杏子

(あんずいろのそらから)

杏子色の空から

(おそいかかるよいのやみ)

襲いかかる宵の闇

(くるおしくおもうきみへ)

狂おしく想う君へ

(とどけくろいかげ)

届け黒い影

(うすいむねかるくやぶって)

薄い胸軽く破って

(こころのおくへささるそのこえ)

心の奥へ刺さるその声

(こどうはほねをてっきんにして)

鼓動は骨を鉄琴にして

(きんきんとみだれうつ)

きんきんと乱れ打つ

(くちをとじていきをとめて)

口を閉じて　息を止めて

(ひとみあけてうつるそのせ)

瞳開けて　映るその背

(ゆめのなかでみたえがおで)

夢の中で　見た笑顔で

(そっとこっちをむいて)

そっとこっちを向いて

(すっからかんにあけたりょうむね)

すっからかんに空けた両胸

(まだみぬおもいうけとめるため)

まだ見ぬ想い受け止めるため

(ねじれたくびにりょうてまきつけ)

ねじれた首に両手巻き付け

(ふかくふかくだきあうの)

深く深く抱き合うの

(でたらめなせりふならべて)

出鱈目な台詞並べて

(あなたのよこでわらうこむすめ)

あなたの横で笑う小娘

(このふうけいをはさみできって)

この風景をはさみで切って

(あなたがわをのこしましょう)

あなた側を残しましょう

(しんじつはしょうせつより)

真実は小説より

(きなりなんてことはないわ)

奇なりなんて事はないわ

(わらうわたしわらうあなた)

笑う私　笑うあなた

(ゆめとうつつがまざる)

夢と現が混ざる

(ねがうけしきがゆめのなかなら)

願う景色が夢の中なら

(いっそこのままねむりつづけて)

いっそこのまま眠り続けて

(そのくちづけでめざめるのなら)

その口づけで目覚めるのなら

(わたししんでしまうでしょう)

私死んでしまうでしょう

(あんずいろのそらから)

杏子色の空から

(おそいかかるよいのやみ)

襲いかかる宵の闇

(くるったおもいがくろに)

狂った想いが黒に

(かわるまえに)

変わる前に

(とどけこのかげあなたのもとへ)

届けこの影あなたの元へ

(せめてそのせにかさなるように)

せめてその背に重なるように

(はにかんだかおぬりつぶすように)

はにかんだ顔塗りつぶすように

(せかいはあかくもえるの)

世界は赤く燃えるの

(すっからかんにあけたりょうむね)

すっからかんに空けた両胸

(あなたのかたにかたちをかえて)

あなたの型に形を変えて

(ふたりのためにあんずのそらよ)

二人の為に杏子の空よ

(もっともっともえあがれ)

もっともっと燃え上がれ