俺が信長

(うまれるまえはどこにいたのかしんでそれからどこへゆくのか)

生まれる前は　何処にいたのか　死んでそれから　何処へゆくのか

(ほらみろなんにもわからぬくせにてんからもろうたいのちのくせに)

ほら見ろ　何にも判らぬくせに　天から貰うた　命のくせに

(かえすのおしんでないておるのか)

返すの惜しんで　泣いて居るのか

(ひとえまぶたののぶなががひかるまなこであめにうたれて)

一重瞼の信長が　光眼（まなこ）で　雨に打たれて

(でんがくはざまのいくさばかける)

田楽狭間の　戦場（いくさば）駆ける

(ひとえまぶたののぶなががてきにみかたにさけんでとおる)

一重瞼の　信長が　敵に　味方に　叫んで通る

(おれがのぶながみしりおけ)

俺が信長　見知りおけ

(ひとりでいきるがつらいからとかなしみしらずにいきてみたいと)

一人で生きるが　辛いからと　悲しみ知らずに　生きてみたいと

(ほとけにすがってすわっておるのか)

仏に縋って　座って居るのか

(じごくにおちるかくごもせずにおまえになにができるというのか)

地獄に堕ちる　覚悟もせずに　お前に何が　出来るというのか

(ひとえまぶたののぶなががひかるまなこにほのおをうつし)

一重瞼の　信長が　光眼（まなこ）に　炎を映し

(もえるひえいのてらをながめる)

燃える比叡の　寺を眺める

(ひとえまぶたののぶなががほとけをたちできりわって)

一重瞼の　信長が　仏を　太刀で　切り割って

(おれがのぶながみしりおけ)

俺が信長　見知りおけ

(きたはえちごのうえすぎかげとらいくさじょうずのたけだがおって)

北は越後の　上杉景虎　戦上手の　武田が居って

(みなみはきばむくしまづのはやとうみからにらむはとさのやつらか)

南は　牙むく　島津の隼人　海から睨むは　土佐の奴らか

(てきがおおいとしみじみわらう)

敵が多いと　しみじみ笑う

(ひとえまぶたののぶなががひかるまなこでてんをあおいで)

一重瞼の　信長が　光眼（まなこ）で　天を仰いで

(このよはゆめとうたってとおる)

この世は夢と　歌って通る

(ひとえまぶたののぶなががいくさしかけにさけんでとおる)

一重瞼の　信長が　戦仕掛けに　叫んで通る

(おれがのぶながみしりおけ)

俺が信長　見知りおけ