぬけて)

僕の手をすり抜けて

(だれかのしがいにおちた)

誰かの死骸に落ちた

(こうふくとはなにか)

幸福とは何か

(そうといかけるように)

そう問い掛けるように

(もううごかぬせなか)

もう動かぬ背中

(そっとやさしくなでた)

そっと優しく撫でた

(おんしつそだちのせいじんたちが)

温室育ちの聖人たちが

(きょうべんをとってむやみにふった)

教鞭を取って無闇に振った

(よあけはびょうどうそんなことばが)

「夜明けは平等」そんな言葉が

(たいようのないしゃかいにひびいた)

太陽のない社会に響いた

(だれかがだれかのくびをしめている)

誰かが誰かの首を絞めている

(そのまよこでちゃがのめるせかいだ)

その真横で茶が飲める世界だ

(しょうきをたもっていられるほうこそ)

正気を保っていられる方こそ

(あたまがこわれているんじゃないか)

頭が壊れているんじゃないか

(ふあんのたねがみをむすんで)

不安の種が実を結んで

(じんしんじこになりちえん)

人身事故になり遅延

(したうちがきこえるほーむ)

舌打ちが聴こえるホーム

(うつくしきしゃかい)

美しき社会

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が産まれてしまうんだ

(なれのはてのろじょうで)

成れの果ての路上で

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が産まれてしまうんだ

(みたされたじだいのそこで)

満たされた時代の底で

(あぱーとのかいだんから)

アパートの階段から

(おちてしんだほにゅうるい)

落ちて死んだ哺乳類

(かえるつちのないせかい)

帰る土のない世界

(あすふぁるとにしみがのこった)

アスファルトに染みが残った

(ねこはしんだすがたを)

猫は死んだ姿を

(けっしてひとにはみせない)

決して人には見せない

(ひとはひとのしゅうたい)

人は人の醜態

(わごんにつめてたたきわる)

ワゴンに詰めて叩き割る

(きょうせいきぐによるえがおのむれが)

矯正器具による笑顔の群れが

(こうふくをばらまいてまんぞくげ)

「幸福」をばらまいて満足げ

(ひろいかたのわからないぼくらは)

拾い方の分からない僕らは

(しゃかいふてきごうしゃとよばれます)

社会不適合者と呼ばれます

(てきおうできずにしんだうさぎを)

適応できずに死んだうさぎを

(てあつくほうむりりょくちゃをのんだ)

手厚く葬り緑茶を飲んだ

(のろまなうさぎをみすてたかめを)

鈍間なうさぎを見捨てた亀を

(ひはんするのはわるいことですか)

批判するのは悪いことですか

(どんなにくちをおさえても)

どんなに口を押えても

(るさんちまんがもれおうと)

ルサンチマンが漏れ 嘔吐

(わるぎのないせいろんが)

悪気のない正論が

(けいどうみゃくをしめつける)

頸動脈を締め付ける

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が産まれてしまうんだ

(なれのはてのちゅうおうせん)

成れの果ての中央線

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が産まれてしまうんだ

(みたされたじだいのそこで)

満たされた時代の底で

(みらいはないしすがるかこもない)

未来は無いし すがる過去も無い

(でもゆうれいになるさいのうもないんだ)

でも幽霊になる才能も無いんだ

(そこらじゅうにほら)

そこらじゅうにほら

(そこらじゅうにほら)

そこらじゅうにほら

(そこらじゅうにほら)

そこらじゅうにほら

(そこらじゅうにほらいまも)

そこらじゅうにほら今も

(じんしんじこでおくれたでんしゃ)

人身事故で遅れた電車

(ほこうしゃてんごくないふ)

歩行者天国 ナイフ

(しさんかちのさがったあぱーと)

資産価値の下がったアパート

(こうさてんのしみ)

交差点の染み

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が生まれてしまうんだ

(なれのはてのしけいだい)

成れの果ての死刑台

(ゆうれいがうまれてしまうんだ)

幽霊が打産まれてしまうんだ

(みたされたじだいのそこで)

満たされた時代の底で

(みらいはないしすがるかこもない)

未来は無いし すがる過去も無い

(でもゆうれいのさいのうもないから)

でも幽霊の才能も無いから

(あしたがきやがるんだ)

明日が来やがるんだ