青い棘

(きのうそこのほんやで)

昨日そこの本屋で

(きみがすきだったあのほんを)

君が好きだったあの本を

(よめもしないのにかったんだ)

読めもしないのに買ったんだ

(いたいよなあばかみたいだなあ)

痛いよなあ、馬鹿みたいだなあ

(やさしさでめがくらんで)

優しさで目が眩んで

(ほんとうのことがいえなくなって)

本当の事が言えなくなって

(きづけばそんなにくるしくもなくなって)

気付けばそんなに苦しくもなくなって

(ねつがでておもいだした)

熱が出て思い出した

(わるいことはぜんぶれいぞうこのなかへ)

悪いことは全部 冷蔵庫の中へ

(こっちへきてわらうのさ)

こっちへ来て 笑うのさ

(へやのあかりもけさないで)

部屋の明かりも消さないで

(そふぁのうえでおちるゆめのなか)

ソファの上で落ちる 夢の中

(こんなくだらないくらしをゆるせないの)

こんなくだらない暮らしを許せないの

(わたしがふるくなってけむりになってきえまじわっている)

私が古くなって、煙になって、消え交わっている

(こんなくだらないくらしをあいせないの)

こんなくだらない暮らしを愛せないの

(わたしがにぶくなっていつかをまってまたかさなって)

私が鈍くなって、いつかを待って、また重なって

(ながいえいがのあとわすれた)

長い映画の後 忘れた

(とるにたらないちいさなみかえりは)

取るに足らない小さな見返りは

(できることならずっとこのままで)

できることならずっとこのままで

(なんててばなせないまま)

なんて手放せないまま

(ただのいちどもすなおになれずに)

ただの一度も素直になれずに

(あいされたってどうなるの)

愛されたってどうなるの？

(なんていえやしないしいやにみえないしなあ)

なんて言えやしないし、嫌に見えないしなあ

(ねつがでておもいだした)

熱が出て思い出した

(わるいことはぜんぶれいぞうこのなかへ)

悪いことは全部 冷蔵庫の中へ

(こっちへきてわらうのさ)

こっちへ来て 笑うのさ

(いたみをこわがることもない)

痛みを怖がることもない

(さあめをとじてきるあおいとげ)

さあ 目を閉じて切る 青い棘

(こんなくだらないくらしをゆるせないの)

こんなくだらない暮らしを許せないの

(わたしがふるくなってけむりになってきえまじわっている)

私が古くなって、煙になって、消え交わっている

(こんなくだらないくらしをあいせないの)

こんなくだらない暮らしを愛せないの

(わたしがにぶくなっていつかをまってまたかさなって)

私が鈍くなって、いつかを待って、また重なって

(こんなくだらないくらしをゆるせないの)

こんなくだらない暮らしを許せないの

(わたしがふるくなってけむりになってきえまじわっている)

私が古くなって、煙になって、消え交わっている

(こんなくだらないわたしをみつけないで)

こんなくだらない私を見つけないで

(かたちがいびつになってわだちにそってまたいきついて)

形が歪になって、轍に沿って、また行き着いて